№0002 [与謝野の家]使いやすく安全な内玄関の提案~高齢者夫婦と娘夫婦の家の改修

《改修の概要》
○場所 京都府与謝郡与謝野町
○規模・築年数 (平屋棟)木造平屋建 延床140.20㎡ 築33年
(鉄骨棟)S造+木造2階建 延床90.81㎡ 築19年
○予算 工事費+設計費で2000万円
○補助金 超長期モデル補助金180万円 与謝野町耐震改修助成金60万円
○主な改修性能(平屋棟のみ)耐震等級3 省エネ等級3 高齢者等級3
○工期 2009年10月~2010年1月



《改修の特徴》
80代の両親とその娘夫婦のための住宅改修です。
家族共通の団らんの場であるLDKと両親の寝室がある「平屋棟」を重点的に改修し、超長期住宅先導的モデル事業に則り、耐震・断熱・バリアフリーなど、高い性能を実現した改修です。
また娘夫婦の寝室がある隣の「鉄骨棟」と「平屋棟」との間に、「内玄関」を新設し双方を繋げることにより、両親と娘夫婦それぞれの暮らしと屋外空間とをゆるやかに繋いでいます。
与謝野の家は傾斜地に建っているため、以前の玄関は急な使いにくい階段をのぼってアプローチする必要がありました。また広大な敷地に複数の棟が建っているためにどこがメインの玄関かわかりにくく、家族も来客もいろいろなところから出入りする、という散漫な動線になっていました。また敷地が広く増築を重ねたことで、家族の居場所が分散し、どこに誰がいるか把握できない状況になっていました。
改修前のこの住まいを拝見し家族の生活を伺うにつけ、「みんなが使いやすいアプローチと玄関をつくり、家族や来客の動線を整理し、家族の出入りや交流の場である住まいの中心をつくる」ことが改修設計のミソとなりました。
 
日常的に車で外出することがほとんどであるため、駐車場から出入りしやすい安全な屋外階段を新たに設け、雨雪がかかって滑ることのないように屋根を設けています。(与謝野町は多雪地域です。)一段一段ゆるめの勾配で握りやすい手摺もあります。
階段を上ると広めのポーチがあり、ポーチと隣接して屋根付きのサービスヤードがあるので物干しや畑仕事に重宝している様子です。サービスヤードには道路面からの目隠しになる板塀もつけています。ポーチ・サービスヤード・内玄関は段差なく行き来できるようレベルをあわせています。
 
ポーチから内玄関の出入り口はガラス引戸と格子付網戸が付いているので夏場は防犯しつつ風を通すことができます。内玄関から右に入れば平屋棟のリビング、左の階段を上れば鉄骨棟へとつながります。内玄関には手摺やベンチも設け、ここで一息つくこともできます。こげ茶の建具は改修前の既存のものを全て再利用しています。
先日メンテナンスでお邪魔をし、以前より気持ちよさそうに暮らしていただいているのを確認してホッとしました。
改修設計は性能やデザインや使い勝手をアップさせるだけでなく、住まい手の生活の仕方や家族の抱える問題に深く入り、適切にメスを入れることになります。住宅のハードを改修するだけでなく、暮らし方のソフトの問題も分析し、かつ改修工事による住まい手の精神的・肉体的な負担もフォローする必要があります。
今回の工事で高齢のご両親に「使いやすくなった。冬も暖かくて居心地が良くなった。」と言っていただき、何よりも娘さん夫婦から、「家にいる時間が長くなり、家や庭や生活に手間を掛けようと思うようになった。」と言っていただけたのが一番の収穫でした。
新築設計も楽しいですが、更にディープな技術が必要となる改修設計に、またこれからも取り組んでいきたいと思います。


Title 事例紹介2010-2
Posted 2010/06/10
Category 改修事例紹介