各地の住宅医の日々No9 ~コロナの後を妄想して

田原 義哲(住宅医 / (株)紙太材木店 / 岐阜県)

岐阜県の美濃地方に住んでる建築屋です。
美濃地方と言っても広く、大きく分けると東と西つまり、東濃地方と西濃地方に分かれます。
昔は住まいに使う材料、つまり木は川を使って筏を組んで運ばれました。
私の住んでいる川辺町にも綱場があり、ダムができるまでは大いに栄えていました。綱場というのは川に丈夫な綱を張って上流から流してきた木材を一時、溜め置きし筏に仕立てる場所。木材の集積、中継地でした。飛騨川では川辺町の下麻生綱場、木曽川ではお隣の町、八百津町の錦織綱場が有名です。それぞれ飛騨(岐阜)と木曽(長野)の山林から切り出された木材を筏にして流し、犬山を経由して桑名と白鳥の貯木場へと運ばれ、さらに名古屋の市場を通して各地に運ばれました。


出典「ふるさと岐阜の歴史をさぐる」No27

東濃地域は木曽川水系と飛騨川水系、西濃地域は長良川水系と揖斐川水系に分かれ運ばれる木も木曽川と飛騨川は桧、長良川と揖斐川は杉が主流でした。
自ずと、それぞれの地域で使われる木も地元産の木となりますから、私の住んでいる地域で杉の柱を使うというのは論外ということになります。
それは桧の方が上ということではなく、なんでわざわざ他所から運ぶのか、なんで地元の木を使わないか そんなニュアンスの論外ですから、地産地消が当たり前の時代ということになります。でも、少しは桧の方がいいという意識もあったかもしれません。

そんな時代背景の中のウッドショック、東濃地方で開催される木材市には毎回遠方からの参加される方も多くいて、月2回の開催日には京都、福井、山梨など地方の車のナンバーも多くみられます。一般の流通材より2割ほど安く購入できますが、価格は値上がり傾向です。出材自体が限られますから、価格が抑えられているのは関係者の考えによるものと思われます。加えて、鉄筋、ガルバリウム、クロス、電線などの素材も軌を一にして値上がりしてきました。
さて、現在の状況で新築注文住宅の価格はどこまで上がるのか?新築マンション価格はこの10年で1.6倍なのに対し、戸建住宅は1.03倍(国交省 不動産価格指数より)でほとんど上昇していません。
今後の新築住宅の価格がマンション並みとまではいかなくても、その半分の値上がりだとして、加えて省エネ基準の義務化を考えると、それを賄うだけの収入がある世帯は限られてきます。坪100万を超える時代が来れば、新築を諦めて、中古住宅を購入プラスリフォームの時代となっても不思議ではありません。
日本ほど人口比で注文住宅が建てられている国は無くて、注文住宅=お金持ち、中古購入+リフォーム=庶民が欧米では普通ですから日本もようやく欧米並み?になるかもしれません。そうなれば住宅医の出番というより住宅医の時代になるわけで、地産地消の材料を使い、地元の職人なら誰でも直したり作ったりすることのできる昔からのやり方が一般化するでしょう。
ある意味、コロナの後はバラ色の時代を妄想してますが、そのためには耐震や断熱、換気や省エネ、デザイン、さらにはマーケティングも含めて切磋琢磨しなければならない時代ともいえます。これからどんな時代になるかわかりませんが、多くの人がSDGsを意識するわけですから我々住宅医もうかうかしていられません。
ということで、早速10月23日開催される住宅医のスキルアップ講習会に参加を申し込みました。