住宅医リレーコラム2019年2月
WOODAC 河本和義
昨年に引き続き、耐震補強に使える新工法のご紹介をさせて頂きます。
私どもWOODACでは、岐阜で、NPOとして、国産材・地域材利用促進を目的に活動してきております。そのなかで、県産材利用拡大を目的とした工法開発のお手伝いをさせて頂いておりますが、そのなかの一つで、岐阜県木連が工法開発を行っているヒノキ製材を用いた木造ラーメン工法をご紹介させて頂きます。
この工法は、国や県の補助金を利用して開発しているもので、岐阜県産ヒノキの特長である美観を生かしアラワシとし、優れた品質を生かすことにより、岐阜県産ヒノキの付加価値を高めることを目的としています。流通材(木材、金物)の利用、既存プレカットシステムの利用などにより、鉄骨造に負けないコスト性を目指しています。
加工したベースプレートとボルトと構造用ビスを用いた工法(図1、写真1)で、6mスパンで、片筋かい45×90壁長2mと同等の構造性能を持ちます(図2、写真2)。高強度のラーメンではありませんが、ボルトと構造用ビスを用いることにより、初期の剛性(中地震時)、高い変形性能(大地震時)を実現しています。
この工法は、新築を対象に開発をはじめ、ハウスプラスの構造評価を得ていますが、これを耐震改修に利用しようと、昨年、既存軸組の内側に組み込む計画をしましたが、新築を想定している工法のため実現には至りませんでした。今後は、耐震補強(既存軸組の内側に組み込む)に利用できるタイプの開発を目指していきますが、現状でも、例えば、外壁面に既存軸組に沿わせる形で利用することにより、開口をつぶすことのなく耐震補強を行うことができるなどの利用方法(アラワシにできないですが。。。)もありますので、耐震補強のひとつのレパートリーに加えて頂ければと思います。