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住宅医スクール2017 第1回の報告(東京&大阪)

住宅医スクールが先日東京6月8日、大阪6月17日に開講しました。

どちらも盛況に40名以上の参加者にお越しいただき快調なスタートを切りました!

 

今回東京、大阪共に

第1講義 木造建築病理学の必要性 三澤文子氏

第2講義 建物調査と報告書の作成 滝口泰弘氏

第3講義 木造建築病理学の実践 豊田保之氏

第4講義 東京 住宅改修事例を語る-① 安藤邦廣氏

大阪 住宅改修事例を語る-① 竹原義二氏

 

↑大阪スクールの様子 

左 盛況でした 右 竹原先生の講義 

☆受講者のアンケートから☆

■第1講義

・とても良い講義でした
・久しぶりに三澤先生の第一講義を拝聴しました。住宅医の仕組みができるまでのお話も新鮮な気持ちで聴きましたし、
最新の事例や調査や構造見学会、竣工見学会にも参加させて頂いたのもあり、三澤先生のまとめを聴けて良かったです。
今後、客先へのアプローチや最後の報告などは取り入れてみたいと思います
・三澤先生の講義は建築士会の環境セミナーで一度概ね聴いた話でしたが、何度でも聴きたい、また、全ての建築従事者に聴いてほしいワクワクする様な話でした
・三澤先生の病理学という概念をとりこまれた経緯が興味深かったです
・三澤さんのお話を伺い、この講座への意欲が高まりました。1年間よろしくお願い致します
・治す力を養いたい。その上で新築に生かしたい

■第2講義
・時間が短く思うくらい良かった
・OB向けに変更点などがわかる講義をご案内頂くことはできないでしょうか。毎年、滝口先生の講義はホットな話題も多いので聞いたほうが良いように感じました。住宅医詳細調査のスクール生参加について、初めて参加した時はペアになった方も同じく初参加の受講生で、受講生は必ずベテランとペアになるようなルールがあればよいと思う。経験値を積むことができるのが住宅医スクールの良いところなので、スクール生の参加がなくなるのはもったいないと思う
・滝口先生の講義は、自ら行うことを想像すると恐れをなすことばかりで(営業・運用面も含め)、詳細調査の実施事例が今後あればぜひとも何度でも参加させていただきたいと思いました
・調査の密度の濃さに驚きました。自分にもできるようになるか、期待と不安です。診断の実習はぜひやってみたい
・第2講義で、調査をしていてどの辺に被害が出やすいか等をもっと聞きたかったです(
・ぜひ調査の研修を東京でもお願いします

■第3講義
・一次インスペクションの資料作成、手法、成果品はよいと思う。360°カメラ分かりやすい。打診棒の動画もよい。どういう使い方をするかなども分かりやすいです
・豊田先生のお話は少し細かな話がバラバラとしていた気がして、こちらも細かいことが気になりました(鋼板サンドイッチパネルの電気配線はどうするのかとか、蓄熱は十分な断熱をすればほとんど効果がないと他のセミナー(おそらくパッシブハウスジャパンの)で聞いたがその点はどうなのか等。ちなみに蓄熱は屋内の暖冷房熱と冬期の日射取得熱を区分して考えないとよく解らないことになると思いますが、追って解決していきたいと思います
・360°カメラほしいです。サーモカメラも必要そうでした

■第4講義  東京 安藤先生
・古民家、民家の根本的なこと、事例紹介の中で、私の知っていることがいくつか間違った認識だということ気づかされました。非常に面白かったのでまた本など拝読させてください。心おどる直し方をということで松の曲がり板を利用した壁、板の間、窓のふちに金を使ったアーティスト(陶芸家)の話の中で、金継ぎ(より価値の出る直し方もある)という紹介があり、住宅医に求められることに通じているというお話、民家を直せば里山が蘇る、心に響いたお話でした
・安藤先生のお話は、心が洗われる様な素晴らしいお話でした。圧倒的統合力と知見と思想の賜物だと思うので、一体どこまで研鑽すれあこの域に辿り着けるのかと気が遠くなりますが、今日の旧を新しいスタートラインとして精進していきたいと思います
・安藤先生の民家のお話もとってもおもしろかったです
・安藤先生の民家に対する想いが大変参考になりました
・家を治す→人の心も治すことなのだ→重い言葉ですね

■講義全般

・スライドやテキストのカラー仕様のものをホームページ等でPDFでダウンロードできるようにしてほしい。グラフやチャート、写真が白黒だとわかりにくい。文字もつぶれてしまっている。WEB講座のような授業があれば全国的に普及するのではないでしょうか。また、仕事等で欠席してしまった場合もWEB講座でフォローできるので便利かと

(回答)

毎年フルカラーのご要望がございますが、現状モノクロを基本とさせていただいております。
全てフルカラー、全てのページを1枚で印刷となると現状の30倍以上の印刷コストがかかり、
受講料を上げる必要が出てしまいます。
また受講者数が多ければ多いほど、質は向上できますので是非お仲間をご紹介ください。
レジュメ上カラーでないと判別出来ない事項はカラーで出すように調整しております。

資料については、原則著作権等の問題からデータでお渡しできないケースが多く、申し訳ございませんが紙でのみとさせていただいております。

 

・レジメの文字が小さすぎて見ずらい所があった。白黒写真で分かりに所があった。今後、木造の改修工事の見学会があったら参加したい

(回答)

レジュメの文字の件は申し訳ございません。なるべく見えやすいように資料を作成しておりますが、元のデータの解像度によってはどうしても見えにくい場合もございます。
改修工事の見学会、調査や調査員の募集は随時住宅医通信等でご案内します。またはインフォメーションでお知らせもしますのでよろしくお願いします。

・机上の学び以上にまずは現場での調査の実務経験が必要だと思いました。有意義な講義でした。90分が短く感じました。建主からの調査改修依頼を待つことが多いと思いますが、こちらから営業する方法の参考例があれば聞かせてほしい。あるいは行政とうまくやっていくなど
・大変勉強になりました。今後仕事に生かせるようになるにはやはり実践でないと身につかないと思いますので、事前調査の機会をぜひ設けて頂きたいと思います。ぜひ参加したいです。修了しないと参加できないのでしょうか?

(回答)

事前調査は受講生に募集するケースもございますので、機会を見つけてご参加お願いします。

 

事例報告(改修事例)2017-69

滋賀県「甲賀のいえ」改修事例報告
設計者:MSD/三澤文子
報 告:佐治あゆみ
所在地:滋賀県甲賀市
主用途:一戸建ての住宅
築年数:築100年以上(詳細は不明)
規 模:木造2階建て
建築面積:167.63㎡ (50.71坪)
延床面積:259.20㎡ (78.39坪)
着  工:2016年1月
竣  工:2017年2月
(工事期間13ヶ月)
長期優良住宅化リフォーム推進事業採択
今回の改修報告は2015年7月に詳細調査を行った築100年以上の民家です。
過去の調査報告はこちら↓↓↓
http://sapj.or.jp/syousaichousa2015-51/

△改修前の外観                 △改修前の内観
甲賀市は忍者の里で有名な場所。風情ある瓦葺きの立派な民家が多くあり、趣がある風景の一角に「甲賀のいえ」があります。今回の改修は築100年以上の母屋を息子さん家族へと引き継ぐための全面リフォームです。

 

△改修前1階平面図                     △改修前2階平面図

 

【改修計画】
玄関・仏間・和室・縁側は既存の雰囲気をできるだけ残し、北側のキッチンダイニング・水廻りは使い勝手よく今の生活にあったプランに変更しています。また道路境界ぎりぎりまで迫っていた西側の建物の一部を撤去する事で南庭と北庭の通路を確保しています。

△改修後1階平面図

△改修後2階平面図

【解体工事】
詳細調査にて蟻害や腐朽の確認を行いますが、解体後に分かることも多くあります。
改めて材寸や劣化具合を確認し、劣化している材は撤去、構造計画も再度確認します。

△解体中の様子
【基礎工事】

△土台据えの様子
捨てコン打設後、まずは土台を鋼製束で支えながら据え付けていきます。
住宅医スクールの講義にて紹介されている工法です。

△配筋の様子
既存基礎に新規基礎を抱かせて補強する方法もありますが、
ここでは、既存基礎を全て撤去し、新規に配筋・コンクリートを打設しています。

△コンクリート打設後の様子

【屋根工事】
既存の母屋・桁・棟木等は残し、それ以外は撤去しました。
耐震性等を考慮し、土葺き瓦から桟瓦葺きに変えています。
新規垂木の上に構造用合板を張って屋根の水平構面を確保しています。

△屋根解体後の様子

△新規垂木の上に合板張り

△外張断熱:フェノバボード(ア)90
耐震性能を確保すると共に、外張り断熱で断熱性も向上します。

 

【躯体補強工事・耐震改修】
既存建物の耐震要素は土壁がメインで、壁も少なく低い耐震性能でした。
既存3間続きの部屋を残しながら、新たに構造用合板で耐力壁をつくり耐震性を高めています。

△躯体補強の様子
腐っている柱・梁は撤去の上、新しい材をいれています。また構造耐力上必要な材やプラン上必要な材も追加しています。

 

△接合部検査の様子
構造計算をお願いしたTE-DOKの河本さんと田畑さんに現場へ来ていただき接合部検査を行っていただきました。改修は新築と違い、梁も柱も成型ではなく、規定通りにはいかない事ばかり。。。
構造の専門家に現場を確認してもらい、職人さんも交えて補強方法を相談できるのは大変嬉しい機会です。

 

【竣工写真】(左が改修前、右が改修後)
□北側外観
既存の趣を残しながら、雨仕舞を考慮して一部屋根の形状変更をしています。

 

□南側外観
南側の開口部は木製建具(ペアガラス)に格子網戸をつけています。

 

□玄関
敷台は既存床の間で使用していたケヤキ板を再利用。

 

□和室
既存の軸組・天井・建具を利用しています。

 

□ダイニングキッチン
息子さんご家族の生活に合わせ、リビングダイニングキッチンを一体とした広々した空間に変更しています。

 

□リビング
リビングの床は栗。茶色の部分は栗に漆塗りです。


□2階
既存の小屋組みを生かした空間。写真はキッチン上部吹き抜けの様子です

 

100年以上の歴史がある民家。
蟻害や腐朽も多く確認されましたが、劣化している箇所は治し、趣ある雰囲気を残しながら、今の生活に合わせた全面リフォームとなりました。
「新しい家に建て替えるのではなく、古い建物を生かして住み続ける」
改めて素敵な選択肢だと感じる機会となりました。

1年以上という長い工事期間の中、多くの方のご協力があり無事に完成する事ができました。
詳細調査にご参加いただいた皆様、改修工事にご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

佐治あゆみ

住宅医コラム 意見交換2017-79

「トイレコラム」
トイレの設備 ~ 設備屋さんから話を聞く
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

住宅医スクールの講義に「設備の劣化診断と対策」があります。設備に関する講義は他にないので、大変貴重だと評判が良いのですが、それは、給排水衛生工事の実務者である講師の清水基之さんの、わかりやすい説明が、人気の秘密なのではないかと思っています。

そこで今回、「トイレ」に絞って、設備屋さんからの「思うところ。」をうかがってみました。

これから先は、対話形式で続けます。

 

清水さん「トイレに関して、ですね。わかりました。最近の便器は節水トイレが多くなりました。

そのため排水のつまりでメンテナンスに出動することが増えてきています。

配管の勾配・管径は、トイレの水量が13リットル程度流れることを想定して設計されています。

近年各メーカーがこぞって節水便器をつくり始め、管径と水量のバランスが取り難くなり、<つまり>が多く発生しているというわけです。

水量が少ないため管内に汚物が滞留することもあります。

節水便器ですが、用をたしたら一度流し、使用後にもう一度流すと効果的です。

ちなみに、女性は<小>でも紙を使用するため、<大>洗浄扱いです。」

 

三澤ふ 「2回流すことになると節水とはいいにくくなりそうですね。」

 

清水さん 「そうですよね。それと、設計士さんへのアドバイスですが、節水トイレの場合は、設計の際に最上流に浴槽がくるような設計が大変好ましいのです。節水タイプでも、詰まりにくくなりますね。」

 

三澤ふ 「そんなこと考えていなかったな~。」

 

清水さん 「それと、ネオレストなどタンクレスや一体型便器は、外見はとてもシンプルでスマートですが、故障した場合通常10年間部品供給はしていますが、それから先はない場合がでてきます。

ことによると、タンクレスなど大変高価なものを10年足らずで取り替える可能性があるので、本来のようにタンク・便器・便座の三点セットでトイレ構成すると、故障は便座だけとなり経済的だと思うのですが。」

 

三澤ふ  「確かに、タンクレスはスッキリしていて、今や、便器はタンクレスが当り前になった感はありますね。

コスト比較と、機能について、住まい手さんに整理して説明できるようにした方が良いですね。」

 

タンクレストイレ:TOTO/CES9897【定価】379000円
          【某社見積もり額】272880円

 

タンク、便器、便座の3点セット。便座を木製のものにしたいという希望があり、この形になった。
清水さん 「それと、設計士さんにお願いしたいことがあるんですが。」

 

三澤ふ 「えっ、なんでも言ってください。」

 

清水さん 「設計士さんに、トイレ内の配管をした後で、追加工事で、トイレ内に手洗器設置を依頼されることがよくあります。

施工が簡単そうに見えますが、床下でトイレ配管より狭い場所での切り回し、なおかつ、トイレを排水すると手洗器の封水を引っ張り、破れる可能性が高くなるんです。

手洗器が必要な場合は土間逃げ配管前に決定をしていただきたいですね。」

 

三澤ふ 「わかりました。気をつけます。というか、私はいつもトイレには手洗器がある設計なので、後から設計変更はあり得ないので・・・」

 

清水さん 「それとトイレの掃除のことですが・・・・」

 

三澤ふ  「あ。トイレの掃除については、次号のテーマなので、今回はここまでということで。」

 

◆次回は、トイレの掃除がテーマです。設備屋さんの「掃除についてのご意見」を聞いてみます。

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