調査事例紹介2016-57 大阪府堺市

報告:北聖志(THNK一級建築士事務所)/久保亜弓(MSD)
物件概要
■所在地:大阪府堺市
■調査日時:2016年4月29日(土)
■構造規模:木造平屋建て
■延床面積:約150平米
■築年数:約築70年
大阪府堺市で詳細調査を行いました。場所は泉北ニュータウンに隣接した集落にあります。改修設計は水本亮建築設計事務所・水本亮氏が行います。水本氏から伝統的工法の民家を改修すると聞き、ぜひ詳細調査をしましょう、ということで今回の調査が実現しました。設計者や住まい手にとっては着工するまでに正確に現状を把握して、改修内容を決定できることがメリットになると思います。現在の住まい手は新築した代から3代目となりますが、当たり前の様に過ごしてきた家に関心を持って来られなかったそうです。調査当日は一日お付き合いいただき、息子さんと小屋裏に上がったりしながら、興味を持っていただけたと思います。(北)
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調査建物は約築70年の立派な建物です。調査員が揃い、住まい手さんに御挨拶をします。
そのあと、調査内容の確認等ミーティングを行いました。
今回は①劣化、②設備、③仕上、④採寸・バリアフリー、⑤床下、⑥二階床・下屋、⑦ヒアリング・矩計の7班、合計13名+地盤調査員2名による調査となりました。
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(左)ヒアリング:住まい手さんから建物の基本情報・メンテナンスの履歴・各性能に関係する住まい心地などを確かめます。
建物を見るだけではわからない情報がわかることもある大切な調査です。
(右)バリアフリー調査:床や階段の段差、また開口部や廊下の幅など、建物のバリアフリー性能を調べます。既存部分と増築部分の間の段差が多く注意が必要です。
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劣化調査(内部):内部の劣化状況も確認をします。写真は建物の柱の傾斜を計測している様子です。
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お昼休みの様子です。
今回はお庭のスペースをお借りして、住まい手さんに用意して頂いたカレーとお弁当をみんなで食べました。自己紹介をした後、調査の進捗具合を報告し合い午後の調査に臨みます。
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床下調査:玉石基礎と延石で増築部は布基礎でした。地盤面は土です。含水率が30%を超える箇所が少しあり、湿度も70%程度でしたが、石灰がしかれているためか土はさらさらしていました。一部蟻害の跡が見受けられました。
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(左)二階床調査:今回は二階床の調査可能範囲が狭くなっていました。可能な範囲で小屋裏の床をはがしたり、一階の天井の隙間などから調査を行っています。
(右)小屋裏調査:小屋裏に上がると床に土がひかれており、歩いて小屋組の部材確認を行うことができました。棟木は一本物の丸太で立派な小屋組みでした。
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最後に依頼者のYさん、調査参加者揃っての集合写真です。
一日お天気も良く、調査員の方のご協力により無事に調査を終了しました。
住まいの診断レポートを北聖志さん(住宅医)とMSD共同で取りまとめ、これからレビューを行い、調査参加者の方から意見を出し合って報告書の精度をあげていきます。レビューでの意見を踏まえて報告書を修正し、近日中に住まい手へ調査結果を報告する予定です。
ご協力頂いた皆様ありがとうございました。レビューにも是非ご参加下さい。
MSD 久保