「瓦が溶ける⁈ 」屋根劣化事例報告 ~住宅医リレーコラム2020年5月

小柳理恵(和温スタジオ代表/住宅医協会理事)

2019年9月の台風15号により雨漏りした住宅を被害調査した後、改修工事時に見られた変状です。葺き替えの為に瓦を下ろしたら、一文字軒瓦の尻部分の多くが溶けるように破損していました。瓦が葺かれた状態の目視調査では分からなかった変状でした。

こちらの住宅は築80年超で下葺きは昔ながらのトントン葺き。劣化した瓦があれば適宜交換という形で長年維持されていました。これまでの台風では問題なかったものの、台風15号ではひどく雨漏りしたとのことで相談を受けました。建築地は最大瞬間風速40m超にもなった神奈川県沿岸部。応急処置も踏まえ瓦職人と共に行った被害調査では、瓦のズレ.浮き.割れ.脱落など雨漏り要因となる変状が多く確認できました。
被害状況や年々強さを増す台風が頻発していることを考慮して、下葺きを含めた葺き替え改修となりましたが、瓦が溶けて(風化して)薄くなる様子を見たのは初めてのことです。
瓦職人曰く、焼きムラがある時代のいぶし瓦であることと塩害によるものではないか、とのことで、築年と立地が合わさらないと起こらない稀有な劣化かもしれませんが、瓦屋根の調査を行う際には留意しておきたい事例だと思われました。

今回の事例を検証するにあたり、改めて瓦屋根の劣化事例について調べてみました。
参考資料として文末で国土交通省/国土技術総合研究所(国総研)資料からの抜粋を紹介したいと思います。WEBで公開されており、瓦屋根以外にもスレートや金属板など各種屋根材の変状チェックや劣化予測に役立つ資料となっています。
住宅医スクールの講義内容、検定会での事例報告もそうですが、自らの経験値に限界がある以上、他から得られる具体例の情報はとても貴重です。特に劣化事例を知ることでは設計時に「やってはいけない納まり」が見えてきたりもします。設計者として住宅医として、今後も様々な劣化事例を学び実務に活かしていきたいと思います。

【参考資料】
国総研資料 第 975 号 共同研究成果報告書
「木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮の構造・仕様とその評価に関する研究」
第2編 【住まい手向け】 長持ち住宅ガイドライン
第Ⅲ章 木造住宅の長期使用に向けた屋根、外壁、床下のメンテナンスガイドライン
関連報告/各種屋根葺き材による経年変化事例調査 より

出典:国土技術政策総合研究所ホームページ (http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0975.htm)
一般社団法人全国日本瓦工事業連盟 杉浦憲児氏、石川弘樹氏 資料を抜粋

出典:国土技術政策総合研究所ホームページ (http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0975.htm)
一般社団法人全国日本瓦工事業連盟 杉浦憲児氏、石川弘樹氏 資料を抜粋

出典:国土技術政策総合研究所ホームページ (http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0975.htm)
一般社団法人全国日本瓦工事業連盟 杉浦憲児氏、石川弘樹氏 資料を抜粋