投稿日:2016年11月01日

調査事例紹介2016-61 広島市安佐南区


広島市安佐南区 住宅医スクール広島受講生による詳細調査

報告:澤田博/新協建設工業株式会社 広島支店

 

■所在地:広島市安佐南区
■調査日時:2016年10月4日(火)曇 気温27℃
■構造規模:木造2階建て
■延床面積:78.57平米
■築年数:築40年(昭和51年築)

 

広島市安佐南区で、築40年の木造2階建て住宅、現況詳細調査を行いました。

既存住宅の劣化診断、現況を的確に判断できるよう、住宅医スクール受講生の皆さんの「勉強会」として企画したものです。

調査リーダーとして山口市から田尻裕樹さんを招き、県内の建築士や工務店の有志15名が集まり、地盤調査員2名の合計18名による詳細調査となりました。

朝のミーティング

朝のミーティング

 

五つのチームに分かれ、①劣化、②設備・仕上、③採寸、④床下、⑤小屋裏を、専門機材も使って細かく調べ、建物性能を数値化していきます。

 

 

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床下、土台の含水率

 

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根太に白い斑点

 

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劣化事象確認

 

 

シュミットハンマー 女性も力いっぱい押す!

シュミットハンマー 女性も力いっぱい押す!

 

マス目20個所計測

マス目20個所計測

 

事象記入

事象記入

 

四十年前の時代背景か、天井・壁・床の断熱材が全く入っておらず、住まい手も仮住まい先へ引越し後のため荷物もありません。通常の在宅家屋と異なり、とても調査しやく、耐力壁や基礎、雨漏り、傾き、設備など劣化事象を細かく調べられました。

 

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小屋裏木軸含水率確認

 

小屋裏劣化事象

小屋裏劣化事象

 

構造材採寸

構造材採寸

 

配置確認

配置確認

 

 

また、簡易地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)も、昔ながらの手動式道具を用いて行い、参加者も土中の感覚を体験しました。

 

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参加者も手動式道具を廻し、土中の感触を経験

 

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屋内SWS調査

 

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お昼休みに各チーム中間報告

 

 

参加者の皆さんの感想として

「現場の人間ではないので、想像で理解してきたが、今回の調査体験で、勉強してきた事の理解度がぐっと深まった」

「これだけ詳細な調査がなされ、結果を図面化してあれば、設計も実情に基づいてきちんとでき、工事もスムーズに行える」

「少数運営の会社には、これだけの調査は難しく、調査の必要性を施主に納得してもらい、費用を拠出していただくことが課題」

「仲間と共に目で見て、ひとつひとつ計測し、記録する。体感して身につくって、大事だと改めて思った。疲れましたが楽しかった」

等など、今回の経験が皆さんの今後に活かされればと願っています。

 

作業終了後の集合写真

作業終了後の集合写真

 

 

さて、この建物は、長期優良住宅化リフォームで性能向上に資するとして、補助金を申請しており、断熱改修、メンテナンスおよび耐震性向上を施し、来年1月末の完成予定で進めております。

筋違い柱脚部欠損

筋違い柱脚部欠損

 

羽柄材に付着していた白い斑点は貝殻だった!

羽柄材に付着していた白い斑点は貝殻だった!

 

 

解体工事を進めていくと、詳細調査では判断の難しかった、筋違いの断面欠損の有無、辺材に付着した白い斑点の正体(貝殻跡)など、判別できなかった事象もわかりました。

筋違いや柱脚の断面欠損は、大工さんが巾木を埋め込んだためで、和室の廻縁や長押納めによる柱欠損と同じく、比較的よく見る事象です。

羽柄材に貝殻が付着していた事象は、40年前は貯木場として、原木を海上に浮かせていたため、その時代の名残であろうと思われます。

 

この建物は、(珍しく?)図面通り施工されており、地盤も良いため建物の傾きがほとんどなく、築40年の建物としては、状態は良好です。

改修工事により、断熱性能、耐震性能が向上することで、現在の住まいとして遜色ない家屋に生まれ変わることができるので、住まい手も楽しみにされています。

参加いただいた、皆様!大変お疲れ様でした。

現在、詳細調査の報告会を行いたいと考えており、その準備を始めているところです。

 

新協建設工業株式会社広島支店

澤田 博

 

 

投稿日:2016年10月06日

調査事例紹介2016-60 兵庫県姫路市


姫路市K 詳細調査

報告:久保亜弓(MSD)

物件概要

■所在地:兵庫県姫路市
■調査日時:2016年9月6日(火)
■構造規模:木造2階建て
■延床面積:約36平米
■築年数:約築35年

兵庫県の姫路市で詳細調査を行いました。

依頼者のKさんご夫妻は以前より、Ms建築設計事務所主宰のMOKゼミ神戸にご参加いただいており、木が好きな住まい手さんです。35年前にご主人が建てられた住宅を新しく建て替えることを考えておられましたが、簡単にこわしてしまうのも忍びないとMSDにご相談いただき、リフォームを行う運びとなりました。

 

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(左)建物外観                (右)開始のミーティング

はじめに調査員が揃い、住まい手さんに御挨拶をします。そのあと、調査内容の確認等ミーティングを行い、調査を始めます。
今回は①劣化、②設備、③仕上、④採寸・バリアフリー、⑤床下、⑥二階床・小屋裏、⑦ヒアリング・矩計の7班、合計15名+地盤調査員2名による調査となりました。

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(左)床下調査の様子             (右)地盤調査の様子

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(下)床下全景

床下調査:基礎は布基礎と束石でした。鉄筋が入っていることも確認できました。地盤面は土です。含水率が30%を超える箇所が多々あり、湿度も80%程度と高めでしたが、蟻害や腐朽などは診受けられず、床下の部材はきれいな状態でした。

地盤調査:建物の外周に加え、建物中心部分の調査もしていただくようにしています。床下侵入口から機械を入れて作業をしていただきました。

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(左)柱の採寸                (右)手摺の確認

採寸・バリアフリー調査:廊下の幅、トイレ・浴室の広さ、出入口の幅、柱(構造体)のサイズ等の採寸をします。階段・出入口・床の段差の採寸し、手摺の有無などを確認して、建物のバリアフリー性能を調べます。

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(左)1階窓まわりの雨染み           (右)外壁のひび割れ

劣化調査:建物内外部の劣化状況を確認します。経年劣化と思われるもの、構造的な要因が考えられるもの、地震などの災害時に出来たと思われるものなど、種類は様々です。劣化の状況や住まい手のヒアリングから要因を推測、判断できるよう、全ての劣化事象を確認していきます。

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お昼休みの様子です。

部屋をお借りして、お弁当をみんなで食べました。食後、午前中の調査で分かった事や問題点などの情報を共有します。各班の進捗具合も報告し合い、午後の調査方針を調整して作業に臨みます。

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(左)二階床調査の様子            (右)小屋裏調査の様子

二階床調査:今回は二階床の調査可能範囲が狭くなっていました。可能な範囲で2階の和室の畳をあげて床の一部をはがしたり、一階の天井の隙間などから調査を行っています。
小屋裏調査:小屋裏には雨漏りの跡などの劣化は診受けられませんでした。含水率も8.5~10.5%と異常はなく、きれいな状態でした。

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最後に依頼者のKさん、調査参加者揃っての集合写真です。

一日お天気も良く、調査員の方のご協力により無事に調査を終了しました。

現在、住まいの診断レポートをまとめております。その後「レビュー」を開催し、調査参加者の方の意見を取り入れて報告書を完成させます。
調査にご協力いただきました皆様ありがとうございました。

MSD 久保

 

投稿日:2016年06月08日

調査事例紹介2016-59 熊本被災住宅調査速報


報告:滝口泰弘(住宅医協会理事)

 

ボランティア調査員を募集させて頂きました熊本の被災住宅調査ですが、関東、関西、九州から12名の住宅医関係者にお集まり頂き、無事調査を完了することができました。

調査は、5/31~6/2にかけて、住宅医スクール2016熊本開催にご協力頂いております新産住拓(株)さんの方へ調査依頼が来ている3件の住宅の視察・相談、4件の住宅の調査、2件の寺院について行いました。

一日も早い復旧や耐震補強工事ができるよう補強提案をまとめるために、主に「被災度区分判定」と「耐震調査」を行い、提案に必要な情報を得ることが今回の調査の目的です。

お集まり頂いた皆様、調整や当日の先導を引き受けて頂きました新産住拓(株)の方々、誠に有難うございました。

以下に調査の概要(速報)を、ご報告させて頂きます。

 

5月31日(火)「被災住宅の視察・相談」(西原村)

熊本空港周辺の阿蘇郡西原村地区にて、3件の被災住宅の視察、及び相談を行いました。

西原村は山麓部に位置する地域で、瓦屋根が崩れブルーシートがかけられている住宅も多いですが、路地に入ると、よう壁が崩れ、被害が大きい場所が点在していました。

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1件目は築5年の新しい住宅で、大きな被害は無いように見えますが、地盤沈下により建物全体が傾いていました。応急危険度判定は赤色の「危険」。特に外構に大きな地割れが幾つも見られました。

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2件目は、すぐ近所の、こちらも築5年の新しい住宅で、1件目同様に、地割れや地盤沈下により建物が大きく傾いていました。応急危険度判定は赤色の「危険」。隣の住宅も貯湯槽が転倒し、外構が崩れていました。

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3件目は、地割れや地盤沈下は見られず、外装の隅部の割れや部分的な屋根瓦の崩れが見られました。応急危険度判定は黄色の「要注意」。内部の吹き抜け廻りの壁(石膏ボード)は広範囲に割れが見られました。

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地割れやよう壁の崩壊など、地盤の影響の有無によって、同じ地区でも被害に大きな差がありました。

初日は以上で終了し、夜、新産住拓に集まり、翌日からの調査のミーティングを行いました。

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6月1日(水)「被災住宅の調査」(益城町、東区)

震源地である益城町地区にて、4件の被災住宅の調査を行いました。

益城町は激震地であり、街並みの建物は軒並み倒壊している状態でした。

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1件目は築30年の住宅で、応急危険度判定は黄色の「要注意」。全体的に基礎や外壁の欠け・ひび割れ、内壁の欠けやひび割れが見られました。

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2件目も築30年の住宅で、応急危険度判定は赤色の「危険」。1件目同様に、全体的に基礎や外壁の欠け・ひび割れ、内壁の欠けやひび割れが見られました。一部、2階床梁の割れも見られました。また、隣家に大きな被害が見られ、築年代や構法、地形や地盤など、複合的な要因によって、すぐ隣りでも被害の大きさが極端に異なっている状況でした。

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3件目は、調査2件目のお隣の築15年の住宅で、応急危険度判定は黄色の「要注意」。外壁や内壁には部分的に大きなひび割れが入っており、また、地盤沈下による建物の傾きが大きく、基礎にもひび割れが入っている状況でした。

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4件目は、益城町からは少し離れた地区の住宅で、応急危険度判定は黄色の「要注意」。外壁は全体的にひび割れが、内壁は部分的に欠けやひび割れが見られ、外構にもひび割れが多くみられましたが、周囲に倒壊している住宅は見られませんでした。

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6月2日(木)「寺院の調査」(西区、中央区)

調査最終日は、熊本駅近くの西区、中央区の2件の寺院の調査を行いました。

1件目は築360年の寺院で、全体的に大きく傾いており、垂れ壁に欠落やひび割れが見られました。床下には蟻害も見られ、小屋裏には1か所だけ小屋束のズレが見られました。

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2件目は築150年の寺院で、全体的な大きな傾きは見られず、部分的に垂れ壁などに欠落やひび割れが見られました。床下には蟻害も見られましたが、小屋裏は健全な状態でした。

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以上で3日間の調査は終了しました。

現在、参加者で手分けして、被災度区分判定結果、および耐震診断結果をまとめ、復旧・補強案を検討しています。

今後も、住宅医による支援活動を続けていき、一日も早い熊本の復興に少しでも寄与できればと思っております。

引き続き、ご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

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