投稿日:2018年09月06日

事例報告(改修事例)2018-82


改修事例報告
「N邸」改修事例報告 (建具屋さんの家→看護婦寮→子育て世代の家へ)

 

■改修概要
設計者:フジモトミユキ設計室 藤本 美由紀
報告:フジモトミユキ設計室 藤本 美由紀
所在地:熊本県熊本市中央区 (準防火地域・2中高住居地域・Ⅳb地域)
主用途:一戸建ての住宅
築年数:1986年(築32年)
規模:木造二階建
敷地面積:176.36㎡(53.24坪)
建築面積: 95.68㎡(28.89坪)
延床面積:160.54㎡(48.47坪)
着工:2015年6月
竣工:2015年9月
(工事期間3ヶ月)
家族構成:世帯主(44才)、妻(42才)、子(長男、長女、次女) 計5名
改修内容:耐震改修、断熱改修、間取り変更、内外装や設備機器の更新など全面改修

■ご相談~竣工までのスケジュール
2014年11月
お子様方の成長に伴い、お住まいのマンションが手狭になってきたことがきっかけで、お父様所有の看護師寮として使われていた戸建住宅に引っ越されることを決意され相談を受けました。
元々建具屋さんの家でしたので、建具が凝ったものでしたので使えるものは残そうという考えに至りました。建替も検討されましたが、予算内で、同じ規模の住宅は難しいこともありましたので、全面改修をご提案しました。

2014年11月 設計監理契約
既設図面がまったくなかったことから、実測後図面を起し、基本設計を進めました。

2015年2月 隠蔽部の調査
既存建物の床下の状況や不陸等の調査、設備機器の劣化調査を行い、実施設計を進めました。

2015年6月 着工前確認
着工前に張替予定の既存床を解体し、腐朽状況を確認後、床下の改修をどこまで行うか検討しました。

2015年6月 着工
2015年9月 竣工

■改修前写真


1.外観               2.仏間・ダイニング

 

3.ダイニング・キッチン         4.中二階 和室

 

5.一階 和室           6.外部空間(濡れ縁)

 

 

   

7.一階ホール            8.二階ホール

 

■隠蔽部調査

LDK床下                 浴室・洗面脱衣室床下

 

LDK壁                   和室壁

 

(劣化対策)
・シロアリ駆除は定期的にされていたようで、土台・大引に防腐処理がみられた
・床下は意外とからっとしていた
・水廻り付近柱・土台に蟻害・腐朽が確認された
・布基礎には特にクラックは確認されなかった

(耐震性)
・耐力壁 片筋交い30×90を確認 全体的に筋交いが少ない
・一般診断法を用いて構造計算を行った結果、劣化度による低減指数は0.71であった
柱軸力はOK 床耐力はNG

(維持管理・更新)
・屋根、設備関係が経年変化による劣化が見受けられた
・ヒアリングより、東側中庭がじめじめしているとのこと
・南側縁側の木材が経年劣化の傷みあり

(省エネルギー性)
・壁の断熱材は密に入っていた。垂れも少ない
・Ⅳ地域内に建つ既存家屋の断熱性能は旧省エネ基準(S55年)を満たない数値であった
・外壁にグラスウール(ア)50mm、天井にはグラスウール(ア)100mmが入っていたが、その他の部位に断熱材は確認されなかった
・出窓の枠周りが結露により腐朽している

(バリアフリー性)
・各室出入口段差:15~20mm
・玄関土間-踏台段差:230mm 浴室-脱衣所段差:170mm
・階段:急勾配のストリップ階段であるため、小さいお子様の昇降時の転落・転倒を心配されていた

(火災時の安全性)
・準防火地域 第2種中高層住居地域
・屋根:セメント瓦
・外壁:モルタル+リシン吹付
・住宅用火災警報器:未設置
・火気使用室(台所)の内装:タイル張り

 

■ご要望
・子供3部屋、夫婦寝室、夫婦書斎が必要
・LDKを広く、快適に
・収納を多く
・家事のしやすい動線で
・台風で瓦が飛ぶのではないかと心配
・寒いのが苦手なので、これまでの住まい(マンション)と同じくらいの暖かさを
・道路側からLDKが見えないように

■ご提案
ご要望を受け、「家事ストレスの少ない、家族みんなが楽しく集える家」をテーマに計画しました。
・フルタイムで働く奥様の家事ストレスを少なくする家
・住宅密集地でも、外の目線を気にすることなく、リビングで楽しく集える家
・半屋外空間をもつ家(ウッドデッキ、洗濯干し場)
・片づけしやすい家(必要な場所に適当な収納の確保)

 

■平面計画

一階は南側和室の建具を撤去し、LDKを広くし、濡れ縁の延長としてウッドデッキを設け、屋内外一体的な利用ができるようにしました。北側和室はご夫婦の書斎とウォークイン・クローゼット(以下Wcloと表記)に変更しました。Wcloと洗面脱衣室を隣接させ、とりこんだ洗濯物をWcloに収納する際、入浴後に必要なタオルや着替えをどちら側からも使える棚に収納すれば片付けの時短につながります。
多くの図書や書類をお持ちのご夫婦なので、書斎は本棚をたくさん設けました。
中庭は隣の家の視線をゆるやかに遮り、晴れた日の洗濯物干しスペースとしました。キッチン~洗面脱衣室~Wclo~中庭の動線をコンパクトにし、家事のしやすい空間にしています。
スキップフロアの中二階は夫婦寝室としてだけでなく、雨天時の洗濯物干しスペースにもなります。
二階はほとんど間取りの変更はしておりませんが、朝の身支度の時間が集中しているため、二階ホールを少し広げ、洗面化粧台を新設し、渋滞緩和を図りました。
階段は急勾配のストリップ階段でしたので、新しい階段は勾配を緩やかにし、階段下部には収納をつくり、収納スペースをできるだけ多くしました。
寒がりの奥様のため、床は床下断熱、窓は全てペアガラスに取替え、断熱効果を高めました。

■劣化対策

・床撤去 → ポリエチレンフィルム敷込・鋼製束に取替え
・腐朽している土台や柱・大引撤去 → 新しい材に取替え
・数年誰も住んでいなかったこともあり、今回防蟻工事も行った

 

■耐震性

・主寝室(和室):じゅらく壁の上構造用合板(ア)9mm
間仕切・内壁改修部分についてはPB(ア)12.5mmを増し張り
・一階床:大引+構造用合板(ア)12mmの上無垢フローリング(ア)15mm
二階床:既設床の上に下地調整構造用合板(ア)9mm+フローリング(ア)12mmを増し張り

 

■維持管理・更新

・屋根:セメント瓦を防災瓦に葺き替え(一部下地補修、アスファルトルーフィング取替え)
・樋は経年劣化していたため、全て取替え
・外壁は出窓・一部窓の撤去に伴い、建具枠周辺の補修もあるため全体をメンテナンスすることとし、シリコン塗装を施した

 

■省エネルギー性

 

・一階居室床:スチレンエースⅡ(ア)40mm/通路:スチレンエースⅡ(ア)25mm/ガレージ天井:ホームマット425(ア)100mm
・外壁側:内側を取り外した箇所のみ、ホームマット425(ア)75mmで断熱性能を確保
・二階出窓は未断熱のため窓枠が結露により腐朽していたため、全て撤去
・吹抜FIX窓以外の建具:アルミ+樹脂サッシ(ペアガラス) に変更
・設備機器も省エネ機器を選択

 

■バリアフリー性

 

・階段:段数を増やし、緩勾配に(階段下は収納設置)
・階段手すり:木製で握りやすい形状に
・玄関、一階LDK、洗面脱衣室等、家事動線部分に絡む部屋は引戸に
・床:すべて張り替え、部屋間の段差を解消
・浴室、WC:手すり設置

 

■火災時の安全性

・寝室、階段:住宅用火災警報器を設置
・ガスコンロ側の壁:不燃キッチンマグボード張り
・LDK壁:PB(ア)12.5mm+準不燃ビニルクロス張り
・屋根:防災平瓦に全て取り替え
・外壁:高圧洗浄の上、弾性系塗装

 

■性能診断結果

住宅医スクールに参加して、受講以前に改修した建物について見直しができました。お施主様には明るく、暖かい、住みやすい家になったと感想をいただいておりました。お言葉通り、数値的にも
劣化対策、省エネルギー性、バリアフリー性、火災時の安全性については性能向上できたことがわかりました。床耐力が低かったので床の補強は行いましたが、柱軸力は満たしていたこと、外壁は触らないことから壁の補強はしませんでした。

 

■竣工

外観

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リビング・ダイニング

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ダイニング・キッチン

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中二階和室を寝室に

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一階和室を書斎とWcloに

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一階ホール

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二階ホール

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外部空間

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■総括

設計当時は予算の都合上、経年劣化した設備機器の省エネルギー改修、台風災害予防としての防災瓦屋根改修に重点を置いていました。住宅医スクール講義受講後、耐震性、断熱性に関して抜本的な改修ができなかったことについては配慮が足りなかったと反省しております。改修から7ヶ月後に起こった熊本地震で被害がなかったことは幸いでした。
住宅医スクールの検定発表会において、耐震補強については、二階外壁がセットバックしていること、スキップフロア(中二階)があることから、慎重な検討が必要とのご指摘を受けました。より耐久性を高めるためには構造の詳細な検討が必要だと感じました。
まだ復興は道半ばです。今後は住宅医として学んだことを改修設計に活かしていきたいと思います。

藤本美由紀

投稿日:2018年06月07日

事例報告(改修事例)2018-80


■改修事例報告
熊本県熊本市 築36年 スマートウェルネスリフォーム
■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:田中 俊史
築年数:昭和56年 築36年(調査時)
主用途:専用住宅
構造・階数:木造平屋建て
敷地面積:208.57㎡
建築面積:89.8㎡
延床面積:87.99㎡
現地調査:2015年10月
着工:2016年9月
竣工:2017年2月 (工事期間5か月)
改修内容:耐震性向上、断熱性向上、間取変更、設備機器入替、屋根葺き替えなど

■現状状況
基礎:布基礎(無筋)
外壁:モルタル
断熱材:床下 無断熱
壁 ロックウール35㎜
天井 ロックウール35㎜
内壁:ラスボード+聚楽壁
合板
石膏ボード+クロス

床材 合板フローリング12㎜ 火打ち有 根太転ばし@303
接合部:接合部Ⅳ:3kN(ほぞ差し・釘)
サッシ:アルミシングルガラス

■ご相談から竣工まで
ご相談受けた時、中古物件を購入し、新築かりフォームかで迷われていました。
建物は36年間メンテナンスがされていませんでしたが、調査を行い、基礎・軸組共しっかりしていたため
リフォームで十分性能向上ができると判断しました。
スマートウェルネス住宅等推進事業の補助金を使うことができたため、断熱、省エネ等の性能向上を考慮し進めました。
2016年5月に熊本地震発生のため、耐震計画の見直しを行いました。変更点として地震地域係数Zを0.8から1.0へ変更し、上部構造評点を1.5以上を目標としました。
また、着工も4か月延期としました。

現状写真

 

 

改修希望内容
使いやすい間取りへ変更
断熱性、耐震性、省エネ性向上
6畳と4.5畳の和室を作りたい
子供部屋を作りたい
収納を増やしたい
車を3台駐車したい

 

 

改修前平面図

 

改修後平面図

 

 

 

■劣化対策
セメント瓦の劣化に伴い、ルーフィングをゴムアスファルトルーフィングへ取替し、防災陶器瓦へ葺き替え。
湿式浴室をUBへ取替え。
布基礎だったため、土間コンクリートt=60mm打設後、防腐・防蟻工事を行う。
外壁が通気工法ではなかったため通気工法へ変更。
水廻り変更により給水・給湯管入替。

■耐震改修提案
一般診断法で評点1.5以上になるよう耐震補強を行いました。
柱の柱頭柱脚を規定の金物で補強を行った。
既存の耐力壁である筋違も全て入替を行い所定の金物で補強した。
解体時、既存の玄関柱に腐朽が見られたため、柱の取替えを行った。

 

■断熱改修対策

既存のアルミ単板ガラスを複層ガラスへ全て入替を行った。
既存の断熱材を全て外し、床に押出法ポリスチレンフォーム保温版(3種)、壁に高性能グラスウール断熱材16K t85㎜、天井にグラスウール断熱材 10K t200㎜を充填した。

改修前 Q値5.78  UA値 1.61
改修後 Q値2.16  UA値 0.54

 

 

■省エネルギー対策
ガス給湯器から高効率エコキュートへ取り替えた
熱源を電気・ガス・灯油だったが、オール電化とし、家計面でも省エネを図った
湿式浴室から、UB高断熱浴槽へ取り替えた。
太陽光発電設備 5.52kwを設置した
■バリアフリー対策
各所にあった段差を大引きまで撤去し、新たに床組を行い段差解消を行った
浴室に手すりを設置した
玄関を東側から北側へ間取り変更し、駐車場部分のフェンスを撤去を行いました。砂利敷きの駐車場を土間コンクリートとし玄関へのアプローチを容易にした

■火災時の安全性
火災、煙報知器を各居室に設置した
ガスコンロからIHへ変更した
消火器の設置を行った

 

 

■総括
当初2016年5月着工予定でしたが、2016年4月の熊本地震の影響により着工を9月に延期いたしました。
同時期に住宅医スクールの講習を受講し、耐震対策、断熱対策、劣化対策、省エネ対策、バリアフリー対策などの重要性を知りました。
住宅医スクールの講義を受け、本工事の耐震計画、断熱について見直しを行いました。
工事が完成し、お客様の感想として、使いやすい間取りになりました。部屋が明るく、冬はとても暖かくなった。素足で生活しています。大変満足されています。
住宅医スクールでは劣化対策・耐震性・断熱性・省エネルギー性・バリアフリー性・火災時の安全性など数値で建物の性能を確認することができるため、お客様への提案がしやすくなりました。
今後も、住宅医スクールで学んだことを実践し、治す力をもった住宅医として改修工事に携わっていきます。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 田中 俊史

投稿日:2018年05月07日

事例報告(改修事例)2018-79


■改修事例報告
熊本県益城町 震災復旧工事
■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:蓑崎寛規
築年数:平成9年 築19年(調査時)
主用途: 専用住宅
構造・階数: 木造2階建て
敷地面積: 464.88㎡
建築面積: 135.44㎡
延床面積: 199.97㎡ (1階125.97㎡2階74.00㎡)
現地調査:2016年6月23日
着  工:2016年8月
竣  工:2016年11月 (工事期間3か月)
改修内容:基礎傾斜修正、耐震性能向上、断熱性能向上、設備機器の更新など
補助金 :益城町宅地復旧支援事業
■現況状況
基礎 :鉄筋コンクリートべた基礎
外壁 :サイディング70~80mm+吹付タイル
断熱材:床ポリスチレンフォーム90mm、壁・天井ロックウール75mm
内壁 :石膏ボード12mm+ビニルクロス
床材 :1階 15mm桧フロア仕上+12mm合板捨貼 根太転ばし@303
2階 12mm合板フロア仕上+12mm合板捨貼 根太転ばし@303

■熊本地震 被害状況
2016年4月14日21時26分に前震、4月16日1時25分に本震と、熊本は立て続けに2度という、今までに経験したことのない大地震に見舞われました。
次の日から弊社は全社員と施工パートナー総出で震災対応チームを編成し、被災地へ応急修理に向かいました。
そういった震災対応をを行う中、私たちは益城町の馬水地区へ向かいました。
この馬水地区も震災被害の多い地域で、道路は波打ち、道の両側の家も倒壊して通行できず、通れる道を探しながら何とか辿り着きました。
今回ご紹介する物件は、敷地の土留めブロックが崩壊し、地割れが発生して建物は東側に125mm下がり、設備配管も破損していました。
近隣の建物が多数倒壊するなか、傾きはしたものの自立して立っていたため、応急修理にお伺いしたのを切っ掛けに、
お施主様より復旧のご依頼がありました。

■改修要望
はやく水平に戻して、震災前の生活を送れるようにしたい。
耐震性・断熱性を上げたい。
給排水設備機器を一新したい。
2階の子供部屋を和室から洋室に作り替えたい。

・改修前 1階平面図                                          ・改修後 1階平面図
 

・改修前 2階平面図                                      ・改修後 2階平面図

■床レベル補正
SWD法による地盤調査で地盤深さ15mまで貫入試験を行ったが、N値は6程度までしか出ませんでした。

 

支持層が見つからない事と 、コスト面から土台から上のジャッキアップを採用することといたしました。

目的: 不同沈下の矯正の為、油圧ジャッキにて揚げ家を行い、
木構造部分の安定性を確保する。
仕様: 大引きまたは柱下に油圧ジャッキをセットして建物を揚げる。
使用機械: 5・10・15ton 手動油圧ジャッキ
連動ジャッキ 油圧バルブ
電動ピック 他
ライナー鉄板 1.2mm、2.3mm、4.5mm、9mm

施工手順:
①基礎開口および斫り解体工事:
床下から現状の基礎形状及び土台の継ぎ手及び仕口を把握した上で、
ジャッキセット位置を決定し基礎部分をジャッキが入る最低限ハツリ取る。
②ジャッキセット:
ジャッキを所定位置へ設置して、高さ調整または土台保護のため
土台下へ鉄板を入れる。
③ジャッキアップ:
ジャッキアップ量5mm程度を1サイクルとし、壁の変形等を観察しながら
所定量までジャッキアップを行う。
④受け方:
原則としてジャッキの両側受けとし 1.2~9mm の鉄板や鋼製束を用いて、
土台と基礎の間に叩き込む。
⑤基礎充填:
ジャッキアップに伴い発生した土台と基礎の空隙にモルタルを詰め込む。
⑥基礎復旧:
ジャッキを取り外した部分はコンクリート表面の粉化物等を除去し、
モルタルで隙間なく充填を行う。
揚げ幅の大きい部分、斫り出したアンカーボルトの補修として、
横方向の鉄筋配筋を実施し固定する。
⑦床受け:
生活に支障をきたさない様、床束高さの調整を行う。

①アンカー斫り出し

②油圧ジャッキセット

③ジャッキアップ

④受け方

⑤基礎充填

⑥基礎復旧


約1ヵ月かけて床をほぼ水平に戻し、一部の床を解体して微調整を行いました。
床レベル補正前                                                               床レベル補正後

  

 

 

■劣化対策
外壁の破損はサイディングの土台付近や窓周りのクラックや欠けなど、比較的軽微でしたので補修のみとしました。
内壁は石膏ボードのクラックや剥がれが多数ありましたので全て剥がしました。
また、敷地が崩落したために給排水配管類が破損したので新たに配管を行いました。

■耐震性
基礎は地盤の崩落により東側に大きく傾いたが、大きなひび割れは発生していませんでした。
土台や柱等の構造躯体も破損は無かったが、内壁を全て解体するのに伴い、さらなる耐震性能の向上の計画を立てました。

                          

■断熱性
壁断熱材の新築当時の施工法は柱の内側に留めつけてあり、また包装も劣化していたため下にずり落ちて断熱の連続性が失われていました。

 

高性能グラスウール16k厚み100mmへと入れ替え、現在の施工基準に則って隙間なく施工しました。

■統括

耐震性以外の性能はあまり上がっていませんが、そもそもの目的はお施主様に震災前の平穏な生活を送っていただくことでした。
震災直後ということもあり、施工パートナーや建材の手配に苦労しましたが、外構工事まで年内に完了し、
お施主様も仮設住宅から戻ってくることが出来て喜んでいました。

熊本では震災から2年以上たちました。
解体工事は随分と進みましたが、まだまだ屋根にはブルーシートで覆われた屋根や、外壁が大きく崩れ、修理を待っている家が見られます。
また、人手不足や資金面から、未だに仮設住宅から自宅へ戻れない方もいらっしゃいます。
先日、私の大好きな熊本城の天守閣の屋根瓦にシャチホコが戻りましたが、周りの石垣の復旧はまだまだです。

今回の震災の経験を通じて、私たち住宅医の使命は人々の生活や命を守るモノを作ることだと実感しました。
今後も住宅医スクールで学んだことを実践して、一日でも早く熊本の皆さんに笑顔が戻るように
住宅医として様々な改修工事を行っていきます。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 蓑崎寛規