№0034〜文京区15坪の住宅 改修工事

田中ナオミアトリエ
■工事場所 東京都文京区
■工事期間 平成24年1月(解体着手)工事8月~12月
■用途 専用住宅
■構造・規模 木造二階建
■築年数 築50年
■床面積 49.72㎡ 一階25.04㎡24.68㎡
■施工 かしの木建設株式会社
■長期優良住宅先導事業(国土交通省)
性能向上レベルの明確化 木造建築病理学「既存ドッグシステム3」に基づいて設計
■概要
2012年1月に詳細調査を行った住宅が年末に無事竣工した。
詳細調査の模様はこちら
調査時から問題が山積みで、しかしながら調査に入って見てしまった以上、蓋をするわけにはいかないのであり、端からひとつづつ丁寧に着手することとなった。
幸いなことに、長期先導優良事業費補助金の交付を申請するチャンスに恵まれ、「性能向上レベルの明確化」の提案に基づいて、端から丁寧に工事に着手することとなった。
まず、この建物には基礎らしきものがなく土台もない。

場当たりな増改築を繰り返した跡がきっちりと床下に残っていた。
構造事務所と相談して、べた基礎を打つこととして、解体後鋼製束にて土台を敷き込、防湿+配筋+基礎打設をした。

柱梁を補強し、腐朽している材料を交換していく。
   

現場に行く度に、足腰が固まっていく様子は、非常に頼もしく、同じような築年数の近隣の住人達も興味深々であった。
もちろん予期せぬ腐朽や柱に冷媒管の穴など、施工者は冷や冷やする場面も多く、苦労をおかけした。

住み手も最初は「収納」「内装」に関心をとられていたものの、光が入って風が抜け、この建物にまず必要な施術は、性能向上であることが体感出来て姿勢が変わった。
   
設計においても、補助金の交付をうけるべく「既存ドック3」の性能にするために、知恵を絞る必要がある部位がたくさんあり(画像のトイレのバリアフリー化など)、とても有意義な経験をした。
   

暗くて陰湿で愛されていなかった建物に、光に満ちて風が抜けた。
力をいっぱい出してくれた真摯な施工者と構造事務所というチーム。住宅医ネットワークの関係各位のおかげである。
引き渡して数ヵ月後に伺った際に、早速「床のお手入れはどんな風にしたら?」と聞かれて、愛着を持って可愛がってくれている様子がわかってとても嬉しい。
余談であるがこの改修を機に住み手が再婚した。重ねて嬉しい。(田中)


Title 事例紹介2013-34
Posted 2013/05/02
Category 改修事例紹介