住宅医の改修事例№0117 地域工務店の住宅医の在り方~小規模な案件を丁寧に

角 和樹 (住宅医 / ㈱山弘 リフォーム事業部 / 兵庫県)

はじめに

弊社は、兵庫県宍粟市に拠点を置く、地域工務店です。
ご縁あって、住宅医スクールを受講させていただき、様々なことを学びました。
現在は住宅医として、弊社のリフォーム事業部に所属しており、比較的小規模の案件を数多く担当しております。
地域工務店に所属する住宅医として、何ができるのか。
いくつかの事例を紹介しつつ書かせていただければと思います。


  屋根谷板の改修 〜宍粟市 K様邸

小規模なリフォーム工事の中でも最も難しい工事が、雨漏り修理のご依頼です。
今回の事例は、比較的わかりやすい原因でしたが、雨漏りには原因がいくつもある場合や天井点検口を取付け調査する場合もあります。
この事例では、屋根谷部の銅製の谷板が酸性雨によって穴が開いてしまい、雨漏りをしておりました。谷板をステンレス製のものに交換し、他屋根瓦の補修も行いました。
雨漏りは、「劣化対策」の一部や「耐震性能」にも関わる重要な部分です。調査の際、どこを見れば良いか、住宅医としての目を養うようにしています。

①既設の谷板際部の瓦をめくります。 ②既設谷板を取外し、ルーフィング(防水紙)を敷きます。 ③新設の谷板(ステンレス製)を敷きます。 ④谷板際部の瓦を復旧して完成です。

 


壁紙のめくれたつの市 K様邸

ご依頼いただいたのは、リビングのソファのうしろの内壁、壁紙のめくれでした。
現場確認後、まず壁内結露を疑い、最悪の状態を視野にいれて、以下のような修理方法を検討していきました。

  1. 壁内結露により、断熱材が劣化していた場合は、広範囲に壁めくり、新たに断熱材を充填、施工し復旧する。
  2. 断熱材が未施工の場合も、Aと同様の施工を行う。
  3. 断熱材に影響なく、壁表面のみの湿気の問題であれば、石膏ボードをそのまま復旧する。

すでに現状の石膏ボードが傷んでいたことから、一部石膏ボードをめくり、断熱材が健全な状態で入っていたことが確認できました。そこで、C案の「そのまま復旧する方法」をとることにしました。

施工後、お客様によくお話を聞くと、冬場は暖房器具を使用し室内が乾燥するため加湿器を使用されるとのこと。また、毎晩、部屋干しをされるとのこと。窓ガラスの結露も多いとのことで、ソファのうしろが湿気だまりになっていたようです。
そこで工事完成後、 水分の発生する生活を少し控えていただくようお願いをいたしました。今回のことで事前の「ヒアリング」の重要性を、改めて認識した次第です。

 


 ■ 白蟻被害  〜赤穂市 T様邸

出窓で白蟻をみた。と調査、改修のご依頼をいただきました。まず床下を点検しましたが、べた基礎になっており、蟻道もなく侵入経路が分からない状態でした。
出窓廻りの壁は傷んでおりましたので、調査と改修を兼ねて、壁をめくることになりました。
壁内の松を使用した材木は既に蟻道で真っ黒な状態になっており、施主様もショックを受けておられました。蟻害部材木の取替え、薬剤散布を行い、内装工事を経て、内部は改修を終えました。

ここしか無いという思いで、外部基礎の化粧モルタルをはつり取ったところ、外貼断熱材のスタイロフォームに多くの蟻道を発見することができました。建物すべての化粧モルタル部をはつり取り、薬剤散布をして補修を行い、処理を終えました。

出窓の上端からも雨水侵入があったようで、様々な要因が重なり、白蟻被害に至ったようです。白蟻被害の「劣化対策」は、その特性をきちんと理解し、対策を講じることが重要だと、改めて感じました。

おわりに

様々な業界からリフォーム業への参入が増えてきています。特に、大規模な改修案件でなく、小規模な改修案件にその傾向がみられ、簡単便利な商品に飛びつく、住まい手も多いのではないでしょうか。「屋根瓦が割れていると言われたが、割れていなかった。」「床下に調湿材を巻き、多額の請求をされた。」「給気口の部材を外すと穴が開いていなかった。」など、いろいろな案件をみてきました。
正しい改修の知識を持った住宅医の活動が、少しでも多く世間に広まることで、住まい手の「業者選び」への意識が向上されれば幸いです。
そのために、弊社でもフルリノベーション案件での全件インスペクション(事前調査)の実施や、それに付随する商品開発を目指して尽力しております。
工務店だからこそできる住宅医の活動を、これからも微力ながら続けていきます。

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