住宅医コラム 意見交換2014-43

「家を見守る」ということ~換気扇のメンテナンス

 三澤文子(MSD)

 

住宅医協会の本部事務局のある大阪市福島区福島2丁目で、少し前に火事がありました。豆腐屋さんの火事だったのですが、原因は換気扇のダクトから出火したとのこと。毎日毎日、油揚げや厚揚げなどを揚げている商売なので、長年の油が、ダクト内に溜まり、何かの拍子に発火したのではないか、ということらしいのです。

その火事を目の当たりにした散髪屋のご主人Kさんは、「うちの台所の換気扇のダクトは大丈夫かいな。改修してから一度も中身を見たことあらへんし。」とかなり心配そうです。ちなみに、この散髪屋さんは、30年以上前に三澤康彦氏が改修しています。

写真1

 

時を同じくして、13年前に新築したH邸でも、換気扇の相談がありました。

準防火地域で延焼の恐れのある壁に付く換気扇であるため、防火ダンパ―付きの壁付けプロペラファン式の換気扇を選択していました。当時は、なるべく掃除がしやすいようにとこの形式をお勧めしていたのですが、防火ダンパーがあるため、その部分の掃除が出来ず、こんな状態になってしまったとのこと。

写真2

掃除をする方法を考えるより、新しい換気扇に付け替えることを、まずはお勧めしたのですが、今後は掃除の仕方も、お教えしなければなりません。換気扇の掃除を怠った場合、換気性能は半減するといった研究結果もありますので。

とにかく、プロペラファン式でもシロッコファン式でも、分解して掃除がしやすくなっている器具がありますので、「換気扇掃除は、お父さんのお仕事と決めて毎年実行してください。」と言いたいところです。

実際は「年に一度、ダスキンさんにでもお願いしたらいかがでしょうか。」といったアドバイスをした次第です。

 

換気扇メンテナンスは侮れません。温熱環境や空気環境を考える上でも、換気方式からしっかり見直さなければならないようです。