太陽熱でSDGs「太陽熱給湯」はいいですよ!!~住宅医リレーコラム2021年8月

村上 洋子(住宅医協会理事 /  愛媛県・大阪府)

皆さんは太陽熱温水器にどんな印象を持っていますか?
ひと昔前にはピカピカ光る温水器が屋根の上に乗っている姿をよく見かけました。一時期、強引な販売方法が問題になり、負のイメージがついてしまったせいか、売電で急成長した太陽光発電に比べると存在感が薄い温水器。でもエネルギー削減の観点から見ると、もっともっと表舞台に出てきてもらいたい存在です。

毎年、辻先生の講義で説明がある通り、温暖地における住宅の1次エネルギー消費のうち、給湯の割合が3分の1を占めます。そのため水まわりの改修の機会に効率の良い給湯設備に交換することは、省エネルギーの観点からとても重要です。

私も辻先生の講義を聴いて、「実家の改修時には絶対に取り入れよう!」と動かされ、10年前に導入した結果、とても満足しています。そして自然エネルギーである太陽熱をそのまま利用して水を温める、ロスの少ない優れた省エネ設備「太陽熱給湯」がもっと普及したらいいなと思っています。

太陽熱給湯装置は、集熱部と貯湯部が一体化した「太陽熱温水器」と、集熱部と貯湯部が分離された「ソーラーシステム」に分けられます。

太陽熱温水器は構造がシンプルでイニシャルコストが低く、基本的に浴槽のお湯はりに使用されます。温水器本体に電力を使用しないため、より省エネと言えます。

集熱部と貯湯部が一体型になっている構造から、本体重量に加えて貯水の重量がかかるため、改修時に導入する場合には構造補強を考慮しないといけません。また、凍結や積雪のある地域では冬場の集熱が困難です。


太陽熱温水器:集熱部4㎡、貯湯タンク200L

ソーラーシステムは、集熱部と貯湯部が分かれているので、パネルだけ屋根に乗せればよく、改修時にも導入しやすい構造です。

電力を使い不凍液をぐるぐる循環させる仕組みで、集熱パネルで温められた不凍液が貯湯タンクに戻り、その熱を使ってタンク内の水を温めます(熱交換)。温水は浴室だけでなく台所などでも使うことが可能です。また、不凍液を使用することで冬場にも集熱が行えます。ですが、不凍液の循環に電力が必要なので、そのぶん太陽熱温水器に比べると省エネルギー上では不利になります。


ソーラーシステム:集熱パネル 4㎡


ソーラーシステム:貯湯タンク 200L

太陽熱温水器、ソーラーシステムともにガスや電気の補助熱源の併用ができ、辻先生のお宅(カミノハウス)、私の実家ともに潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)を使っています。

実家では2020年1月から12月まで1年間のガス使用量は97㎥、料金は37,566円でした。2011年に改修し、LPガスから都市ガスに変更と同時にソーラーシステムも設置。改修前は調理にLPガス、給湯は灯油で、年間のガスと灯油の使用料が50,000円程度削減しました。導入後10年が経過したので、ソーラーシステムのランニングコストはほぼ回収できたと言えます。

カミノハウスの場合、シャワー(浴槽無し)、洗濯機の混合栓、台所の3カ所で使用。お湯の温度が40℃を超えている時が多いので、普段ガスは使用せず、シャワーの時だけ40℃を下回るとガスで加温されるそうです。

平成26年の価格で、本体16万+工事費+雑費20万=36万円で設置。以前のお住まい(RC造集合住宅)時代の従来型ガス給湯器+調理でLPガスが年間9万だったのものが、温水器+調理でガス代が年間3万くらいに削減されたそうです。講義では薪ストーブで調理の写真もみせていただきましたね!

都市ガスに比べ価格の高いLPガスは、ガス代の削減が大きく、イニシャルコストも早く回収できそうです。カミノハウスの場合も6年程度で元が取れたそうです。

ソーラーシステムのマイナス点である電力についてですが、実家の貯湯タンクは運転時の消費電力が110Wあり、1日7時間稼働すると、年間の電力量は282kWhにもなります。これを1次エネルギー換算すると2.8GJで、給湯全体の熱負荷(約20GJ)の14%にもなります。年間の電気代にして約7,600円。これをもっと減らしたいところです。

この部分もこの10年で進歩して、消費電力の小さいDCポンプが採用された機器もあるようです。導入を検討する際にはポンプ電力のチェックも行ってください。

ソーラーシステムで沸かしたお湯は「日なた水」のように、肌に柔らかく感じます。地域区分が7地域になってしまった松山市では、夏場だけでなく中間期にもガスを使用しなくてもお湯がたっぷりあり、汗をかいたらサッとシャワーを浴びて気分爽快です。


「高温」の左隣に太陽マーク。60℃以上のお湯が沸いている

冬場はさすがにガスの力が必要ですが、外気温と同程度の水温を太陽熱で温め、必要な温度までの差を小さくすることで、給湯にかかるエネルギーを大きく減らせます。

シンプルで質実剛健なだけ目立ちにくいけれど、もっと評価されるべき素晴らしい設備です。みなさんもぜひ、太陽熱給湯の導入をご検討ください!