住宅医スクール2014 浜松 第4回のご報告

10月16日(木)、住宅医スクール2014浜松 第4回 が開催されました。
 
第4回は「木材の劣化と対策-2」「防蟻対策の実務」「構造的不具合の原因と対策-3」、という3つの概要講義、および特別講義として「住宅改修事例を語る-4 限界耐力計算のやさしい解説」というタイトルでお話をいただきました。講義の後には懇親会が開かれ受講生の懇親・意見交流の場となりました。今回の講義では32名が参加しました。
 
図1
まず、三澤文子氏のイントロ・インフォメーションの後、第1講義の横浜国立大学名誉教授の矢田先生の講義が始まりました。
 
第1講義 「木材の劣化と対策-2」 ~木材の劣化と診断~
矢田茂樹氏/横浜国立大学名誉教授
図2
日本の森林サイクルのお話しから始まり木材の特性を手づくりの模型を使い、木材の腐食・劣化の様子などを多くの実物サンプルとして提示頂き、分かりやすく講義して下さいました。
図3
また、建物を調査する際の診断機器などの解説やご自身の実体験での秘話なども交え、より実務に生かせる講義となりました。
 
第2講義 「防蟻対策の実務」 ~シロアリ駆除と予防法の事例~
水谷隆明氏/阪神ターマイトラボ代表
図3.5
シロアリと薬剤に関しての「Why?」・「What?」・「How to」を多くの調査事例を元に、研究者としての独自の目線から、私達の思い込みを覆す解説をして下さいました。ヤマトシロアリとイエシロアリの生息パターンの違いや侵入パターンについての解説の他、薬剤と人体への影響についてのお話しなど、大変興味深い内容となりました。
最後に、「シロアリは自然界にとっては分解者として必要な益虫であり、家に入った途端、害虫になる」というお話しが、人間の都合によるもので、共存・共栄とは何かと考えさせられ、とても印象に残っています。
 
第3講義 「構造的不具合の原因と対策-3」 ~伝統木造の耐震設計事例~
桝田洋子氏/(有)桃李舎代表
図4
今までは大工さんの経験と勘に頼らざるを得なかった伝統木造の改修に関するグレーゾーンを、耐震設計でより明確にしていく為の設計手法について学びました。
社寺建築の耐震性能を貴重な実験動画などと共に紹介して下さいました。 実務での長屋の改修手法と耐震補強についてもお話をして頂きました。
図5
 
第4講義 「住宅改修実例を語る-4」 ~限界耐力計算のやさしい解説~
桝田洋子氏/(有)桃李舎代表
図6
限界耐力計算と聞くとハードルが上がってしまいがちですが、伝統木造の耐震について、土壁、小壁、貫などの耐力計算をわかりやすく解説をして下さいました。 電卓での手計算で手法のフローに沿い、その都度説明頂きながら順序だって計算を進める事により、解を導く事ができました。
まだまだ、苦手意識は高めですが、これからの伝統木造の改修工事には欠かせないものだと確信しました。
 
図7
講義終了後、懇親会にて三澤文子氏との懇談、受講生同士の親睦・意見交換を行い、終始なごやかなムードにて、時が過ぎました。
(浜松受講生 戸田)