各地の住宅医の日々№33 ~変わりゆく既存住宅のポテンシャル

名和 豪敏住宅医 /(株)ネクスト名和 / マルホデザイン一級建築士事務所/ 岐阜県


Photo/ Makoto Kazakoshi

弊社は、中古住宅の購入段階から相談、インスペクション、設計~施工とワンストップでリノベーションに纏わるサービスを展開しています。

一つのミッションとしては、良質な既存住宅の流通に寄与する事。
事業の開始当初は旧耐震と言えば築30年程度のものでありましたが、時を重ね築40年程の物件であっても新耐震基準の物件となって参りました。
空き家の増加に伴い、流通物件も増加の一方、我々は何に着目すべきでしょうか。

今後、しっかりと取り組まねばならないのは省エネ化。
建築的な知識は勿論、どの様な状態であるべきか、税務的にも市場的にも消費者マインドを意識した提案が必要となってくると感じています。

中古住宅の購入前に住宅診断(インスペクション)を行う事を推奨していますが、検査をする住まいの築年数や構造もまちまち。
また、断熱化された住まいも少しずつですが見受けられる様になってきました。

そんな中、我々はどの様な姿勢で改修提案をすべきか。
予算もありますが、断熱に関しては付加するのか、総合的にやり替えるのか、提案の幅が多岐に渡っているのが現状です。

一方、中古住宅の選定条件、会社選び条件には構造・断熱性は下位、決め手にはなっておらず、妥協しているわけでは無いが、検討すら及んでいない意見が多数。
然し乍ら、入居後の改善要望、既に住宅を取得している方には遮音や断熱性能は上位に出てきます。

時代の変革としても、省エネルギー等級4相当の基準が制定されたのが1999年(H11)。
断熱化され始めた住まいで育った若者、住宅一次取得者層は今後どの様な住まい、暮らしを実現させていくのでしょうか。
昨年2022年には新たな断熱等性能等級5・6・7が新設。
漸く、やっと1999年頃の基準が義務化される予定が2025年です。

一歩先の未来を作る為にも、既存の住まいに対して、どの様な断熱方法、性能を上げる術があるのか。
断熱材は近年どこもすぐれています。
施工方法の議論の前に、私達住宅医が適切に調査をし、どの様に暮らしを改善していけるのか。
どの様な物がその建物に取って良いのかを導き出す事に意義を感じています。

今後も一件一件丁寧に診断をし、未来に良質な住まいがストック出来ます様、日々研鑽していきたいと思います。

名和 豪敏
©Nawa Taketoshi , jutakui


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