投稿日:2017年09月08日

事例報告(改修事例)2017-72


改修事例報告
設計者: 株式会社 プレゼントデザイン 川端順也
施工: 株式会社岡田工務店 岡田栄治
報 告: 株式会社岡田工務店 岡田栄治
所在地: 広島県東区
地 域: 近隣商業地域 準防火地域
主用途: 歯科医院兼住宅
築年数: 築49年 昭和43年
規 模: 木造2 階建て
敷地面積: 109.22 ㎡ (33.10 坪)
建築面積: 88.18 ㎡ (26.72 坪)
延床面積: 156.81 ㎡ (47.52 坪) 住宅99.6 ㎡ ・病院55.55 ㎡
着  工: 2015 年8 月(病室工事期間26日)
竣  工: 2016 年2 月
( 工事期間6 ヶ月)
長期優良住宅化リフォーム推進事業採択
広島市東区牛田という閑静な住宅街、親子代々この地で歯科医院をされている先生から、
プレゼントデザイン設計依頼を受け、地元で長年工務店をしている岡田工務店施工という形で、このプロジェクトが始まりました。
この建物は本屋さんだった中古物件を購入し、先代先生が建物を少しづつ改装増築を繰り返しながら
店舗兼住宅にされていたため建物状況として予算面を含め建替えた方が良いのではないか?という考えも出ましたが、
「患者さんの治療を止めることができない少しでも休業しないで診療できるようにしてほしい」
川端さんと共に熱意を感じ先生にも協力していただき、診療期間第一優先という形で改修工事という形で決定しました。

 

  

現地調査状況

柱、梁の組み方など一通り見て柱が通っていないという柱が直下階にいないという状況
「嫌な予感がするなぁ~」と思いながら解体工事に入りました

 



第一期解体終了

建物の劣化と構造不良個所がたくさん出てきて「どこから手を付けようか?」正直、すごく迷いました。


1階改修計画

改修計画と1階既存部分の配置を考慮して、音の出る工事や振動の出る工事をなるべくお昼休みか、
休診時を選び工事を進めるプランにし、病院工事時間短縮を考え2階からの梁補強などを先行し
ゾーンを分け床組み等を優先しながら、柱の通り修正柱補強を行いました。



外周部壁解体


増築部分のつなぎ目や屋根からの漏水があり柱も傷んでいる場所が多く差替えや補強をする場所が多く、
通りを修正しながら、柱補強+金物補強をしながら2階補強計画もとに固めていきました。
  

 

そして、いよいよ屋根工事「2階は青空状態になりますが、気にせず診療してください」と先生に伝え始まりました。
工期短縮のため事前調査し、梁を補強しつつ既存の梁の上にプレカットした梁を載せていくという方法で
施工、屋根を解体前に出来る梁補強を行い屋根解体をしました。



台風が心配の中、屋根工事が無事完了
先生も診療室以外は青空が見えている状況に驚いておられましたが、一部病院の器具を移動する部屋を仕上げ
いよいよ解体から木工事完成まで11 日工事が始まります。

診療室廻りの解体


 

シュミットハンマーでコンクリート強度調査を行い、
基礎一部補強及び防水シート上土間コンクリートを打設いたしました。
床下高さが低いため湿気を考え、床下高さを確保するため根太工法を採用し、劣化箇所や補強箇所を確認、
改修しながら工事を進めていきました。「新築に負けない性能」を合言葉に気の合う大工10人、
職人連携協議し工事を進めていきました。


「永く街に愛される建築を残していきたい」コンクリートな街になじむプロポーションにということで、
外壁に木を使うという提案が採用されました。防火性能を持つウィルウォール、
一番難しい雨仕舞雨にあたる部分と樋の納まりを考え、
窓廻りの防水などを考えシンプルフォルムになるように納まりを決めました。




 

1階店舗部分塗装クロス工無事終わりホッとしました。
設計、工務店、職人の連携のもと工事ができたと思います。
設計者と工務店の距離連携が取れることでスムーズに進み、
お互いの信頼とコミュニケーションと話しやすい環境
が大切だと思います。




 

断面、温熱含め準耐火地域ということでプレゼントデザインの色々な計画を元に工事を進めていきました。
実測データーも光熱費が下がり計算通りでしたが、患者さんが増えたため動力が大幅に増えました。
先生は「忙しくなりすぎて休む暇がない」と笑顔でぼやいていますが、
患者さんが増えることで「より永く街に愛される建築」になりました。









 

彼の子供に自慢できる家

投稿日:2017年08月07日

事例報告(改修事例)2017-71


改修事例報告
愛知県「Y様邸」改修事例報告
設計者:新和建設:清水誠二
報告:清水誠二
所在地:愛知県稲沢市
主用途:一戸建ての住宅
築年数:築125年
規模:木造平屋建て
建築面積:188.19㎡(56.92坪)延床面積:188.19㎡(56.92坪)
着工:H27年4月
竣工:H27年11月(工事期間8ヶ月)

今回の改修報告はH26年12月に詳細調査を行った築125年の民家です。

左:改修前の外観           右: 改修前の内観

 

宮大工のご先祖様から、代々時を越えて受け継がれてきた築125年の歴史のある佇まい。
施主様のご結婚、これから始まる新しい家族との暮らしの為の全面リフォームです。

 

左: 改修前1階平面図          右:改修前小屋裏平面図

 

【改修計画】既設の差鴨居、踏天井、建具を最大限利用してお互いのプライバシーを守りつつ
仲良く暮らせるように、現代の二世帯の住まい方に対応する計画とした。

 

改修後1階平面図

 

改修後小屋裏平面図

 

 

解体中の様子

 

耐圧盤の配筋の様子

 

床下全体に耐圧盤コンクリートt=150を打設。防湿対策と傾き修正の為に施工。

屋根工事既存の桁・母屋・棟木・垂木などは残し、それ以外は撤去しました。
土葺き瓦から桟瓦葺きに変えています。垂木の上に構造用合板を張って屋根の水平構面を確保しています。

 


桁、垂木を取替えした部分の様子

建物東面の下屋は雨漏りが酷く劣化していたので、桁、垂木を取替えしました。

 

傾き修正の様子

傾き修正の様子北側に床から天井で30㎜傾いていました。
耐圧盤にフックを取付けチェーンとワイヤーで修正して、
傾きが元に戻らないように耐力壁とアンカーボルトで固定します。

 

 

耐震補強工事既存建物は開口部も多く、壁も少なく低い耐震性能でした。
既設の和室はなるだけ活かしながら、その他の部分で耐力壁をつくり耐震性を高めました。

 


南側外観

 

和室

 

既存の天井、建具、柱など再利用しています。

子世帯のリビング

土間であったスペースを吹抜けにし梁をあらわしました。
上部にガラス瓦を設けて採光をとりました。
既存のランマを階段の手すりに利用しました。

 


リビング

既存の差鴨居、踏天井、建具を再利用して新旧の融合をとりました。
上部にガラス瓦から採光がとれるように配慮しました。

古民家は築年数が古いほど魅力を感じます。
古美を最大限引出すことで、お客様の思い入れを大切にできると考えてます。
既存を活かせば活かすほど、性能を上げることと葛藤します。
詳細調査に取り組くむことで建物を熟知して、より良いご提案ができると思っております。

投稿日:2017年07月04日

事例報告(改修事例)2017-70


改修事例報告
有限会社 青木工務店 萩尾聡子
静岡県「T様邸減築改修工事」

■設計・施工担当、報告 : 有限会社 青木工務店 萩尾聡子
■所在地 : 静岡県三島市
■用途  : 一戸建て住宅
■建設年 : 昭和60年(築31年)
■規模  : 木造2階建て
■改修規模: 1階床面積  101.02㎡(30.50坪)→ 107.44㎡(32.43坪)(増  6.42㎡)
2階床面積  66.24㎡(20.00坪)→    0㎡      (減 66.24㎡)
延床面積   167.26㎡(50.50坪)→ 107.44㎡(32.43坪)(減築 59.82㎡)
■改修時期: 2016年4月~2016年8月
■補助金等: 長期優良住宅化リフォーム推進事業採択
しずおか木の家推進事業(リフォーム)

■建物概要
T様邸は、静岡県三島市の中心部の住宅地にあり(築31年)周辺もほぼ同じ年代頃の築年数の御宅が多い地域です。家族構成や生活スタイルの変化等に伴い、耐震、バリアフリーに対応した改修工事を御希望されました。お子様は独立され遠方に暮らしておられ、お母様の将来の生活を一番に考えて欲しいとご希望でした。
初回の打合時、御施主様のご希望として、現在の御宅におひとりで住まうには、広すぎると感じておられ、特に2階部分が管理、防犯上も不安があるとのこと、耐震上の不安もあるとのこと、また、床屋さんとして営まれていた元店舗部分等を含めました、建物への想い出を強く持っておられ、当初から2階を全て無くし現在の建物を活かして平屋建てに改修する、減築という形を第一に強くご希望されておられました。

   

【写真①】改修前外観              【写真②】改修前内観

 

 

【改修前 1階平面図】             【改修前 2階平面図】

 

1階西側道路に面し、元床屋さんの店舗スペースがあり、玄関を入り、奥に和室3室、DK、の居住スペースとなり、北側、南側は建物が近接し、普段の生活場所を暗く感じておられました。一番日当たりの良い元店舗スペースは全く使われていない状況でした。2階も使われておらず、洗濯物を干しにいくだけの状態とのことでしたので、おひとりで住まわれるのには広すぎると感じられていらっしゃいました。

■建物調査
2016年3月4日住宅医の方々にご協力頂き、建物調査を行いました。

【写真③】調査の様子 内部(木部)     【写真④】調査の様子 外部

<劣化状況>
調査の結果、外部は15年前にメンテナンスを行われており、大きな劣化は少なく、内部は表面の仕上げ材の劣化等は見られましたが、構造部は床下の乾燥状態は良く、木部の劣化は少ない状況でした。

<耐震性>
平面図でみますと2階の入り組んだ箇所や南面等の外周部壁下に、1階に壁の無い箇所等が見られました。
基礎:鉄筋が確認され、布基礎、防湿コンクリートが施工されていました。
木部:ホールダウン金物はありませんでしたが、筋交いプレート、羽子板、火打金物等仕様されていました。
一般診断にて、0.92 (一般診断 耐震診断ソフト 「木造住宅の耐震診断と補強方法」
改訂版一般診断ソフト・精密診断ソフト(精密診断法1) 静岡県建築士会)

<温熱・省エネルギー性能>
外皮平均熱貫流率UA 1.37W/㎡K (6地域 基準値  0.87 W/㎡K )
天井・壁・床下はグラスウール50mmが施工され、断熱材の脱落、劣化等が見られました。
開口部は、アルミサッシ、シングルガラス。開口部数、面積が大きく、熱損失割合が大きい状態でした。

 

■改修内容
建物詳細調査により、当時の施工状況が良く、劣化が少ない状態が解り、御施主様は安心して改修の方向性への気持ちを固めておられ、プランのご要望として、
・お二人の娘様のご帰省時の和室2室が必要
・寝室として、和室8畳
・元店舗部分をリビングとすること
等が主な内容として、大きな間取りの変更はご希望ではありませんでしたので、現状の位置を活かしながら、バリアフリーの生活への変更と、無垢の自然素材を内装仕上材として使用しました。

<耐震性>
2階を全て減築することで、耐震性能は大きく向上し、1.5以上の数値となりました。ホールダウン金物を設置し、改修箇所で金物の入替・新規設置等を行いました。

<温熱・省エネルギー性能>
屋根を全て葺き替えの為天井部分は全て断熱材を入替とし、床下部分も全て入替施工致しました。壁部分に関しましては、全て断熱改修を行うことは費用や工期の点で難しく、エリア分けをし、断熱改修を行いました。ご帰省時のみに使用される和室は真壁の意匠を活かすこととし、壁は仕上げのみやり替え、その他部分の壁断熱材を入替ました。壁の断熱材を交換出来ない部分は天井裏や床から気流止めを施しました。
改修後、UA値 0.78W/㎡K となり、6地域 基準値をクリア致しました。

 

【改修前 熱損失計算】   【改修後 熱損失計算】

 

 

【改修後 1階平面図】  (×:柱移動箇所)   【改修後 2階平面図】

 

 

 

【改修計画 温熱・省エネルギー計画】
■工事
・解体工事

【写真⑤ 解体工事(外部)】        【写真⑥ 解体工事(内部)】

 

2階部分を解体しながら、平屋の小屋組を行いました。既存2階部分の構造材を活かしながら、新規の小屋組材を手刻み加工としたため、既存2階をブロック分けし、解体、屋根組を行いました。既存の柱、梁等の構造材を活かしたことで、御施主様はとても喜んでくださいました。今回はタイミング良く梅雨前に屋根工事が完了することが出来ましたが天候を考慮しながらの工程は仕上工事に影響を及ぼす為、次回は仮屋根を架ける等の工夫を行いたいと思っております。

・木工事

【写真⑦ 構造金物設置】         【写真⑧ 断熱材入替】

 

【写真⑨ 断熱材設置・無垢床板張り】  【写真⑩ 外部一部左官壁下地工事】

 

■完了


【写真⑪ 改修前外観】               【写真⑫ 改修後外観】

 

【写真⑬ 改修前 元店舗】         【写真⑭ 改修後 LDK】

 

【写真⑮ 改修前 和室】           【写真⑯ 改修後 和室】

 

【写真⑰ 改修前 DK】         【写真⑱ 改修後 LDK】

 

 

 

【性能診断結果概要 改修前】           【性能診断結果概要 改修後】

 

築31年と築浅の御宅であり、施工状態、メンテナンス状態も良かったため、既存の構造を活かしながら、改修を行うことが出来ました。住宅医スクールを受講させて頂いた後、住宅医の方々にご協力頂き、詳細調査をした上での改修計画、施工を行うことが出来たことは、計画、打合、現場での対応においてもとても良かったと思います。
また、長期優良住宅化リフォーム事業の採択を受けることができ、併せてリフォーム瑕疵保険を利用する事などで、大規模改修におきまして、お施主様が安心して工事を進めさせて頂くことが出来たと思います。

解体・木工事に関しましては、天候の影響等、難しい点も数多くありましたが、活かす部分と、新規部分との取り合いの工程が非常に重要であると実感致しました。内部造作工事では、既存の柱、下地の歪み等の調整に手間を取られることも多く、断熱、気密工事への配慮を今後は更に図りたいとの課題があります。
電気、給排水工事等におきましては、既存利用か新設かの選択、既存と新規配線配管との取り合い、工程において木工事との調整等、課題が多くありました。
既存の構造材を活かすことが出来たこと、仕上に無垢の床板等あたたかみのある材料を使用した事等とても喜んでくださいました。

減築工事を行うことは、御施主様にとって非常に大きな決断であったと思いますが、何よりも、その建物で過ごされたご家族の思い出を残したいという強いお気持ちを感じました。また、娘様たちが帰省された際にあたたかく迎える、以前と変わらない場所、が大切だと感じました。そのような点をふまえ、壊しながら、残しながら、新しく、と進めさせて頂きました。2階を全て減築することは費用面でも大きく占め、改修計画におきましては様々なプランが考えられると思いますが、将来の生活への「不安を取り除く」というご希望を叶えられることが出来、安心して住み続けることが出来る、と御施主様はとても喜んでくださいました。
この度の御宅の改修工事を通しまして、それぞれの御宅に応じた、そして暮らし方の変化に対応できる適切な改修計画、また、改修現場で生じる事象への適切な対応が大切だと実感致しました。工事を任せてくださいました御施主様に心より感謝の気持ちで一杯です。調査にご協力くださいました皆様、改修工事に関わってくださいました皆様、本当に有難うございました。