住宅医コラム 意見交換2016-71
古く素敵な建物が、簡単に壊されることを阻止するためには、どうしたらいいのでしょうか? まずは、壊されずに残り、愛されて使われている建物を大いに褒めて、古い建物を壊さず大切に使うことが「褒められること。」と多くの人に認識してもらうことなのではないか。と考えました。
今月の、褒めコラム「改修建物を訪ねて」は、小泉誠さん設計の大阪市天神橋にある店、「Kaico café 」です
「改修建物を訪ねて~その10」
Kaico café ~古いものと新しいものをつなげるデザイン
三澤文子(MSD)
大阪市内、天神橋筋に、小泉誠さん設計の町家改修カフェがあると聞いて、日曜日、出産間近な娘とともに行ってきました。
南森町の駅から路上にあがると、すぐに天神橋筋商店街に入ります。そこから、ゆっくり10分くらい南に向かって歩くと、右手に可愛い「ショップ&カフェ」が見えてきます。
「Kaico café 」という名前のカフェ。この名前はご存知の通り、小泉さんデザインのホーローのケトルやお鍋のシリーズ「Kaico」に由来するもの。
「今年7月15日に別の場所にあったショップをここに移転する際に、お店の名前も一新、変えました。」とのことです。
この町家は、もともと質屋さんだったということで、奥に蔵があったことが魅力でこの町家を改修することに決めた、とのこと。店主がお話しくださいました。
カフェスペースは、奥のお庭と蔵の中、そして2階です。町家の入り口廻りの土間と中庭までの1階は、とてもセンスのよい雑貨が並んでいます。
中庭も素敵につくりこまれていて、落ち着いた雰囲気。ここでお茶を頂くのも良いのですが、やはり2階も見なければ。という職業的欲が働きます。
かわいい注文カウンターは、Jパネル造りで、幸い2階プランが壁に貼ってありました。
Jパネルの小さな箱。こんな不思議なスペースをつくるセンスに、感動。さすが小泉さんだ。と感心しました。
お店のお客様は、みなさん、こんな空間が好きで、来られる方々のようです。リラックスしてゆっくりお茶を楽しんでいる様子。居心地はいいし、ワクワクする感じが楽しい。
居心地の良さの理由の一つに、古いものと、新しいものをつなげるデザインがあるからではないかと思います。そのデザインのよって、大切に、そして丁寧にモノを扱う気持ちを感じとることが出来るからではないかとおもうのです。