各地の住宅医の日々No.17「はたのいえ」通信 

廣渡 早苗住宅医 / 広渡建築設計事務所 / 大阪府

私は、大阪府の北摂地域、池田市にある自宅兼設計事務所で、主に住宅に係る仕事を夫婦で手掛けています。三澤文子さんにお誘いいただき住宅医の勉強を始めたのは2011年、ちょうど東北の震災の直後で、それから現在まで時々OB受講もしながら、まだまだ日々勉強することばかりの毎日です。

さて、現在私たちの活動の原点となっているここ「はたのいえ」は、1991年、阪神の震災の4年前に建てられた小さな家で、コロナ禍となる直前の2019年からは、長年事務所を構えていた豊中市のコーポラティブハウスからこの場所へ仕事場も移しました。
ご近所の施主OBの方たちとも、以前のようにすれ違いではなくなり、時々「イエバナ」と称してお茶会なども開いて、近況をお聞きしやすくなり、喜んでいただいています。

「イエバナ」の様子 はたのいえにて

そして、この「はたのいえ」はこの度なんと31年ぶりに、改修工事を行いました。まさに紺屋の白袴、ですよね(笑)
31年といえば、ひと世代変化しており、我が家で育った息子たちは別の場所で、それぞれ私たちの手掛けた家で家族と暮らしていますので、今では家族も減りもっと住み方にも変化があるはずなのですが、見渡してみても変えたいところがそんなに見当たらないのです。逆に愛着が沸き、今手放すと二度と出会えない、大事にしなくては、と再確認する部分の方がずっと多いです。

流石に、若い頃のように高所の窓拭きをアクロバティックにこなす事だけは難しく、その対処はしましたが、後はできる範囲での断熱改修とはね出しベランダの補強、外壁・屋根の塗装、程度としました。

結露しても拭きにくかった北側吹き抜けの窓

ブリッジを作る。引き違い窓はLow-E複層ガラスに入れ替え

洗面所 ヒートショック対策としてガラスルーバー窓とトップライトにポリカツインで内窓を追加。 手前の洗面台は愛着があり替えたくなかったものの一つ

私は、家も、人も大好きで、家の声、人の声、両方聞き取り上手な住宅医を目指しています。ただ単に性能を数値で表すことが苦手なだけかもしれないですが、もしも永く暮らせる家が良い家だとしたら、それは何よりも愛される家であるからだと思うのです。

思うように建てた家を長年愛でながら心豊かに暮らす、そんな住み手OBのような住宅医として、「はたのいえ」はいつでも住み開きに応じています。音楽を聴きながら珈琲を淹れるのが趣味の、もう一人の住人とともに、いつでも皆様のお越しをお待ちしています。

 


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広渡建築設計事務所さん「はたのいえ」 https://hirowatari-ao.wixsite.com/website