№0022〜高田の家改修工事

MSD
■工事場所:岐阜県養老郡養老町
■工事期間:2011年3月~2012年3月
■主要用途:専用住宅
■構造・規模:木造2階建て
■築年数:築130年
■床面積:225.19㎡(68.24坪)
■施工:高橋建設 株式会社
■概要
以前、病理学通信で詳細調査の報告をさせていただいた、高田の家が完成しました。
詳細調査の様子は、こちら(http://hd-n.net/2009cgi/gallery/archives/40.html)をご覧ください。
明治15年に建てられた、およそ68坪の住宅の改修工事です。
建築当時から、数回の大規模な改修を行い、大切に住み続けて来られました。
今回の大改修では、基礎・屋根含めて総合的に改修を行い、居住性と共に、耐震性・断熱性を向上させること、バリアフリーとしながら、外観は現況の佇まいを残すよう配慮しました。

改修前の外観です。
無双窓や虫籠窓、そして袖うだつがある、高田の町の街並みの一端を担う落ち着いた外観です。
室内に入ると、大きな土間が広がっており、たまり味噌の醸造業をされていた当時のお店の雰囲気が残っています。
改修にあたり、敷地内の土蔵を解体した際には、大きな味噌樽が20個ほど出てきました。

改修中に、名古屋大学生物材料工学研究室の山崎先生、学生の方々に強度検査を行って頂きました。
大きな荷重を支えている梁、スパンが飛んでいる材、断面欠損が大きな材の検査を行って頂きました。
その結果を元に、必要な箇所には補強材を入れています。

耐力壁の下、外周部には基礎を作っています。既存のフレームの下端を切断し、新しい土台を入れて、その下に基礎を作っていきました。
今回の工事では、H型鋼の代わりに鉄骨のコラムと鉄板を組み合わせてサポートを作りました。この方法ですと、地盤に不陸がある状態でも、高さ調整が容易にできます。
改修後の様子です。

ミセの間は、改修前と同様に土間空間となりました。
今後は、近所の方々が集まって談話ができる、サロンのようなスペースとなっています。

ダイニングキッチンです。天井にはヨシベニアを張っています。
キッチンの収納戸の框は、すすベンガラと柿渋を混ぜた塗料を使用しています。
    
既存の建具は最大限に利用しました。
傷んだ材は取換え・補修を行い、間仕切りの建具や、収納の建具として利用しています。


階段室には大容量の書棚を作りました。
住まい手さんがお持ちの大量の蔵書を保管する事ができます。
2階は天井をなくし、小屋梁をアラワシとしました。
立派な構造材が露出して、ダイナミックな空間となっています。

改修後の外観です。
看板を撤去し、塗り壁を補修しました。無双窓、虫籠窓、袖うだつもそのまま残しながら新しく生まれ変わりました。


Title 事例紹介2012-22
Posted 2012/03/12
Category 改修事例紹介