「既存梁の下部に柱を入れたい」改修のお助け、後施工金物(柱頭柱脚用) ~コラム2025年9月
塩田 佳子(住宅医・理事 / NPO法人WOOD AC & スタジオすぅぷ一級建築士事務所 / 岐阜県)
「既存梁の下部に柱を入れたいが・・・ホゾ仕口が施工できない。」
既存梁、土台箇所に新設柱を入れるとなると、既存梁のジャッキアップが難しい箇所に入れたい柱は横からスライドして入れるしかありません。施工者からは「気持ち分しかホゾ入らんよなー」と聞こえ、気持ち分では心許ない。まして柱を耐力壁にしたいとなるとなおさら・・・。
現場でこのホゾ問題に出会ってしまった時の救世主、それが後施工金物です。
各金物メーカーから後施工金物製品が出ていますが、今回は(株)ダイドーハントさん(以下D社)の「後施工金物」と「フロッキン金物」の 2 つを紹介します。
(1) 後施工金物
ほぞ加工無しで柱と土台、柱と梁を接合する金物で、かつ短期基準引張耐力の試験結果は6.88kN あり、「は金物」としても代用できます。D社の金物施工は以下の手順でした。
- 土台、梁にキリで金物厚み分の座彫りをしておく(代用パッキンもあり)。
- 2 本の専用構造用ビスで金物を横架材に固定。
- 丸鋸で柱に金物厚のスリットを入れる。
- 梁~土台間に横からスライドしながら柱を入れ込みスリット内に金物を入れ込む。
- 柱の側面から鋼板用ビスを 4 本打ち込む。
![]() キリで金物厚分座彫り |
![]() 構造用ビスで金物設置 |
![]() 横から柱設置 |
![]() 設置完了 |
キリで金物厚分座彫り 構造用ビスで金物設置 横から柱設置 設置完了
スリットもしくはビス穴上下 4ヶ所が見えるのみで、真壁化粧柱の場合も重宝します。引張耐力もありホゾ加工の代用だけでなく金物にもなります。また丸太梁などで断面が大きい場合、梁側にピンやビス施工が必要だとビス穴を深く取る必要があります。その点この後施工金物は金物自体は梁の下端、もしくは土台の上端へビスでの取付で良く、接合は柱面からのビス打ちがメインです。古民家等での既存梁への加工に重宝しました。
現場での施工性も心配の 1 つではありますが、柱のスリット切りは慣れてくると大工さんの施工性も上がり、とても手際よく加工していました。
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(2)フロッキン金物
建築雑誌の広告で見かける「フロッキン狭小壁(柱芯 350 mmの耐力壁)」で使用される D 社の金物工法で用いるフロッキン金物。今回、D社からこのフロッキン金物でもホゾの代用可能と伺い、使用してみました。
フロッキン金物はドリフトピンを打ち込む金物でパンフレットでは基本はプレカット加工、金物耐力表も集成材仕様となっていますが、聞けば大工さんでも現場で加工が可能でした。またD社内には無垢材での金物耐力の実験データをお持ちで、後施工金物同様、柱頭柱脚金物としても「は金物」として建築士の判断で使用可能です。
施工手順は以下の通りです。
- 土台上端、梁下端から金物が入るホゾ孔を加工。土台の側面からドリフトピン孔を加工。
- 金物を土台、梁にセット。
- 柱にスリット、ドリフトピン孔子を加工。
- 後施工金物と同じように柱を入れ込み、ドリフトピンを 3本打ち込む。
![]() 土台にホゾ孔加工 |
ドリフトピン孔加工 |
金物設置完了 |
土台にホゾ孔加工 ドリフトピン孔加工 金物設置完了
こちらも手慣れてくる(寸法が頭に入る)と現場での施工性も高く、納まるとスリットまたはドリフトピン部分のみしか見えなくなります。
また別の梁や土台の交わり方によってはドリフトピン 3 本をすべて打つことが出来ない場合が生じたのですが、ホゾ代用のせん断力は確保できるとのことで、そのまま使用することもできました。
仮に金物が写真の向きでもドリフトピンで柱に固定できればホゾ代わりになる。
今回は柱頭柱脚ホゾの代用として紹介していますが、本来は柱頭柱脚金物として活用可能です。D社では施工動画も配信中とのことで、動画があれば大工さんにも加工方法が伝わりやすくて良いと思います。ぜひ、柱のホゾで困った際には採用をご検討ください。
文章:塩田 佳子
Copyright © Shiota Yoshiko, jutakui
施工写真:©塩田佳子, 金物写真:©(株)ダイドーハント
LINK
・ NPO法人WOOD AC https://wood-ac.com/
後施工金物・フロッキン金物 参考動画
・柱加工 – 柱補強施工要領【美濃市うだつの町並み】(3分11秒) https://youtu.be/cGAyvx7OmJ0
・柱脚側 – フロッキン金物施工要領【美濃市うだつの町並み】(1分50秒) https://youtu.be/gHIA3Mq6ICU
・柱頭側 – リフォーム金物施工要領【美濃市うだつの町並み】(1分36秒) https://youtu.be/RgLXl90Bwcs











