住宅医リレーコラム2019年2月

NPO法人WOOD AC
スタジオすぅぷ一級建築士事務所 
塩田 佳子

 平成30年の建築基準法の法改正について、改めて確認する機会がありました。「耐火建築物とすべき木造建築物の制限の見直し」を読んでいると、同ページには「戸建住宅等の福祉施設等への用途変更に伴う制限の合理化」の法案概要。既存住宅のストックを活用促進するために設けられた法案で、既にご存知と思いますが少し紹介します。
 空き家問題に対し、戸建て住宅から特殊建築物への変更の際に、建築確認手続きを不要とする対象面積が拡大されました。従前の規制は、変更後の用途の床面積100㎡以下の場合は不要でしたが、今回、200㎡以下まで拡大されます。現状、戸建て住宅ストック約2,800万戸のうち、100㎡未満は3割ですが200㎡未満に拡大するとなんと9割という面積分布とのこと。基準への適合はもちろん必要ですが、確認申請という1つのハードルを下げることにより、用途変更に対する自由度があがり物件数も増える、とのことです。
 
 私が住む美濃市には「うだつの上がる町並み」があります。現在、町並み内で、一般社団法人インクの中島さんが関わった邸宅・倉庫を宿泊施設・店舗の用途変更を行う改修工事が行われ、来年度オープンの予定です。

 町並み内は実は空き家が多く、町中でもこういった用途変更がこれから徐々に増加していくと推測されます。法改正がきっかけ、というわけではないと思いますが、自分の家の隣に、民泊、福祉施設、子育て施設等へ用途変更された建物が生まれることもあるでしょう。

「改修」をきっかけに町は活性化され、かつ、住むことがメインだった場所も様子が変わっていく可能性もあります。この法改正をきっかけに、住宅医は住宅をなおすことに加えて、地域とのかかわりを考えていく必要性が増したと感じています。