投稿日:2016年01月07日

事例紹介2016-56 東京都中野区


 

中野区A邸 詳細調査

報告:加部千賀子 / 加部設計一級建築士事務所

 

物件概要

■所在地:東京都中野区

■調査日時:2015年12月19日(土)

■構造規模:木造2階建て、半地下のガレージ付き。スキップフロアー。

■延床面積:113.22 ㎡(約34坪)

■築年数:築約27年

都心で好立地の閑静な住宅街。 依頼主Aさんは、終の棲家としてこの築21年の中古住宅を購入し、入居5年が経ち、1人暮らしの母親を呼び、一緒に住むことを決めました。しかし、このスキップフロアーが母にも将来の自分達にもバリアーとなると思い、使わなくなったガレージをつぶしてスキップフロアーをなくそうと考えました。高齢者にも愛犬にとっても住みやすい家に替えるよう私に設計を依頼されました。

1・2階共、既に2度のリフォームが行われ、今回のリフォーム対象は、1階のLDKと和室部分です。リフォームの設計着手前に、劣化状況や以前リフォームした時の不明な造りを知るために、詳細調査をする事にしました。

当日の調査隊は、住宅医・インスペクター5名、研修生5名、当事務所1名合計11名の構成。工務店も参加です。

 

調査にあたって

全員集合したところで、Aさんにご挨拶し、一室お借りし、資料の配布・全体ミーティングを行いました。

調査は①採寸・仕上げ ②外部劣化・外部設備 ③内部劣化・内部設備 ④1階床下 ⑤2階床下 ⑥小屋裏の6分野に分けて行います。工務店は、屋根の劣化状況と床・天井の開口部開けです。

朝のM_P1060587.jpg★

1階床下調査

和室の畳を上げ、荒床に開口を開けて入いります。

ガレージの壁は有筋だったが、一般基礎は、無筋。中2階の和室基礎は、一般基礎の上にガレージの壁の高さに合わせて、打ち増し(写真/下左)である。

基礎は、ハツリが4か所あり、無筋である事を確認。多分、ソーラー換気扇取り付け時によるものだろう(写真/下中)。

根入深さを確認=195㎜。

土台に関しては、西側土台に水ジミ。大引きに腐朽が見られた。雨漏りによるものと推測(写真/下右)。

カビは、大引き・土台に見られた。防蟻処理の薬剤散布を確認。2階床下から見えなかった筋交が確認できた。

 DSCN0305DSCN0392DSCN0357

 2階床下調査

ユニットバスの天井点検口から、構造や劣化を見ます(写真/下左)。

木くず(写真/下中)や蟻の死骸(写真/下右)が見られた。黒蟻と漏水などによるものと推測。

DSC00670-UB点検口より IMGP0577東側出窓上部木くずIMGP0582-UB天井裏蟻死骸

小屋裏調査

小屋裏には、雨漏り跡などの顕著な劣化箇所は見られなかった。野地板(スギ)の含水率は、12.0~13.5%で、異常は見られなかった。

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お昼休み

食後、再び部屋をお借りし、午前中の調査で分かった事や問題点を話し合い、進捗状況に合わせて、調査分担を調整しました。

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劣化調査

内外とも劣化状況を2班で調べます。

屋根は、再塗装の剥がれが一部見られる。北側には、コケ(写真/下左)。外壁西面のモルタルにクラックが見られた。(写真/下右)

CIMG0825-屋根こけ・劣化CIMG0822-棟押えモルタルヒビ

深目地のタイル貼り外壁は、一部浮きと脱落あり。北側モルタル下地吹付けはクラックあり。

2階サイディングのジョイント部分は、コーキングの劣化とひび割れが多々あり(写真/下右)。

CIMG0823-サイデイングのコーキング

室内は、1階天井・壁の仕上げビニールクロスに、水染み・浮きを確認(写真/下左)。

その周辺外部2階窓周りにコーキングの補修後、有り(写真/下中) 

壁の仕上げビニールクロスのクラックは、スケールを当て、クラック巾を調べる。

 IMGP3535-1F天井水ジミ&クリス剥がれ窓のこーキングRIMG0330IMGP3485-壁ヒビ-スケール

採寸・バリアフリー調査

廊下・トイレ室内の広さ、トイレ・浴室出入り口の内法幅トイレ(写真/左下)、居室床・階段・浴室・トイレの段差を採寸します。

居室を含め全ての出入り口は、4方枠の納まりである。30~90㎜の床段差があり、跨がなければならない(写真/右下)。

IMGP3610浴室出入り口巾OLYMPUS DIGITAL CAMERA

設備調査

電気・給排水設備の機器の位置や給排水配管のルートを確認します。

量水器(写真/左下)、途中の排水枡(写真/右下)。 

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外部採寸調査

基準点を決め、地盤面の高さや建物や外構の一部を計測します。

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報告

夕刻、2階の一室で調査員の皆さまより、野帳見ながら調査報告して頂き、終了です。Aさんとワンちゃんに調査終了を告げて、解散です。

初めての調査で、至らぬ点が多々ありましたが、調査員の皆さまの手際よさと工務店の参加のおかげで、順調に終える事ができました。皆さま、ありがとうございました。今回の調査で抽出された問題点はリフォームに反映し、質の高い設計・監理に繋げたいと思います。また調査での疑問点が現場解体時に分かったら、調査員の方々にフィードバックしようと思っています。

 

加部設計一級建築士事務所 加部千賀子

投稿日:2016年01月05日

事例報告(改修事例)2016-52


岩倉の町屋 改修事例報告

報告:NPO法人WOODAC 中島昭之

 

 

・設計監理:NPO法人WOODAC 中島昭之

・施工:(株)新和建設

・設計期間:2014.3~2014.9

・工事期間:2014.9~2015.3

・建築年数:1912年(大正元年)103年

・構造・規模:木造2階建て 延床面積:233.16㎡

・概要

愛知県岩倉市の街道沿いにある町屋。虫籠窓など立派な外観で街道の中心的な建物。しばらく空き家(物置)となっていたが、息子夫婦の新居として改修することとなった。

・改修内容

耐震、断熱改修をメインで行った。又、建物の外観はできるだけ街並みにあった改修としたいという要望があり、虫籠窓など補修して、建物内部側で断熱、耐震改修を行った。改修前の建物内は日中薄暗く、照明が必要な状態だったが日中照明がなくても過ごせる空間とすることに配慮した。

 

 

・改修前平面図

改修前1F

改修前2F

 

 

・改修後平面図

改修後1F

改修後2F

 

・調査時確認した劣化

大黒柱、梁の蟻害

欅大黒柱がシロアリに食害されていました。芯部分がごっそり食べられている状態。木をほじくるとシロアリが出てきました。被害個所、その周りを薬剤処理しました。また大黒柱は取り換えた。

IMGP9767 IMG_1101 IMG_1098

 

土壁の劣化

土壁の落ち、タワミ、割れを確認。割れやたわみが酷い部分は土壁を取って新規に壁を作った。

cimg6120  IMGP2915  IMGP9753

 

・外観

アルミの格子を木製に変更、アルミサッシの玄関戸と木製建具に変更。前面の漆喰塗り直し

改修前

改修前

 

改修後

改修後

 

 

内観

リビングダイニング

改修前

改修前

 

改修後

改修後

 

階段

階段

 

リビング吹抜け

リビング吹抜け

 

2階吹抜け

2階吹抜け

投稿日:2016年01月05日

事例紹介2016-55 東京都日野市


日野市I邸 詳細調査

報告:滝川良子/スピカ建築工房

物件概要

■所在地:東京都日野市

■調査日時:2015年12月15日8:30〜17:30

■構造規模:木造2階建

■述床面積:約31坪

■築年数:20年

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12月中旬にしては比較的穏やかな天候の中で、調査が行われました。

調査建物には現在は70代のお母様がお一人で住まわれ、娘さんご夫婦との同居に向けて新築を検討されていましたが、建物が築20年という事から改修も視野に入れたいとの事で、住宅医調査に踏切られました。

当日は指導員 6名、実習生 4名の計 10名で調査に当たりました。

建物は開発をかけて、数棟の注文住宅として販売された内の1棟ですが、確認通知書をお持ちで、改築などは行っていらっしゃらないとお聞きしていました。

しかし事前調査時のヒアリングで確認時と現況がかなり変わっている事がわかり、開発事業者が確認を下ろした後に、現況のプランで販売したもののようで、容積率等がオーバーしている事がわかりました。

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調査は①採寸②劣化(屋外)③劣化(室内)④床下⑤バリアフリー⑥小屋裏の項目を6班に分かれて行いました。事前に侵入口を確認していたので、担当の方に位置の説明を行い調査を行ってもらいました。

床下調査風景

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床下の調査では木材の含水率、基礎の鉄筋の有無なども確認します。築年数が浅いため、状態は比較的良い方でした。

小屋裏内部

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小屋裏は野地板から出た釘が結露したと思われ、水痕が多く見られました。

また、事前調査で1階天井に染みがある事をお聞きしていた事もあり、1階小屋裏と室内劣化の担当の方には事前に説明を行い、気になる箇所を注意深く確認してもらい、お客様にも一部一緒にご確認いただきましたが、心配していたバルコニーからの雨漏りでは無いようで、ほっとしました。

採寸調査

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昼休憩は近所のファミリーレストランを利用しました。昼食後に午前中の各班進捗状況や気になる箇所の情報を共有し、午後の調査を始めます。

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内部劣化調査

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内部劣化調査では、レーザーを使用し床の傾きも確認します。

外部劣化調査

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この建物は樹木の多い立地という事もあり、樋の詰まりなど外部劣化が著しく見られました。

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冬場の調査は日が早く落ちるため、撤収時には真っ暗となってしまい、申し送りも懐中電灯を頼りに行いましたが、季節により時間配分も気をつける必要があると感じます。今回も指導員、実習生の皆さまにご協力いただき無事に調査を終える事ができ感謝しております。

まだ改修か、新築かでお客様も検討中ですので、しっかり調査報告書を作成して、適切な判断が行えるようにしていきたいと思います。

 

スピカ建築工房 一級建築士事務所

滝川良子