№0005〜東住吉の長屋改修工事

有限会社 羽根建築工房
設計・施工:羽根建築工房
■所在地:大阪市東住吉区
■工事期間:2007年6月~2008年1月
■主要用途:専用住宅
■構造規模:木造2階建て
■築造年数:築約75年
■床面積:1階 67.79㎡(20.5坪)
2階 59.67㎡(18.0坪)
延床 127.46㎡(38.5坪)
■改修概要

この一帯は戦時中の空襲を免れ典型的な大阪の長屋の町並みが形成されてる。
この建物は南入りで西、北には路地があり、東隣は壁続きですが、数年前に建替えられた。
外観は門を保存し、アルミサッシは木製建具に戻し、ガレージ、ベランダは目立たぬよう色のトーンを落とし板張りの壁で囲いました。
目立たず、町並みになじんで欲しい。

改修する最大の理由は、日常生活の利便性の向上であった。
水周りは方々に散在し、1階は寒くて陰鬱で生活できず、玄関脇で作った料理をガレージに出て2階に運び、食事をしているような状況で、台所で作ったものがすぐ食卓に出せるようにという「普通の生活」が第一の要求であった。
台所を対面式にして床レベルを下げることで、ダイナミックな木のカウンターと堀座卓を一体化させ、会話の目線と庭を眺める目線をそろえている。

改修にあたっては、1階と2階にある2つの座敷を保存再生することが前提条件となり、近年の改装で手を加えたベニヤやクロスなどはすべて撤去し建建築当時のものはできる限り残し又は再利用し、無垢の木と土や漆喰、瓦といった素材で改修することとした。
断面的には1階の座敷と2階の座敷の中間、建物のほぼ中央部分に階段を設け、その上部には越し屋根を設けて建物中央に光と風を呼び込む計画とした。
また縁側にもトップライトを設けることで、1階座敷を明るくし居間としてくつろげるスペースにした。

この家は度重なる増改築がなされていたが、必要に応じて部屋や便所、キッチンを足していくという具合で、かえって建物を暗く不安定にし生活の利便性、快適性を失うという結果になった。裏庭に跳ね出して増築された2階を撤去して明るい庭を取り戻し、「この庭をどこからでも眺められるような暮らし」というのが軸となっている。


Title 事例紹介2010-5
Posted 2010/09/10
Category 改修事例紹介