夏の節電でSDGs ~ 家電・照明・冷房で光熱費を削減しよう!| リレーコラム2022年8月

村上 洋子 (住宅医協会理事 / 愛媛県・大阪府

暑い日が続いています。今年は梅雨明けが早く、本格的に夏が始まっても全く蝉の鳴き声が聞こえない、不思議な期間がありました。皆さんがお住まいの地域ではどうだったでしょうか。
この夏はコロナ禍による物価上昇に加え、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー資源価格の高騰もあり、これまで以上に省エネや節電について考える機会が増えました。
昨年は「太陽熱」を利用して、温暖地における住宅の1次エネルギー消費のうち3分の1を占める給湯の消費を削減しませんか?というコラムを書きました。

前回コラムは、画像をクリック

今年は、光熱費削減につながる、夏場の省エネと節電のヒントを書いてみようと思います。

今回ターゲットにする、家庭の1次エネルギー消費は、家電、照明、冷房です。消費全体における、それぞれのエネルギー量の割合は、6地域の温暖地(東京・大阪など)で家電22%、照明13%ほどで、合わせると総量の3分の1を超えます。冷房は同地域で7%ほどで、思ったより小さなものです。熱中症は住居で最も多く起きています。無理せず冷房を使ってください。
では具体的に何をすればエネルギー消費を抑え電気代の節約につながるのでしょうか。

1.熱を入れない

夏場はなんと言っても、熱を室内にできるだけ入れないようにします。窓から入る日射を、窓の外側でさえぎると効果的(日射遮蔽)。すだれや緑のカーテンのような取り外しできるものだと、冬には日射を取り入れて室内を温めることができるのでお勧めです。
すだれを取り付けるときは、窓から離すよう注意してください。すだれ自体が熱くなっているので、窓にくっついていると熱を入れてしまうことになります。

2.エアコンの効果を落とさない

エアコンを効果的に使うには、まずフィルターの掃除です。エアコンは室内の空気を吸い込んで循環させているため、フィルターが詰まっていると頑張って空気を吸おうとします。そこで余計な電気を使うことになり、電気代が上がってしまいます。2週間に一度はフィルターの掃除をしましょう。
室外機にも注意が必要です。見栄えを良くするため、屋外機を木材などで囲って隠している光景をよく目にします。冷房中は室外機から熱を排出し続けているのですが、そこに囲いをつけるとうまく熱が逃げず、たまった高温の空気を再び吸ってしまい、効率が大きく低下することになります。

3.長期間使う家電や照明に気をつける

先に書いた通り、一年を通して使用する家電や照明のエネルギー消費は、冷房のエネルギーよりずっと多いので、節電しがいがあります。ポイントをいくつかあげてみると、

・照明器具をLEDに交換する
蛍光灯の消費電力はLEDの約1.5倍から2倍。最近はLED電球がずいぶん安く手に入るようになったので、ぜひLEDに付け替えてみてください。

・暖房便座
まさかと思いますが、夏場、たまに暖房がついている便座に座り驚くことがあります。冷房を入れる時期が来たら暖房便座は切りましょう。保温にはエネルギーが多く使われるので、暖房中は便器のフタを閉めて、熱が逃げないようにするのが大切です。

・テレビの電源、明るさの調整
最近のテレビの大画面化にともない、テレビの電力消費量が増えています。見ない時は消す、を心がけましょう。主電源を消すと、より効果的です。明るいほどエネルギー消費が増えるので、見やすい輝度に下げてみてください。

4.古い家電の買い替えと便利なツール

新しい家電は省エネ効果が高くなっているので、買い換えることで電気代の節約になることがあります。買い替えを考えたら、環境省の「しんきゅうさん」を試してみてください。
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/ (クリックで外部ページに移動)
古い機器と新しい機器を比較して、省エネ効果や電気代の目安を教えてくれます。

出典:環境省「しんきゅうさん」

5.エアコンの選定方法と便利なツール

 そろそろエアコンを買い替えよう!とネットで検索したり、家電販売店に行く前に、あらかじめ知っておいて欲しいことがあります。
カタログの、◯畳用というのは、無断熱の木造平家、南向き が条件になっています。まだまだ無断熱の住宅が主流を占めているので、ニーズに合わせているのです。販売店では、販売したエアコンが効かないと大問題ですので、大きめの機種をお勧めします。が、住まいの断熱性能が上がっている場合は、カタログの◯畳用より小さい機種で大丈夫なのです。
カタログを見ると、「通年エネルギー消費効率(APF)」という値があります。これは、1の電気から冷房や暖房に利用できる熱量を表していて、数値が高いほど効率が良いことになります。6畳用の小さいエアコンと、大きな面積をカバーできる大きなエアコンのAPFを比較すると、小さいエアコンの方がAPFが高いことがわかります。
設定室温に達したら、エアコンはノロノロ運転を始めます。そうなると大きなエアコンの効率は落ちてしまうのですが、小さなエアコンはそんな時でも効率よく動いてくれます。
いよいよエアコンの機種選定!になったら、エアコン選定支援ツール「ASST」が役立ちます。
https://criepi.denken.or.jp/asst/ (クリックで外部ページに移動)
このサイトでは、前述した住まいの断熱性能を考慮した設定ができます。ここで出た最終結果の「お勧めエアコンの能力(kW)」はカタログの「冷房能力」を示しています。ツールを利用して、エアコン選定の目安にしてください。

出典:電力中央研究所(エアコン選定支援ツール「ASST」)

6.エコキュート

給湯機になりますが、エコキュートの設定もチェックしてみる価値があります。電気料金の安い深夜にお湯を沸かし貯めておくエコキュートは、使用を続けるうちに学習し、自動で必要なお湯の量を決めてくれます。そのため、一年中「省エネモード」や「エコモード」(メーカーによって呼称は違います)にしておくのがおすすめです。
無理のない範囲で節電し、CO2排出を減らして光熱費も下がると良いですね。冷房を上手に使い熱中症に気をつけて、酷暑を乗り切りましょう!

 


【関連情報】
・太陽熱でSDGs「太陽熱給湯」はいいですよ!!~住宅医リレーコラム2021年8月 https://sapj.or.jp/column210810/
・環境省「しんきゅうさん」 https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
・電力中央研究所「ASST」 https://criepi.denken.or.jp/asst/