住宅医リレーコラム ~2020年1月

山辺豊彦(山辺構造設計事務所)

明けましておめでとうございます。
新しい年を迎え、全国の住宅医協会会員ならびに協力関係者の皆様の健康と益々の活躍を祈念申し上げます。

日本の主な被害地震とプレート境界・活断層  (出典:「ヤマベの木構造増補改訂版」に加筆)

昨年も自然災害の多い年でした。日本に自然災害が多い理由としては、以下のようなことが挙げられています。

  1. 日本列島は4つのプレートによって形成されているため、地震や火山活動が活発であること
  2. 急峻な地形で、河川の流れが速いこと
  3. アジアモンスーン地域に位置しており、梅雨と台風の時期にしばしば集中豪雨が発生すること
  4. 土地利用が過密で、都市や農地が河川や海岸、火山に接していること

このような厳しい環境に対応するため、安全で快適な住まいを維持していくことが社会的に求められており、住宅医はその一役を担っています。
そのような役割をきちんと果たすためには、まず入念な調査を行って、建物の現状を正しく把握し、そのうえで適切な補強計画を立てることが重要になります。

 

キーワードは「連続性」

改修が新築と大きく異なるのは、建物が既に存在している、ということです。当然のことですが、それゆえに新築よりもはるかに高度な技術力が必要になるのです。

調査および補強設計を行ううえで、構造的に最も重要なことは「部材の連続性があるか」という視点を持つことです。
軸組計画においては「上下階の柱の連続性」を、耐力壁は「基礎梁および各階の床(水平構面)との連続性」を、特に意識して見て下さい。連続性の途切れているところは、何かしらの対応を考える必要があります。

木構造の基本要素

例えば、下階に柱が無い(柱の連続性がない)場合は、床梁だけではなくその上の小屋組の状況もよく見たうえで、床梁や小屋組の補強を行う必要があるでしょう。

柱の連続性がない事例

 

また、耐力壁が天井までで止まっている(耐力壁の連続性が無い)場合は、主要な梁まで耐力壁を伸ばすのか、柱を補強するなどの対応を考える必要があります。

耐力壁の連続性がない事例

 

吹抜けがあるときは、床(水平構面)の連続性が途切れているということなので、床面が不均一に変形しないように、耐力壁を増設したり、床面の水平剛性を高めるといった補強が必要になります。

床の連続性がない事例

建物の安全性を確保するには、基本となる骨組みがしっかりしていることが大前提です。
さまざまな制約条件がある中で、適切な判断ができるように、今年も講義や実測調査、検定会などに積極的に参加して研鑽を積み、信頼される住宅医を目指しましょう。


関連情報

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