№0033〜海老江のいえ 改修工事

MSD
■工事場所:大阪市福島区
■工事期間:平成24年9月~平成25年3月
■主要用途:専用住宅
■構造・規模:木造2階建
■築年数:築104年
■床面積:延床面積94.36㎡(30.01坪)、1F床面積:53.35㎡、2F床面積:46.03㎡
■施工:コアー建築工房
■長期優良住宅先導事業(国土交通省)採択
■木造建築病理学「既存ドッグシステム3」 に基づいて設計
概要
2012年4月に詳細調査を行った大坂市福島区の物件が完成しました。
↓詳細調査の様子
http://hd-n.net/2009cgi/gallery/archives/170.html
この物件は築100年を超える建物で、2戸1の長屋の一軒です。
今回はお隣と壁を共有しているため、お隣の建物が先になくなることも想定しながら改修を行いました。
【解体】

▲建物を解体し始める前は清祓式を行います。

▲解体後の様子です。建物は構造体と外壁のみを残してスケルトンの状態まで解体を行いました。

▲基礎の様子です。元々の基礎は地面に直接土台が敷いてあり、その土台が柱を支えています。調査を行った際、蟻害が見つかったこともありますし、地面近くに木部があるのは劣化の危険があります。また、構造的にも基礎は大きな要素を占めています。今回は構造的、劣化の観点から、建物を壊さずに新築並みの基礎を造ります。
【基礎】

▲既存の基礎の足元を切り取り、また地面に置いてあった土台を撤去しています。そして新しい土台を入れ込んでいます。柱がなくなってしまうと建物が倒れてしまいますので、土台の下に仮支えを入れています。

▲木の支えがあると、基礎が打設できないため、鉄製のコラムを造って支えています。

▲コラムで建物を支えている状態で基礎の型枠を組み、コンクリートを打設しました。建物を壊すことなく基礎を新たに造ることができました。
【躯体補強】

▲基礎ができたところから、土台を敷いていきます。

▲既存の柱、梁を使用していますが、構造的に不十分な梁には補強のために梁の下にもう一本梁を抱かせたりしています。また、お隣と壁を共有している面は、将来隣の建物が解体することになったことを想定して新たに柱を立てていきます。

▲屋根は瓦の屋根を板金の屋根に葺き替えるため、屋根面に構造用合板を張って水平方向に対する建物の固さを確保しています。

▲既存の大屋根も使用できる材は利用し、足りない材を追加して補強しています。

▲瓦屋根はきれいに板金葺きになっています。写真右上の立ち上がりはお隣の瓦屋根と縁を切るためのうだつです。
【断熱材・耐力壁】

▲壁の補強は構造用合板を張りつけることで行います。構造用合板を張るための受材の隙間の空間を利用して、断熱材を詰め込んでいきます。隙間なく詰められているか確認します。

▲断熱材が詰め込まれた後、構造用合板で蓋をします。構造用合板のための受材でできた空間を断熱改修にも利用しています。

▲床も断熱材がしっかりと敷き込まれています。
【外観】

▲改修前の外観

▲改修後の外観

▲改修後の外観、正面
【建物内部】

▲改修前
居間の様子

▲改修後
上の写真と同じアングル。TV台の奥には階段があります。

▲改修後
玄関から入ってすぐ、居間の様子

▲改修前
キッチンの様子。

▲改修後
改修前の流し上部の窓を、掃き出し窓に。(写真奥)人工大理石を使いオリジナルキッチンを造りました。

▲改修前
2階の様子。日中も暗く、照明が必要。

▲改修後
2階ホールの様子。
新たに窓を設けることで、明るい空間になりました。
長年大切されてきた住まい。これからも末永く住まわれることを期待します。


Title 事例紹介2013-33
Posted 2013/04/10
Category
改修事例紹介