各地の住宅医の日々No8~便利なツールを武器にして。

水野 桂子( 水野建築研究所 / 住宅医 / 富山県 )

持ち家率が高く、地域ビルダーの多い富山にて、活動をしています。
以前はほとんどが新築でしたが、最近では、自宅のリフォームや中古物件の購入に伴う改装の割合が増えてきています。設計の過程はほぼ同じですが、現状の住まいの不具合や不満が改善される改修は、より満足度が高いのではとも感じています。
新築、耐震、断熱改修に毎回重宝しているのは、辻先生の環境サポートツールです。
リフォームをする場合、耐震改修と断熱改修をセットで提案していますが、台風や地震に対して「立山様が守ってくれる」とおかしな感覚を持っている県民も多く、耐震については関心が薄く、数値で説明してもピンと来ないようですが、温熱環境については興味深く耳を傾けてくれます。特に、なぜ結露が起こるのかについてはすごく敏感で、東京より暑く、冬の寒さもほどほどに厳しい故でしょうか。

自宅からの劔岳
もう一つ。県の木材研究所が開発したのヤング係数の検査ツールを紹介したいと思います。
「近山の木」活動も富山に来てからの大きな活動となっています。見た目もそうですが、構造上、ヤング係数はとても重要です。そのヤング係数を簡単に測れるようなソフトを開発していたことを知り、先日、県産の杉を測ってみました。
材料を段取りしてくださる製材所にて、選木の前に行いました。90以上のヤングが必要な部材があり、20丁近くを計測しました。
必要なのは、ノートパソコン。マイク。金槌。体重計。の4つのみ。
まずは、長さを測り、重さを測ります。そして小口を金槌で叩くだけ。それであっという間にヤング係数が出るのです。
結果は3丁の材料を見つけることができました。その他も70以上の数値です。
製材所の社長は「市で購入する時に年輪など目視して選び、製材する時にも選木をする。
その作業上の結果だと思うよ。」一緒に計測をしていた大工棟梁も自分で触って良いと思った材料が良い結果が出ていたことに、とても満足。

「設計には根拠が必要だ」と構造設計家の山辺氏の言葉。
山辺氏の言葉は独立してから常に心にとめている言葉の一つです。
感性も必要とされる立場ですが、経験値に根拠を上乗せして提案できる設計を目指して活動をしています。

里山の家