№0015〜S保育園 移転改築工事

NPO法人WOOD AC
■工事場所:岐阜県美濃市
■工事期間:平成22年10月~平成23年3月
■構造・規模:鉄筋コンクリート造 3階建て
■築年数:平成元年築(築約20年)
■改修面積:696.918㎡(1階部分のみ)
■施工:小椋工業株式会社
■概要
当初、この改修計画は、既存保育園のシロアリ問題やサッシ不具合に対する相談から始まりましたが、改修計画の検討後、新築にて再計画中に、既存保育園の立地が3年後には土砂災害特別警戒区域に指定されると判明し、急遽、土地探しから行うというゼロからの出発となりました。一方、地域にはいくつかの廃校が存在しました。今回改修した小学校は築20年と比較的新しく、建物的にはまだ耐久年数が見込めるため、地域の方々で話し合った結果、廃校の有効活用と保育園の安全を願い、廃校への保育園移転を決め再計画が行われる運びとなりました。


既存建物写真
緑深い美濃の地において、S保育園周辺は特に山深く、長良川の支流も流れ、水と緑豊かな地域です。この土地に見合った木の温もりを感じ、かつ画一的な小学校の雰囲気を一新してほしい、というのが保育園と地域の方々からの強い要望でした。


建物の外観の様子
面積上、3階建ての1階部分のみを改修、雑壁のみを撤去し構造上主要な部分は触ることなく、出来る限り既存間仕切り位置を活かし空間を再構成しました。木部は全て県産材、床は桧、腰板・建具は杉材です。クラスルームの黒板は再利用、表面にホワイトボードを張ることで小学校の面影を残しつつ、保育室の機能を満たしています。今後増加が見込まれる未満児室は、室内で過ごす時間が多い園児のために空間は広めにし床暖房を導入、畳は地域性を活かした和紙畳を採用しました。

保育室の様子

未満児室
小学校の単調な下駄箱が置かれていたエントランスは、木の温もりあふれるエントランス兼絵本コーナーとし、毎朝園児と保護者の方々を迎え、また地域の方々との交流の場となっています。エントランスからは、腰壁で区切られた園児用トイレがつながり、プライバシーを保ちつつ明るく清潔感あふれ保育者の目の届きやすいオープントイレとしました。
 
左 オープントイレ            右 エントランス兼絵本コーナー
また、全体的に既存建物は薄暗い印象でしたが、内部壁を光差し込むガラス入木製建具へ変更し、より奥へ自然光を導入、また掲示を兼ねた白壁と木部の調和の取りながら保育室や遊戯室、廊下などの室内空間を構成しています。

廊下の様子

木造建具と遊戯室
園児の笑顔が毎日あふれる保育園として、地域に根付いていただきたいと願っています。


Title 事例紹介2011-15
Posted 2011/07/10
Category 改修事例紹介