投稿日:2013年10月25日

事例紹介2013-36


事例紹介2013-36

小平市S様邸の改修報告
小野育代建築設計事務所 小野雅之

【建物概要】
・所在地 :東京都小平市
・構造規模 :木造2階建て(ロフト、地下収納庫あり)
・建物用途 :専用住宅
・改修対象面積:144m2
・築年数 :25年

【調査経緯について】
本物件は、東京都西方の武蔵台地の住宅街に建つ築25年の戸建て住宅です。

 

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調査着手時点で、外部サッシ改修による温熱環境の改善と、外装リフレッシュを主に改修計画が検討されていました。

住まい手は60代のご夫婦とその家族で、12年前に中古住宅として、本物件を購入されてお住まいでした。

中古購入時の状況や、現在のお住まいにおける劣化懸案などもふまえ、今後20年以上継続して住まうために必要な改修項目を洗い出すため、住宅医ネットワークに依頼のあった物件です。

【調査について】
中古住宅では、一般に十分な設計図面がありません。本調査に先立つ事前調査を2月下旬に行った際も、各室の展開採寸作業を3時間程度行ない、調査図面おこしの準備を行いました。
 

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その後、2013年3月29日に、住宅医東京事務局・H23及びH24東京スクール修了生を中心に、詳細調査を行いました。

 

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調査は、内装設備調査に2名、採寸調査に4名、床下調査に2名、小屋裏調査に2名、屋外調査に2名、電気関係全般2名、地盤調査2名の計16名にて、朝から夕方まで実施し、既存の地盤状況を含めた耐震性、劣化状況、温熱環境、設備の状況、バリアーフリー性、防火性など、住まいレポートの6課題につき詳細に記録を行いました。

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【調査結果について】
特に目立った調査内容を記載します。

基礎は、図面上布基礎となっていましたが、コンクリート土間が床下に打設されており、床下の環境は比較的良好でした。

 

 

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ただし、浴室洗面室まわりの床下には、蟻害(蟻道が存在)と腐朽による土台劣化が見つかりました。

 

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木構造部分では、12年前の中古購入当初に引継ぎ事項となっていた和室天井部雨漏り劣化は残存していませんでした。
一方、2階廊下床面や1階柱の傾きが、一部規定値(6/1000)を超える部分があり、耐震改修の際、2階床下内部の木組み状況の確認を行うことにしました。

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【改修計画について】
本調査の2ヶ月後の5月30日、住まい手御宅で、本工事の関係者(計6名)で診断レポート報告会を実施しました。
ここで、以下の耐震補強など改修計画(設計)の方針打合せも行いました。

 

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まず、住みながらの部分改修工事が前提でした。

また、できるだけ既存の内装材も残したいという住まい手のご要請もありました。
そのため、耐震補強の位置や劣化解体調査の範囲は、部分的なものとしました。
つまり、躯体をすべてむき出しするスケルトンリフォームでなく、浴室など改装エリアを中心に、部分的に耐震補強や木部劣化更新を行うこととしました。
 

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具体的な計画内容は、以下の4点です。
1)浴室、洗面台及びトイレなど水回り設備の更新を行う。
2)耐震補強は、既存収納部分や浴室水回りに「筋交い+構造合板」の補強を行い、構造評点の改善(0.3未満→0.8以上)を行う。
3)温熱環境改善では、既存窓36カ所中、(共用部や居室を中心に)20カ所の窓に内窓追設やガラス交換を計画し、q値の改善(4.68→3.87)を行う。
4)外装モルタルのひび割れや、軒樋の劣化ゆがみがありました。
また、住まい手は、外壁や塀のタイルに意匠上の違和感をお持ちのようでした。そこで、外観の美観向上も、今回改修工事の大きなテーマと考え、外装モルタルひび割れ改修・塗替え、樋交換・塗装、バルコニー笠木交換玄関扉交換、外壁・塀タイル交換、フェンス・門扉交換などエクステリアの改修も計画に取り込みました。

【工事について】
工事は、6月20日〜8月9日までの本年夏場の約2ヶ月間で実施しました。

腐朽蟻害があった箇所の浴室・洗面脱衣室廻りについては、周辺内外装を解体撤去して木部を露出しました。

 

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その際、土台を深浸潤処理木材に取り替えたり、ホウ酸によるシロアリ予防処置を実施しております。
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なお、本物件は、基礎が布基礎でしたので、今後も地下シロアリの害を受ける可能性があることから、床下全面にホウ酸水溶液の噴霧処置による予防も行うことにしました。
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一方、2階床の傾き劣化に関しては、規定値(6/1000)を超えていましたが、床組みの建て入れ直しを部分的に行うことで、改修範囲でない既存建具の建て付けに逆に影響をあたえる懸念もあり、協議の結果、傾き是正工事は今回とりやめにしました。
このことは住まい手S様に、状況のご説明を数回行い、ご理解をいただきました。

【結び】
本工事では、全て躯体を露出する改修物件と異なり、スケルトン化が出来ないことで是正工事範囲の区分を判別することの難しさを痛感いたしました。

また、住まい手S様は、海外での生活が長く、現在も海外の客人を迎え入れる習慣のあるご家族です。そのため、室内部の調度品など貴重な装飾品も多く、それらに傷をつけないよう細心の注意をしながらの調査や工事の作業となりました。

最後に、調査/計画/見積/工事が、約半年間に及び、いろいろご理解とご協力いただいた住まい手S様に感謝申し上げるとともに、調査に参加いただいた方々及び、工事関係者のみなさまに、あらためてお礼申し上げます。

投稿日:2013年10月03日

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