「カビのサイン」~住宅医リレーコラム2019年12月

住宅医協会理事 住宅医/森本周子

住宅医の建物調査で劣化状況をチェックする一つの要素として、腐朽(腐朽菌)とカビ(真菌)があります。

今年の台風15号の災害から間もない時期、海沿いの地域の「天井全体のカビ」の被害映像を見て、自分は実際、このようなカビを見たことがありませんでしたので、「なぜ?」と思ったのをきっかけにカビについて考えてみました。

天井のカビ             天井裏のカビ

(カビの胞子は空気中のいたるところにあり、多くの種類がありますので奥深い世界は専門家、専門書をお訪ねください。)

カビ(真菌)が生育するのに必要な要素は「温度」「水分」「栄養源」「酸素」であり、住宅等建築物に発生する大部分のカビが発生しやすいのは、温度25℃~45℃、カビが発生しやすい湿度は70%~95%、栄養源は、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂肪、糖分ですので、それらの条件が揃ってしまうと発生するようです。

前述した「天井全体のカビ」は台風で屋根が損傷し水に濡れた、その日から最高気温35℃以上、最低気温25℃以上の日が数日続いたこと、濡れた部分が乾くまもなくまた雨が降りブルーシート等の仮養生の中で湿度の高い状態が続いたこと、高潮等と強風により栄養源を含む海水の成分も運ばれたこと、という条件が揃ったため発生、増殖したのではないかと想像されます。

台風の被害は屋根等が破損して漏水する風災や床上浸水などの水災等の大きなものだけでなく、建物の一部で雨漏りするといった小規模なものもたくさん出ています。

室内の結露によるカビ

室内の見える部分でのカビやカビ臭、床下や小屋裏などの日頃見えない場所でのカビは「建物を劣化させる継続的な雨漏りや過湿状態、結露等のサイン」ですので、注意深く点検し、対応をしていく必要があります。また菌糸は残っていて一度発生すると条件によってまた復活、発生するようですので、場合によっては薬剤での除去が必要となります。

湿度が高い床下のカビ

台風等による風水災が増えています。日本損害保険協会が発表している自然災害(地震を除く)による損害保険金額は、2018年まで統計市場過去最大だった1991年の台風19号 5680億円、2018年は1.6兆円(台風21号:10678億円 24号:3061億円 7月豪雨1956億円)、」2019年は損害保険大手3社の中間発表時点で台風15号3800億円、台風19号4900億円。これが毎年続くようになってしまったのだろうか、という声もよく聞きますが、風水災等が増えるとカビの出番も多くなるのかもしれません。

先日房総を訪れましたが、まだ修理を待つブルーシートの屋根はたくさん残り、復旧作業はまだまだ続いています。また12月3日には被害の大きかった千葉県館山市で、「カビへの対策を学ぶ勉強会が開催された」というニュースも耳にしました。
健康被害にもつながるカビ、人間と建物の健康のために鼻をきかせてチェックしていく必要がありそうです。

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