投稿日:2015年08月28日

住宅医スクール2015 浜松 第3回のご報告


8月20日(木)、住宅医スクール2015浜松・第3回が開催されました。

今回は木造建築の劣化・維持管理をテーマに、

「木材の劣化と対策①」        「木造建築物の耐久性能と維持管理方法①」

「木造建築物の耐久性能と維持管理方法②」          「住宅改修事例を語る②」

の4講義が行われ、50名を上回る方々が受講されました。

三澤先生のインフォメーション・イントロの後、講義が開始されました。

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第1講義「木材の劣化と対策①~生物劣化の基礎」
簗瀬 佳之 氏/京都大学大学院農学研究科助教

 

第1講義は、簗瀬 佳之氏より、シロアリの種類や特性、乾材害虫、木材腐朽菌等について講義が行われました。

沢山の被害例を写真とともにご紹介いただき、とても参考になり分かりやすい講義でした。

テキストもカラー印刷で嬉しかったです。

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第2講義「木造建築物の耐久性能と維持管理方法①~木造建築物の劣化、診断、補修の基礎」
第3講義「木造建築物の耐久性能と維持管理方法②~木造住宅劣化事例Q&A」

中島 正夫 氏/関東学院大学 建築・環境学部教授(住宅医協会 代表理事)
小栁 理恵 氏/和温スタジオ代表(住宅医スクール関東事務局)

 

第2講義・第3講義は2講義分連続して、中島 正夫氏により、木造建築物の耐久性や維持管理法について、

様々な切り口から幅広くお話し頂きました。
第2講義では、構造体を対象とした木造建築物の劣化について学びました。

多くの調査データを用いた蟻害・腐朽の実態を元に、腐朽・蟻害対策の基本の他、接合具および金物の耐久性、

集成材建築物の耐久性実態調査から集成材を用いた建築を行う場合の注意点についての説明も行われました。

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また、第3講義前半では、木造建築物の維持保全のあり方、木部の蟻害・腐朽箇所や集成材の干割れ・はく離の

補修方法などについて解説頂きました。

続いて、第3講義後半は、中島 正夫氏と小栁 理恵氏の2者により、Q&A形式で木造住宅劣化事例が

紹介されました。

小柳さんの実現場での疑問に中島さんが答えるという形で行われ、考えられる原因及びその対処法などについての

解説も行われました。

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第4講義「住宅改修事例を語る-② ~性能向上で木のある暮らしを楽しむ住まいに」

三澤 康彦 氏/㈲Ms建築設計事務所代表

 

第4講義は、三澤 康彦氏より自邸を始め多くの住宅改修事例を紹介いただきました。

温熱改修事例では改修前後のQ値、UA値計算だけでなく室温の実測データを元にした解説等もあり、

とても興味深い内容でした。

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以上で、第3回の4つの講義は終了し、その後、講師の方々も交えて懇親会も開催されました。

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懇親会では、講師も参加され、講義以外のお話も聞くことができ、終始有意義な時間を過ごすことが出来ました。

(浜松受講生・渡邉)

 

 

 

 

投稿日:2015年08月25日

住宅医コラム 意見交換2015-58


妻にとっての定年リフォーム
宝塚Iさんの場合 ~ その9
 うれしい竣工写真撮影!

三澤文子(MSD)

 

たてものの引渡し前に行うのが、竣工写真の撮影です。このときのカメラマンは三澤康彦氏。ホームページで完成した建物の写真をアップするようになってからは、カメラマン康彦が定着しました。最近はデジタルカメラの性能も良く、たいていの人が上手に写真を撮ることができるようですが、建築写真もしかりで、設計事務所の多くが、写真上手なスタッフか、もしくは所長みずからカメラマンになっているようです。三澤康彦氏は、30年以上前から、私たちの設計した住宅を撮ってくれた、カメラマンの岩為(がんため)さんの撮影の立ち合いをしながら、門前の小僧で建築写真を学んだ。とよく言っています。私も同じように撮影に立ち会ったものの、そんなにうまくなりませんが、撮影に立ち会うことは、空間の見え方を確認できて、ものすごく貴重な時間です。プロカメラマンさんは時間をかけてじっくり撮ってくださるので、見て、感じて、考える時間がとれます。しかしカメラマン康彦の場合はそういう訳にいきません。とにかく速い!それで、まさに考えている間がないのです。

さて、撮影日和のこの日2014年11月4日、引き渡しの前に撮影しました。

 

 

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まず、応接室から東を見ます。ダイニング、東和室(寝室)までが見通し良くつながりました。応接室の欄間は、以前はガラスが入っていたのですがオープンにしました。また、右の3尺の壁は、Iさんのご希望で、梯子状の飾り棚になりました。それらによって、透明感が出ています。

 

 

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ダイニングから東和室を見ます。ダイニングの構成は、ほとんど変化がないのですが、正面の引違い襖が、引き込み襖に変わりました。それでダイニングから建具が見えません。とてもつながりが良くなりました。これも「東の朝の光をダイニングに入れたい。」という Iさんの強いご希望でした。何年もこの家に住んでいる住まい手さんこそ、良くわかることですが、まずは、設計者がそれを提案出来るべきですね。

 

 

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ダイニングから台所を見ます。ダイニングと台所は、以前は730㎜の出入口でつながっていて、とてもつながりが悪いものでした。そこで1530㎜に広げ建具もありません。右手は使いやすく造り直された収納スペース。中央のオープン棚には、FAX機器などが入ります。上下の建具はシナのフラッシュ戸に古色塗り。古色塗りとは煤弁柄を柿渋に混ぜたもので着色した後に、オイルを塗った仕上げです。

さて、台所の北の窓ですが、天井より高いところにガラスルーバー窓が見えます。これも「台所の北の窓から見える遠くの山や空の景色が好きなので、出来るだけ窓をつくってほしい。」という Iさんの強い希望。実は現場進行中に「それならば!」と私が設計変更をした頂側窓です。「頂側窓は通風にとても効果的。」という教科書的教えが実践できました。

 

 

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台所にはキッチンテーブルがあります。お客さまのときは配膳や調理にも使用しますし、日常では朝食や昼食など、簡単な食事はここで済ますことができます。テーブル右下のスツールはJパネルで造ったMOKオリジナルのJスツール。ただ座面の赤いクッションが間に合わず、間の抜けたかんじです。(担当者の段取りの悪さが永久に記録されますので、撮影日を目標に定める必要がありますね)

 

 

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次は、応接室から北を見るアングルです。この船底天井も既存のまま。もともとの設計が良かったのです。ただ照明BOXを新しく造り変えました。チークを使って箱をつくりLEDランプを埋め込んでいます。チークには、新材でも古材に似た渋みがあるので、改修ではとても活躍します。

 

 

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この時代の応接室にはお決まりのマントルピース(偽暖炉)。この偽暖炉もなかなかの存在感。とても小ぶりで上品なので、周辺を修景して、いい雰囲気になりました。偽暖炉の上の壁の中央に窓があります。これも壁の向こうにある洗面所~浴室の風通しをよくしたい。という Iさんの強い希望から小窓を開けることになりました。壁の中央で、素敵な絵でもかけて頂きたいところなので、苦肉の策として、この小さな引き戸は絵が入れられるように考えられています。

 

 

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今度は応接室を少し西に振って、玄関の方向を見てみます。左の壁は座敷とを隔てる壁で、以前のままの板壁です。かなり古さを感じた板壁で、着色したほうが良いか?と悩んだ結果、私たちのお勧めどおり浸透性のオイルを塗ったところ見違えるように良くなりました。新しい材料には無い渋さや深み。「人間も同じ…」ですね。

 

 

 

 

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玄関近くに寄ってみました。玄関から座敷、玄関から応接室、玄関から水廻り、さらに座敷から応接室にと、以前はここに扉が絞殺してごちゃごちゃしていました。そこで、扉を一切なくし全て引き戸にしました。そのために造った写真中央の袖壁と漆塗りの変形柱。このおさまりは少し自慢です。

 

 

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玄関は以前とほとんど変わりません。下駄箱の戸に古色塗装をして、玄関ドアを引き戸に変えた程度です。玄関の引き戸はスギの板張りでステンドガラスをはめ込みました。

 

 

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最後は、南デッキから内部をのぞきます。外部開口は、外側にサッシを取り付け、既存の木製建具を内側にそのまま残しました。その結果、内部からの見え方は以前とあまり変わりませんし、古さ懐かしさを感じる空間になりました。この様なアングルで外部から眺めることの頻度は少ないので、良い選択だったと思います。庇も以前からあったものに屋根材だけとりかえました。垂木の細工など、この家を建てた大工さんのセンスかな?など想像をめぐらします。こんなふうに造った人たちと対話ができる改修の仕事は楽しいものです。

 

 

撮影も無事におわりました。

「いい写真がとれた!」これは三澤康彦氏のいつもの決まり文句ですが、毎回、「いい写真がとれた。=いい家ができた。」と受け取って、達成感を得る。ありがたい瞬間です。

 

つづく

投稿日:2015年08月10日

住宅医プレスクール広島第1回のご報告


住宅医プレスクール広島2015(7月22日(水)開催)

今年のはじめ、広島でも住宅医スクールを開催したいと思い立ち、三澤先生、住宅医協会事務局の皆様のお力をいただき、プレスクールを開催いたしました。

会場の定員である60名の参加をいただき、住宅医カリキュラムの重要性が広島近郊の従事者にもわかっていただけたのだと思います。

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広島の仲間が受付などを協力していただきました。

インフォメーション 住宅医協会事務局 藤村氏

住宅医協会の設立の経緯、役割についてご説明いただきました。

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第1講義「木造建築病理学の住宅医」

三澤 文子 氏/MSD+Ms建築設計事務所主宰、岐阜県立森林文化アカデミー客員教授

第1講義は、(社)住宅医協会理事でもある三澤 文子氏により「木造建築病理学と住宅医」について講義が行われました。

参加者はサスティナブル社会実現のため、既存住宅リフォームの重要性は理解していることと思います。ですが、インスペクションの方法や注意点がなかなかつかみづらいのですが、講義の中の「グループで行うインスペクション」は目から鱗が落ちた思いでした。

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第2講義「時を刻み継ぐ改修設計手法」

堀部 安嗣氏/堀部 安嗣建築設計事務所主宰

冒頭のバイオリンのお話は心ふるえるものがあり、建築人として性能だけではない建築哲学を持つことの重要性を学ぶことができました。

「日本建築のファザードは完成されており、その中でどう表現するかが重要」

というお話はとても共感できるもので、自分の哲学を考えたいと思います。

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講義後の両講師による質疑応答は大変楽しく、住宅医とは決して難しいことを難しい顔で学ぶだけではなく、楽しみながら、お互いを高め合いながら学ぶものと、感じることができました。

このようにして充実したプレスクール第一回が終了し、懇親会ではざっくばらんに交流がはじまり、いつかこのメンバーでグループインスペクションができるようになりたいと強く感じました。

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(広島事務局・川端)