各地の住宅医の日々No.14~アフターメンテナンス 木製床ガラリの破損
浅田 佳宏(住宅医 /カナデホーム ㈱浅田建設/ 静岡県)
私の住んでいる静岡東部は温暖な気候という印象が強いかと思いますが、無
さて、年明けの1月中旬、2018年にお引き渡しをしたS様よりショートメールを頂きました。床下エアコンの気流吹き出し口のガラリの件です。

床下エアコンのガラリ
割れは毎日の生活動線では無い場所でしたが、2点支持が良くなかった事も判明。中央部も支持を増やし3点支持に改善して新品を納めます。このシリーズの新しいガラリは設置方法が改善されていて、受け材を長手方向に取付け、荷重が均等にかかるように改善されています。
■S様邸は築59年の木造平屋建てを、リノベーション(2018年竣工)した物件です。床面積20坪の家に家族4人が暮らしていました。しばらく空き家になっていて、S様は近くのマンションから月に一度足を運んで室内に風を通していました。この建物は私の祖父の代からメンテナンスに携わっていた家で、私の代になってからも、時折メンテナンスで伺っていました。
■2017年S様から電話があり、「マンションを売却して、平屋の家を終の棲家にしたい」と申し出があり、打ち合わせを進めていきました。建物は建て替えができない物件でしたので、必然的にリノベーションという選択になった次第です。
S様からの要望は具体的かつ明確で、大きく2点ありました
① 現在の住処であるマンションは意外と暖かく、冬場でも無暖房で室温が13℃を下回らない。エアコンで暖を取る程度で意外と快適。着衣の工夫で冬は十分しのげている。
② 実家に泊まることも結構あり、強風の際に家全体が揺れる。
■プランは何度か修正しましたが、リノベーションの方向性かつ具体的な対策は私の提案がすべて受け入れられ、フルリノベーションになりました。
【 改修後の性能 】 □耐 震:基礎の補強工事も含めた、評点1.8 □省エネ:充填断熱 + 付加断熱 G2グレード パッシブ冷暖® APW330トリプル □劣化対策、維持管理対策 など |
今までの60年間で、床下床上浸水は無かったですが、現況の地盤が隣地より≒250mm低いので、浸水の考慮および海岸線まで800mという立地から、基礎補強工事では、抱きコンクリートを内外のダブルで施工し、外部はベースと立上りの同時打設。また津波の際、耐震軸組が引き抜きにどれだけ考慮されるのかと言う疑問を、住宅医スクールで学んだ、通しボルトで実現しました。

柱引抜防止の通しボルト設置
夏と冬の快適さの対策は床下エアコン「パッシブ冷暖®」を採用、基礎断熱と気流止めを入念に施工しました。

基礎の断熱と気流止め、床下エアコンダクトの様子
2018年の7月にお引き渡しをしましたので、それぞれ3回の夏と冬を過ごされたS様に快適です!とのお言葉を頂き、私は素直に「ありがとうございます」
カナデホーム ㈱浅田建設では、新築及びリノベーション物件のお引き渡し後は、温度と湿度の計測を実施しています。S様邸はリノベーションで、いままで3年間継続してデータを取っています。今年で計測は終わりですが、昨年1月の2週間のデータを抜粋してみました。

(グラフ3時間おき)
計測で分かったこと(冬場)
湿 度:外部の湿度は変化が激しい。湿度の高い順に ” トイレ → LDK → 床下” 床下エアコンの特性で床下は常時40%台
室 温:室温は湿度の逆で、高い順に ” 床下 → LDK → トイレ” トイレのデータローガ設置高さは、FL+0.0㎜(床に直置き)、LDKのデータローガ設置高さは FL+1,200㎜ 。高さによる室温の差がありますが、変動は少なくほぼ一定です。外気温が氷点下に近づくと、外部の湿度も連動して下がっています。
タイムラグがあり、湿度の方が気温より先に下がるようです。
総 評:湿度のコントールは難しい。今後の課題となっています。
サーモカメラによる映像解析もしました
樹脂サッシですが、ガラス部分より枠材の方が、≒2℃くらい低いです。
↑見学会の案内チラシ
猫好きのS様邸に訪問すると猫ちゃんはいつも元気にジャンプしています。
【 各地の住宅医 | 地元のお勧めスポット 】
浅田佳宏さんのお気に入りの場所は、愛鷹の「水神社」で、そこの「小さな滝」がお勧めとの事です!(「水神社」 静岡県駿東郡長泉町元長窪1)