住宅医コラム 意見交換2015-61

妻にとっての定年リフォーム
宝塚Iさんの場合 ~ その12
 1年メンテナンスで訪問
三澤文子(MSD)
 
 
 
先日、御病気と聞いていた、奥村まことさんのお見舞いに行ってきました。その日はお天気も良く暖かい日で御気分が良かったのか、お顔の色つやもよく、色々なお話をして時間を忘れてしまったほどでした。その中で、まことさんが言われた、「設計士は、計画設計契約と建築監理契約だけでなく、保守管理契約をむすぶべき。」という意見が深く頭に残りました。メモもとりつつ今後の活動方針にしよう。などと考えてもいました。そんなことで、「妻にとっての定年リフォーム」の最終回は保守管理の話題から始まります。
 
 
12月1日、I邸の1年メンテナンスです。午前10時に現地待ち合わせですが、コアー建築工房の監督、渡部さんが現れません。電話で確かめると、朝から廻った現場でアクシデント。「本日は申し訳ないですが、行けなくなりました。」とのことです。そんなことで、担当の日野君と共にうかがうことになりました。
 
久しぶりにお会いする Iさんもお変わりなく、ご主人ともどもお元気そうでした。挨拶もそこそこに、早速、気になる個所を廻ります。工務店さんが竣工後1か月後にメンテナンスを行って頂いているので、今回は、それほどの箇所は無いようですが、主に、汚れがとれない部分についての対応ということでした。
 
家の中を廻りながら、夏・冬の生活もお聞きします。
夏は日射遮蔽のためによしずやスクリーンで対応したことをお聞きしましたが、よしずを取り付け、取り外しが、この先億劫になりそうな雰囲気もありました。「簡便に取り付け取り外しができる日射遮蔽」が課題になりました。
冬について、Iさんは「丁度いいです。暖かいです。」との感想ですが、ご主人は「少し寒い。エアコンの近くに居たい。」とのご意見。浴室の洗い場でも、「しばらく洗っていると寒くなる。」とのことでした。「でも・・・」と解決策をご披露くださったのが、浴室の窓の防寒対策。ホームセンターで売っている900円ほどのスポンジマットを2枚、サッシの枠にはめ込む方法です。「ほら、寸法もぴったり!」と自慢のご様子。
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もうひとつのご自慢は床のスギ板(30㎜厚)のようです。「お客様がみんな褒めてくれます。」とのこと。やはり褒められることは、嬉しいことです。
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1年が経ち、落ち着いてきた住まいで、私が褒めたのはマントルピースの空間。飾り棚には Iさんらしいオブジェが飾られています。特に「洗面所につながる小窓」部分がニッチになり、ここにぴったりのオブジェがとても素敵でした。
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「すまいを大切にして、丁寧な暮らしをすること。それが大切。」これも 奥村まことさんとの会話の中での一貫したものでした。
Iさんもこのリフォームを終えて、「大好きな空間と暮らし」を手に入れて頂けたのかな。と感じました。
 
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シンクの前に立って、正面の窓から見る景色。遠くに山並みが見えます。このシーンも、Iさんが強く希望していたものです。
定年後の二人の生活。それぞれがお気に入りの居場所と時間を見つけたように感じました。
 
さて、メンテナンスのミッション終了後は、厚かましくも Iさん手作りのランチをご馳走になりました。本日不在の渡部さんや大工の渡利親子の噂をしつつ、話の多くは、老後の病気や、介護の話など。どうも、早くからの心構えや準備が必要のようです。