各地の住宅医の日々№07 〜土砂災害特別警戒区域と改修

村田 知也(住宅医/山根木材リモデリング株式会社/広島県)

私は広島で改修を中心に設計や工事監理をしている住宅医です。広島は冬が寒いので、温熱改修の依頼が多くあります。また、耐震についても需要があり、補助金の募集には多くの方が応募されています。特に長期優良住宅化リフォーム推進事業を活用したいという方に多く出会うようになりました。既存建物の調査、劣化改善、性能向上といった提案は、住宅医の得意とするところです。住宅医に対するニーズはますます高まっているのではないでしょうか。
さて、私からは土砂災害特別警戒区域についての報告です。広島は、土砂災害特別警戒区域が多い地域です。新築や増築ではさまざまな制約がでてきますが改修部分は既存不適格となり、現状の形状を継続できます。改修をする場合はクライアントの生命と財産のバランスの中で設計方針を固めていく必要があり、自由度がある分、大変です。

建物・道路・山

1つ実例を紹介します。写真の建物は広島市西部の山間にある、お茶の稽古場です。昭和38年に建てられた建物で、3年前、土砂災害特別警戒区域に設定されました。改修工事では敷地の中で指定された部分をRCとしました。また、過去の水害で予め木材の被害を予想していた部分を解体してみると、やはり、柱や土台が腐朽していました。クライアントと相談して、腐朽部分の改修だけではなく、予防として基礎の新設や排水口の設置をしました。

過去の洪水により腐朽

土砂対策基礎




先般、熱海で土砂災害の被害が発生しました。梅雨の末期には、どこで線状降水帯が発生するか分かりません。クライアントに正確な情報を伝え、改修が可能な場合は適切な計画を提案していきたいと思います。