投稿日:2015年08月25日

住宅医コラム 意見交換2015-58


妻にとっての定年リフォーム
宝塚Iさんの場合 ~ その9
 うれしい竣工写真撮影!

三澤文子(MSD)

 

たてものの引渡し前に行うのが、竣工写真の撮影です。このときのカメラマンは三澤康彦氏。ホームページで完成した建物の写真をアップするようになってからは、カメラマン康彦が定着しました。最近はデジタルカメラの性能も良く、たいていの人が上手に写真を撮ることができるようですが、建築写真もしかりで、設計事務所の多くが、写真上手なスタッフか、もしくは所長みずからカメラマンになっているようです。三澤康彦氏は、30年以上前から、私たちの設計した住宅を撮ってくれた、カメラマンの岩為(がんため)さんの撮影の立ち合いをしながら、門前の小僧で建築写真を学んだ。とよく言っています。私も同じように撮影に立ち会ったものの、そんなにうまくなりませんが、撮影に立ち会うことは、空間の見え方を確認できて、ものすごく貴重な時間です。プロカメラマンさんは時間をかけてじっくり撮ってくださるので、見て、感じて、考える時間がとれます。しかしカメラマン康彦の場合はそういう訳にいきません。とにかく速い!それで、まさに考えている間がないのです。

さて、撮影日和のこの日2014年11月4日、引き渡しの前に撮影しました。

 

 

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まず、応接室から東を見ます。ダイニング、東和室(寝室)までが見通し良くつながりました。応接室の欄間は、以前はガラスが入っていたのですがオープンにしました。また、右の3尺の壁は、Iさんのご希望で、梯子状の飾り棚になりました。それらによって、透明感が出ています。

 

 

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ダイニングから東和室を見ます。ダイニングの構成は、ほとんど変化がないのですが、正面の引違い襖が、引き込み襖に変わりました。それでダイニングから建具が見えません。とてもつながりが良くなりました。これも「東の朝の光をダイニングに入れたい。」という Iさんの強いご希望でした。何年もこの家に住んでいる住まい手さんこそ、良くわかることですが、まずは、設計者がそれを提案出来るべきですね。

 

 

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ダイニングから台所を見ます。ダイニングと台所は、以前は730㎜の出入口でつながっていて、とてもつながりが悪いものでした。そこで1530㎜に広げ建具もありません。右手は使いやすく造り直された収納スペース。中央のオープン棚には、FAX機器などが入ります。上下の建具はシナのフラッシュ戸に古色塗り。古色塗りとは煤弁柄を柿渋に混ぜたもので着色した後に、オイルを塗った仕上げです。

さて、台所の北の窓ですが、天井より高いところにガラスルーバー窓が見えます。これも「台所の北の窓から見える遠くの山や空の景色が好きなので、出来るだけ窓をつくってほしい。」という Iさんの強い希望。実は現場進行中に「それならば!」と私が設計変更をした頂側窓です。「頂側窓は通風にとても効果的。」という教科書的教えが実践できました。

 

 

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台所にはキッチンテーブルがあります。お客さまのときは配膳や調理にも使用しますし、日常では朝食や昼食など、簡単な食事はここで済ますことができます。テーブル右下のスツールはJパネルで造ったMOKオリジナルのJスツール。ただ座面の赤いクッションが間に合わず、間の抜けたかんじです。(担当者の段取りの悪さが永久に記録されますので、撮影日を目標に定める必要がありますね)

 

 

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次は、応接室から北を見るアングルです。この船底天井も既存のまま。もともとの設計が良かったのです。ただ照明BOXを新しく造り変えました。チークを使って箱をつくりLEDランプを埋め込んでいます。チークには、新材でも古材に似た渋みがあるので、改修ではとても活躍します。

 

 

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この時代の応接室にはお決まりのマントルピース(偽暖炉)。この偽暖炉もなかなかの存在感。とても小ぶりで上品なので、周辺を修景して、いい雰囲気になりました。偽暖炉の上の壁の中央に窓があります。これも壁の向こうにある洗面所~浴室の風通しをよくしたい。という Iさんの強い希望から小窓を開けることになりました。壁の中央で、素敵な絵でもかけて頂きたいところなので、苦肉の策として、この小さな引き戸は絵が入れられるように考えられています。

 

 

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今度は応接室を少し西に振って、玄関の方向を見てみます。左の壁は座敷とを隔てる壁で、以前のままの板壁です。かなり古さを感じた板壁で、着色したほうが良いか?と悩んだ結果、私たちのお勧めどおり浸透性のオイルを塗ったところ見違えるように良くなりました。新しい材料には無い渋さや深み。「人間も同じ…」ですね。

 

 

 

 

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玄関近くに寄ってみました。玄関から座敷、玄関から応接室、玄関から水廻り、さらに座敷から応接室にと、以前はここに扉が絞殺してごちゃごちゃしていました。そこで、扉を一切なくし全て引き戸にしました。そのために造った写真中央の袖壁と漆塗りの変形柱。このおさまりは少し自慢です。

 

 

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玄関は以前とほとんど変わりません。下駄箱の戸に古色塗装をして、玄関ドアを引き戸に変えた程度です。玄関の引き戸はスギの板張りでステンドガラスをはめ込みました。

 

 

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最後は、南デッキから内部をのぞきます。外部開口は、外側にサッシを取り付け、既存の木製建具を内側にそのまま残しました。その結果、内部からの見え方は以前とあまり変わりませんし、古さ懐かしさを感じる空間になりました。この様なアングルで外部から眺めることの頻度は少ないので、良い選択だったと思います。庇も以前からあったものに屋根材だけとりかえました。垂木の細工など、この家を建てた大工さんのセンスかな?など想像をめぐらします。こんなふうに造った人たちと対話ができる改修の仕事は楽しいものです。

 

 

撮影も無事におわりました。

「いい写真がとれた!」これは三澤康彦氏のいつもの決まり文句ですが、毎回、「いい写真がとれた。=いい家ができた。」と受け取って、達成感を得る。ありがたい瞬間です。

 

つづく