これは[archive.php]

住宅医スクール2018 第8回の報告(大阪 改修実践)

住宅医スクール2018 大阪 (第8回:2/16)

第8回目は、「改修実践」

改修実践は第1講義、第2講義は意匠設計+構造設計のコラボ授業です。

Ms建築設計事務所 三澤文子先生 

TEDOK構造設計事務所 河本和義先生

第3講義は、辻先生による温熱改修実践です。

第4講義は検定会、今回2名の方が住宅医試験に挑戦されました。

【講義全体】

・今回の資料内容ともコストや具体的な手法等即使える情報盛りだくさんで全て保存版です

・実例をもとに反省を含めて詳細を説明いただいたことでとてもわかりやすくまた具体的にどうすべきかも含めて大変勉強になりました

・失敗の事例を直接伺えたのは貴重でした

・今まで改修の現場で基礎についてわからなかったり釈然としない部分が多かったのですが、重要な部分だと再認識しました。具体的な改修方法を教えて頂きとても有意義でした

・既存住宅の改修はとても興味ありました。長屋のリノベーションを予定しているのでとても参考になりました。具体的な坪単価、使用している材料等詳しく教えてくださったのでとてもわかりやすくよかったです

・事例についての話・反省・解析等の話はとてもよかった

・実例コストについて今回の事例コストはとても参考になりました。今後は実務で経験を積みながら教えていただいた内容を生かしたい

・事例を出していただいての講義は良い悪いがわかりやすく自分自身も考えることが出来とても身になりました

【第1,2講義】

・第1講義のお神楽建築、その部分への耐震対策をどうされたのかが興味あります。第2講義でもありました。昭和のある時期かなり多くそういった増築がなされたようですが、地震のときの被害データ等が中々調べられず、今JASCAの方に相談しつつ進めていますが参考になるような資料があれば教えていただきたいです。

・三澤さんの実務事例を見せていただいてとても勉強になりましたありがとうございました。

【第3講義】

・規模的に似た物件があり豊橋の家の総工費が知りたかったです

【その他自由】

・いつも活気がありエネルギーを頂いて帰っています。興味のある講義のみの何度も受講。珍しいかもしれませんが毎年少しずつ内容も変化するのも楽しみです。他の方にも薦められたら、知り合いが増えて輪も広がるだろうと思います。(実際はボケ防止の要素が多いかも)

・どの講義も濃い内容で受講を決めて良かったと思います。数講義欠席しましたので、来年もよろしくお願いいたします。

・仕事自体が日々勉強ではありますが、改めて座学で向き合うと至らなさを感じました。ここで得たものを仕事へいかしていけるよう努めます

・資料がからーだったのでとてもみやすかったです

・土曜なので参加しやすかった
・地方からなので開始の時間がゆっくりで助かりました

・多くの学びがありました。また受講したいと思います

・名古屋でも開催して下さい

・1年間ありがとうございました。今年度もお世話になる講義があると思いますので、よろしくお願いいたします。

・改修を行うときにいつもとまどい悩んでいましたが、方向性というか芯のようなものが少しわかった気がします。基礎が出来ていないとふらつくので基礎がためになりました。改修を行うこと取り組むことで新築にもフィードバックできると思いました。住宅医って町医者ですよね。必要だと思います

・実際の調査に参加したいがもう少しチャンスが多いと参加しやすいです

【3.年間を通じて、時間・受講料について】

  短い ちょうどよい 長い
一日の時間 0 11 6

・特に午後からの3講義が長く感じられる(長い)
・回数が増えるより一日の時間が長いほうが通いやすいため(ちょうどよい)

・集中力が続かない(長い)
・丸一日はつらい。次回から半日ということでうれしいです(長い)

  とても安い 安い ふつう 高い とても高い
受講料 2 5 10 0 0

・修了生なので安い(とても安い)

・内容から考えてとても価値があると思います(安い)

・高いと思ったが内容が充実しているのでお得(ふつう)

・実務で経験できないことが多く知れたため(安い)
・OBなので(安い)

事務局木の空間たより vol.60 ~空き家問題~

東京23区のオフィスの空室率をご存知ですか?

1%? 5%? 10%?

答えは、1.7%です((株)ザイマックス不動産総合研究所調べ、18年10~12月期)。過去最低とのことです。

一方我々が取り組んでいる空き家問題。賃貸住宅や売却用住宅を除くいわゆる空き家(長期不在・取り壊し予定)の住宅ストックに占める全国平均は5.3%。

そのうち、東京の空き家率は?

答えは2%です。(平成25年住宅土地統計調査)。

全国で一番小さい値です。

逆に最も大きい値が、鹿児島県、高知県、和歌山県で10%以上、

全国平均を下回るのは、東京近郊の3都府県他、宮城県、静岡県、愛知県、大阪府、福岡県、沖縄県の計11都道府県のみとなります。

都心への一極集中が空き家問題の一つの局面を担っているのは間違いありません。そんな中昨年夏頃、「東京圏から地方の移住に対して最大300万円補助」という報道がありました。地方でも仕事ができる方や、地方の仕事に魅力がある方は都心から出ていくということに政府も力を入れ始めたということです。

地方の空き家を再生して、仕事場又は生活の場を作り出していく、というのは我々の職能として一つの大きな役割でもあります。ただ、再生して人が生活するとうことは、インフラや学校、医療等々も必要になります。無責任な再生はするべきではない、というところを見極めることも住宅医にとっては重要な役割ではないでしょうか。一度その当りのことを説明することもしていきたいと思います。

住宅医の改修事例報告 84例目

福井県 父から受け継ぐ家の全面改修

報告者:伊藤瑞貴建築設計事務所 本岡美由希/住宅医

■改修事例報告
設計・監理:伊藤瑞貴建築設計事務所 伊藤瑞貴・本岡美由希
施工:株式会社深谷
報告:本岡美由希
所在地:福井県(防火指定なし・第一種住居地域)
主用途:一戸建ての住宅
築年数:築52年(昭和39年新築・昭和53年増改築)
規模:木造2階建
敷地面積:敷地面積 512.61m² (155.06坪)
建築面積 148.78m² (45.00坪) → 149.16m² (45.12坪)
延床面積 206.78m² (62.55坪) → 194.23m² (58.74坪)
設計期間:2015年12月〜2016年6月
工事期間:2016年7月〜12月(工事期間:6ヶ月)

■建物概要
福井県の市街地に建つ木造2階建の住宅で、長く空き家になっていました。 お施主様 が子供の頃に過ごした住宅をお父様から引き継ぎ、ご夫婦とお子さん1人の家族3人(現在は+わんちゃん)が暮らすための計画です。
耐震改修が必要であったこと、間取りや設備機器はお施主様の希望されるライフスタイルと合致しないことから、基礎・躯体のみを残す全面的な改修工事となりました。


改修前平面図

改修前の建物は、新築当初平屋であった建物を囲み覆う形で1階・2階を増築してあり、屋根を含む架構が複雑化している状況でした。南東の和室についてはお施主様のご希望により、既存解体を行わず、壁の塗り直し、障子紙・襖紙の貼り替え、照明器具の交換をするに留めることとしました。

■既存調査
①図面作成のための実測調査(2015年7月22日)
②床下・小屋裏等の劣化状況・構造調査(2015年12月17日)


床下調査の様子

第1期工事部分の床下状況

第2期工事部分の床下状況


基礎は無筋布基礎で土間コンクリートはないものの床下は乾燥していました。床下調査からは蟻害等は確認されませんでしたが、特に北側の水周り部分の土台は不可視範囲であり、改修前の玄関近くの柱に蟻害があったことから、土台にも相応の被害があるものと想定されました。また、1期工事・2期工事の接続部分は床組が複雑化しており、不陸を含めた調整・整理が必要であることがわかりました。


1階天井裏の状況

2階小屋裏の状況


1階天井裏、2階小屋裏については、2階和室部分より目視できる範囲の調査を行いました。
梁・柱接合部の金物はごく簡易的なものにとどまっており、金物による補強が必要なことがわかりました。また改修後に吹き抜け空間となる部分の架構を確認し階段のかけ方検討を行うことができました。

■改修内容


耐震補強計画


既存部分に一部筋かいがあることは調査でわかりましたが、金物の有無までは判明しておらず、すべて耐力壁を新設する予算を確保した上で計画を進めました。解体後、健全と確認された筋交いはできるだけ既存を利用する形で再計算を行い、金物で補強を行いました。


基礎の補強


既存外周部の布基礎の内側にL型の基礎を配しました。新しく耐力壁が配される部分にも布基礎を新設しています。


水回りがあった部分、1期工事・2期工事の部分に集中して蟻害がありました。これらの土台・柱は全て新品の材料に交換をし、防蟻処理も行いました。


解体工事が終了した段階で、改めて柱・梁・小屋組の補強方法について検討・確認を行いました。
材せいが不足している梁の補強し、柱梁接合部には金物の追加などの構造的改修を施しました。


建物全体の重量を軽くするため、瓦屋根を金属屋根へ変更しました。
軒の出に対して垂木が細く強度不足も懸念されましたが、解体しなかった和室の保全(梅雨時期であったため雨仕舞いへの配慮が特に必要であった)や費用の面から、垂木の交換ではなく既存合板の上から構造用合板を重ね張りすることとしました。昨年の福井豪雪の際にも無被害で快適に過ごしていただくことができました。

■改修後


改修後平面図


1階リビングに吹き抜けを配置し(2階の減築)、その周囲に和室、主寝室、子供部屋、スタディコーナー(2階廊下)を配置しました。
様々な居場所がありながらも、どこにいてもお互いの気配を感じる「家族とつながる家」となりました。

また、既存下屋を利用し、夏の日射を遮り、福井では貴重な冬の日射を取り入れる設計とする他、一部木サッシの使用、アルミ樹脂複合サッシへの交換、新築同等の断熱材施工など温熱環境も整える高断熱・パッシブハウスとなるようデザインしています。

■総括
計画・設計を進めるにあたり、既存住宅の調査技術や改修の具体的手法に関する知識のなさを痛感し、住宅医スクールを受講することを決めました。設計終了後、住宅医スクールで学びながら工事が進行していく状況でしたので、既存調査の方法の拙さや、基礎の補強方法や補強方法選択については反省するところも多くありましたが、地元構造設計者や経験豊富な現場監督さんのお力を借りながら、ひとつひとつ丁寧に改修工事を進めることができました。
何よりも、お父様・お母様の想いのこもった住宅を壊すことなく、改修を決断されたお施主さまに敬意と感謝を申し上げたいと思います。新築には新築の良さがもちろんありますが、年数を経た柱や梁、お父様が空き家になっていた時期にも丹精込めて手入れをされていたお庭や和室など、既存住宅でしか得ることのできなかった豊かさがあることを再発見することができました。お父様も改修後のリビングからお庭を眺めて喜んでおられたとお伺いした時は、とても嬉しく感じました。
今後も、ここで得た経験、住宅医スクールで学んだ経験を活かし、日頃の業務に取り組んで参りたいと考えております。お施主様、工事に関わっていただいたみなさま、報告の貴重な場をいただきました住宅医協会のみなさまに感謝申し上げます。

  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月