各地の住宅医の日々 №34 小さなリフォームの相談から大きな被害を回避。住宅医のネットワークを活用。

槻岡 佑三子住宅医 / スタジオソイ一級建築士事務所 / 東京都杉並区

高齢で階段の上り下りが難しくなった母親のための収納スペースを1階に設けたいという、小さなリフォームの依頼がありました。付随的に、2階の床が下がって窓がしまらなくなっているので直したいというお話もありました。床が下がっている部分の下階は居間で壁がなく、梁に大きな荷重がかかっていてることが考えられました。
現時点では大きなリフォームは考えていないが、いずれは耐震補強も考慮しなければと考えているということでしたので、詳細調査をして現況を把握しましょうと提案しました。

関東住宅医ネットワークの協力を得て詳細調査を実施したところ、2階床下の調査を担当した滝口さんから、該当箇所を直接確認はできないが大梁がたわんでいる様だとの報告がありました。


建物調査時:大梁がたわんでいる様に見える。

クライアントへの調査報告の際、大梁の下に柱を立てて補強した方が良いとお話しましたが、居間に柱が立つことには難色をしめされていました。収納と合わせてできるだけ邪魔にならないようなに計画することで納得していただきました。

工事のために天井を解体したところ、大梁はたわんでいるのではなく破断していることがわかりました。大梁の下側に節があり、そこに荷重がかかったことで破断した様です。


解体時:大梁の下側が破断している。

調査をして気がついていなければ、いつ梁が落ちてもおかしくなかったと思います。
補強工事に際しては、住宅医協会の専門家相談サービスを利用し、構造の河本先生にアドバイスをいただきました。


大梁の補強

クライアントの要望で短期間で工事を終わらせる必要があり、応急処置的な工事にはなりましたが、ひとまず梁が落ちる危険性は回避でき、間に合ってよかったと思います。

槻岡 佑三子
©Yumiko Tsukioka , jutakui


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