住宅医とは

住宅医は、既存住宅の調査・診断・改修・維持管理などについて、優れた知識・技術をもつ実務者として、住宅医協会が認定している建築士です。

日本の建築士は、建物を新たにつくるための教育を受けてきました。これは今も変わりませんが、社会のニーズは「建物を新たにつくる」ことから「既存の建物を活かす」ことへ、変わりつつあります。

住宅においても、昭和40年代頃から供給が過剰となり、現在でも空き家が増加しています。今後、人口が減少していく中で、空き家もさらに増加することが予想されています。

(※出典/空き家対策の現状について 国土交通省)

また、日本の住宅の寿命は平均で30年程度とされていますが、欧米の平均寿命(60~80年程度)と比べると圧倒的に短いです。建物の耐久性、中古住宅の流通、建築基準法や税法上の問題など、様々な要因があると言われていますが、既存住宅を治して使い続けるための技術者が少ないことも大きな要因の一つだと考えられます。

改修するより壊して建て替える方が技術的には容易なため、建てては壊す(スクラップアンドビルド)という現状から脱却できない状況が続いていますが、これからの時代は、大量生産・大量消費という社会を変えていかなければなりません。

住宅医協会では、毎年、既存住宅に関する知識や技術を学べる住宅医スクールを開催しています。この住宅医スクールを受講・修了し、さらに、自らが行った改修の仕事を住宅医検定会の場で発表し、合格した建築士を住宅医として認定しています。

住宅医の人材育成を通じて、住宅の長寿命化に貢献していきます。