事例紹介2015-45 東京都国立市

文化住宅・旧高田邸 現地実測・調査会報告(速報)  住宅医協会 滝口泰弘

東京都国立市にある旧高田邸は、多数の書物を著し、東京商科大学(現一橋大学)と滝乃川学園の校医を務めたこともある文化人、高田義一郎の邸宅で、大正から昭和にかけての意匠を伝える貴重な文化住宅です。
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残念ながら3月末に解体されることが決まり、様々な関係者により、さよならイベントとして「旧高田邸と国立大学町~85年の物語」が開催されることになりました。
イベントの詳細はこちら
そのプレイベントとして、3/8(日)、一般見学会も交えた住宅医関係者による建物詳細調査を行いました。当日は小雨の降る寒い日曜日でしたが、住宅医スクールやその他関係者、合計25名に参加して頂きました。
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まず始めに、この企画を立てて頂いたスクール修了生の酒井さんを先導に、建物全体の意匠的なポイントや床下・小屋裏侵入口位置を確認するため皆で一周。
(酒井さん作、建物の見どころレジメはこちら→旧高田邸案内3-3 )
また今回の調査は、改修設計のための調査ではなく、住宅医というプロが調査を行っている現場や調査結果をまとめた展示品を、より多くの一般の方々に見てもらうことが目的で、そのまま展示として使える野帳を書く、ということに留意して調査を行いました。
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立面図スケッチチームは、田中さん、林さん、寺田さん。天候を伺いながら、建物の顔となる立面をスケッチ。高さや屋根勾配は、他のチームと連携しながら1日かけて完成させました。
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矩計図採寸チームは、小久保さん、石川さん、永井さん。各部位の高さや材料の構成について、床下や小屋裏も覗きながら1つずつ採寸していき、全体矩計図を完成させました。
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仕上げ、仕様チェックチームは、太田陽子さん、小南さん。各部屋の内装や下地材、開口部の仕様やサイズ、庇の位置や寸法、その他気になる納まり等、隅々までチェックしました。
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室内屋外劣化チェックチームは、伊東さん、越阪部さん。室内と屋外の劣化箇所について詳細に確認して野帳に記録し、柱や床の傾斜も計測しました。
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配置図採寸チームは、長沼さん、福島さん。道路幅や敷地境界寸法、建物位置や外構、主な植栽の位置などを記録しました。
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床下チームは、日野さん+新井さんと、安藤さん+土居さんの2チーム編成。基礎と土台に分かれ、伏図、劣化状況、構造要素、温熱要素を一通りチェックしました。
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2階床下、下屋チームは、小柳さん+山田さんと、小野さん+太田陽貴さんの2チーム編成。2階床下と下屋に分かれ、構造躯体や劣化の状況、接合部の詳細など、調査を行いました。
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小屋裏チームは、森本さん、板場さん。床下、下屋同様に、小屋裏内部に潜り込み、構造躯体の構成や劣化の有無など、隅々までチェックしました。
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あっという間にお昼となり一休憩。皆でお弁当を食べ、午後の作戦会議も行いました。
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午後も引き続き、調査を行いました。部分参加の志岐さんには、特徴的な階段部分の展開図とディテールを作図して頂き、担当箇所が終了したチームの方々にも、特徴的な部屋の展開図やディテールをスケッチして頂きました。
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調査中は終日、一般の方々の見学会も実施され、小雨交じりの天気でしたが、途切れることなく見学者が訪れました。最終的には100名近い来場があり、各調査チームの方々も、見学者との質疑応答や説明などを随時行い、交流しました。
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16:30、無事調査が完了しました。各チームの野帳や写真データを収集し最後に記念撮影も。ご参加頂いた皆様、誠に有難うございました!
17:00からはイベント「旧高田邸と国立大学町~85年の物語」全体の壮行会が開催され、こちらも50名近い関係者が集まりました。

調査結果や野帳は、同建物内で3/16~3/25まで開催される「旧高田邸解剖図展」で展示されます。開会まであと数日しかありませんが、酒井さん、日野さんを中心に展示物をまとめて頂く予定です。
どのような野帳にまとまったのか?診断結果は?
3/17、18:30~、三澤さん、田中さん、酒井さんによる建物調査解剖トークショーも開催されます。是非、現地までお越し頂けたら幸いです!