住宅医コラム 意見交換2014-44

「家を見守る」ということ~夏のくらしのヒアリング
三澤文子(MSD)

 

この春、新築され入居されたSさんから、メールがありました。 メールの件名は「戸の隙間から入ってくる虫たち」 その本文は、「夏になって虫が多くなってきました。結構家の中にも入ってきます・・・・・」と続きます。

 

外部、特に南面に木製建具(ガラス框戸+格子網戸)を設けるのは、私の標準的な設計スタイルですが、その木製建具の隙間から虫が入って来るということ。メール本文では「虫が入って来るほどの隙間があるとなると、冬季の気密性能において、かなりひどいことになるのではないかと心配・・・」とありました。深刻に心配されていますが、今回の問題は、夏は網戸の隙間のこと。冬のガラス框戸の問題とは切り離して考えなければなりません。そんなことで、心配を払しょくさせることと、夏の生活の様子も拝見したいことから、早速伺いました。

 

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S邸は、神戸市の高台の、海が見える傾斜地にあります。あたりは樹木も多く、庭も、厳選された雑草(Sさん曰く)に囲まれ野趣溢れる雰囲気になってきました。

 

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種をまいたクローバーも良く育ってきていて、なんと、ある早朝、そのクローバー絨毯の上に寝そべって母イノシシが赤ちゃんイノシシにお乳をあげている情景をSさんご夫妻が目撃したとのこと。なるほど野趣味そのもの。虫たちも多いはずです。

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虫の侵入は、戸首のしゃくり部と鴨居との間隙間にありました。それによって網戸の上部隅の5ミリくらいの隙間からゴキブリが浸入するのを目撃。このままだとムカデも入ってくるのでは?という恐怖から、Sさんがスポンジ板で塞いで応急処置をしたそうです。

 

今回、この格子網戸については、すべて、建具屋さんに、戸首部分にスポンジ製の防虫パッキンを取り付けてもらうことにしました。また同時にアルミサッシの網戸の施錠についても相談があり、ホームセンターで、簡単+スッキリした鍵を見つけ、お届けしました。

 

ついでに、このところの暑さに関して、家の中の状況をヒアリング。
●高台にあるためか、とても涼しい。エアコンは使っていない。
●床下に設けたエアコンは、6月の湿度の高い日に除湿で使用したがとても効果があった。
●1階がとても涼しい。
●2階が一番暑い。猛暑の日、娘(2階に個室)は1階で寝た。
●階段室上部の頂側窓(屋根に設けたドーマー窓))は大変効果的で、よく風が流れている。(北隣の家の音が良く聞こえてしまうのが誤算)

 

ということで、気持ちよく夏の生活をされているご様子で、ひと安心。開口部は格子網戸で日射を遮蔽しているのが、とても効果アリです。だからこそ、虫の侵入問題はしっかり解決しなければなりません。