住宅医スクール2015 大阪 第2回のご報告

7月18日(土)、住宅医スクール2015大阪・第2回が開催されました。
前日の台風の影響で大阪の交通網は少し麻痺していましたが、住宅医スクールは予定どおり無事に開催することができました。「構造に関する法規、基準関連」「構造的不具合の原因と対策①」「構造的不具合の原因と対策②」「住宅改修事例を語る-②」という4つの講義が行われました。
 
第1講義「構造に関する法規、基準関連」実務者から見る構造基準
河本和義氏/TE-DOK一級建築士事務所主宰
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建築基準法、品確法、そして日本建築防災協会の耐震診断。構造基準は複数存在していて、建築実務の中でこれらを使い分けていくことになりますが、その目標の設定や計算の方法などはそれぞれ異なります。その違いをわかりやすく整理していただきました。またそれぞれの基準の変遷をその理由も交えて説明していただけました。
 
第2講義「構造的不具合の原因と対策①」地盤・基礎・軸組の調査診断
小原勝彦氏/岐阜県立森林文化アカデミー准教授
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建物の構造の調査をする時のポイントを教えていただきました。地盤調査により地盤の耐力を知るこだけでなく、そこからデータを処理して地盤の沈下量まで予測することができること。コンクリート強度を測定することの意味、基礎の鉄筋の有無の確認など、構造の専門家の視点からの調査の要点はとても勉強になりました。また小原氏が専門とする常時微動測定についてや、制振ブレースの事など、事例を交えながらわかりやすく説明していただけました。
 
第3講義「造的不具合の原因と対策②」一般住宅の耐震診断の実務
清水利至氏/清水建築設計室代表

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清水氏は実務での耐震診断の経験がとても豊富で、実際の事例を写真で見せていただきながら講義を進めていただきました。構造的不具合も事例が豊富で、自身の経験談を元に説明していただけるのでとてもリアルに状況が伝わってきました。改修の事例も仕事の進め方からプロセスを追って説明していただき、とてもわかりやすく聞き入ってしまう講義となりました。
 
第4講義「住宅改修事例を語る-②」古いものと対峙する改修設計手法
安井正氏/クラフトサイエンス代表
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最終講義は京都・東京で仕事をされている安井正氏の改修事例の講義です。京都と東京の二つの物件について、建物の改修工事の流れを順を追って説明していただきました。既存の建物からで出てくる”古いもの”、友人の工房やお店から探してきた”古いもの”、また住まい手が持ち込んできた”古いもの”をどのように考えて建物のどこの部分に活かしていくか。安井氏の考えを現場の状況の様子を交えながら楽しくお話していただきました。
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すべての講義が終わった後、前年度から住宅医スクールを受講していただいている池田さんに修了証が送られました。昨年受講できなかった講義をこの日でカバーできたからです。
次回は、劣化維持管理をテーマにした、木材の劣化と対策、木造建築物の耐久性能と維持管理方法について講義が行われます。皆様のご参加をお待ちしております。
(関西事務局 日野)