事例紹介2015-54 香川県高松市
高松市 K邸 詳細調査
報告:土居良助/一級建築士事務所 CAVOK Architects
物件概要
所在地:高松市屋島中町
■調査日時:2015年9月27日(日)
■構造規模:木造2階建て
■延床面積:約200㎡(約60坪)
■築年数:約45年
依頼主は、30歳前のご夫婦です。そして対象となる住宅は、景勝地で知られる屋島山麓の住宅地にあります。もとは依頼主のおじいさまがお建てになり、ご両親も住んでいたことのある住宅です。平成の時代になってリビング・水廻り・和室を増築しており、住宅街の中にあっては少々広めの建物です。
ここ数年はお墓参りなどの折に親戚が集まる拠点となっており、手入れは行き届いていますが、普段はだれも住んでいないという状況です。
この度、依頼主ご夫妻がこの住宅を引き継ぐにあたり全面改修のご相談を受け、詳細調査を実施する運びとなりました。
調査にあたっては県内外から5名(住宅医3名、インスペクター1名、一般の建築士1名)、MSDからの支援4名(住宅医・インスペクター2名、スクール生2名)の計9人という布陣で詳細調査に臨みました。
全景
調査にあたって
調査は①採寸・バリアフリー②設備・配置③内外劣化④内外仕上げ⑤展開⑥床下⑦小屋裏の7分野にわたって行うこととしました。
1階小屋裏へは納戸天井の点検口から進入可能でしたが、床下と2階小屋裏には進入口がなかったために調査に先立ち進入口を確保することとなりました。
床下調査
予想通り基礎に配筋はないようでした。また、各ブロックを繋ぐ人通口はありましたが、配管によって進入できない状況であり、そこより先は未調査となってしまいました。
また、土台、大引などにはシロアリによる食害などの痕跡は見られませんでしたが、床下は湿度がやや高く、束などに若干の水ジミが見られる状況でした。
小屋裏調査
屋根は瓦葺きでした。また、2階の小屋組は意外にもトラス小屋が組まれていました。
1階の小屋裏には比較的スペースがありましたが、進入路の限界からすべての範囲を調査することができませんでした。
採寸・バリアフリー調査
平面図は事前調査により作成済みでしたが、細かい寸法を採取していきました。また、廊下と部屋の間の段差など改修時に重要なポイントも確認していきました。
劣化調査
建物劣化については、内部、外部ともに確認していきました。屋内は雨漏り痕が確認されたりもしましたが、比較的良好と思える保存状態でした。
ですが、外部では基礎のクラックや外壁の劣化が見られ、特に南東角の劣化は顕著でした。ヒアリングによると、その場所はかつて不等沈下があり補修した経緯があるとのことでした。
野帳まとめ・報告
夕刻に調査内容を担当ごとにまとめ、主担当者へ引き継ぎました。その後、調査内容を依頼主に報告し、調査終了となりました。
今回はかなり久しぶりの詳細調査だったため、詳細調査運営の面で至らぬ点が多々ありました。主担当として反省しきりです。無事に調査を終えられたのも、参加してくださった方々の高いスキルの賜物であったと思います。
各地から調査参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました。