各地の住宅医の日々№68 山梨で、木と向き合う日々
遠藤 千春(住宅医/株 Vent計画設計室 / 山梨県)
こんにちは。Vent計画設計室の遠藤です。山梨で設計事務所をしております。
山梨で仕事をしていると、建物を考えることと、木や山のことを考えることが、いつの間にか自然につながってきます。
ここ数年、当社は新築の設計監理を中心に仕事をしていますが、その中でもあらためて木と向き合う機会が続いています。今回は、そんな最近の仕事について少しご紹介したいと思います。
2018年7月のプロポーザルで採択された山梨県韮崎市の木造屋内運動場整備事業では、地域の皆さんがスポーツだけでなく文化活動にも利用する、約500㎡の建物を3棟計画してきました。その最後の1棟となる穴山屋内運動場が今年8月に竣工し、竣工式を迎えました。


穴山屋内運動場施工写真
3棟は基本設計を共通としながら、3つの地域に合わせた、それぞれに特徴のある建物となっています。構造設計は山辺豊彦先生にお願いし、国産材を使った木造トラスによって14.56mの無柱空間をつくっています。現場では、地上で組んだ大きなトラスをクレーンで吊り上げ、一組ずつ架けていきました。図面の中で検討してきた線が、目の前で大きな架構となって立ち上がっていく様子はやはり感動的で、木造の面白さをあらためて感じました。完成した室内では、その架構がそのまま空間の表情となり、木に包まれた伸びやかな場所になりました。
一方、戸建てでは、大工の手刻みによる木造住宅が完成を迎えています。当事務所では、家づくりの節目として、お施主様と一緒に山へ入り、柱となる木を選び、伐採する機会を設けています。この家でも、お施主様自らが選んだひのきが柱となり、杉の梁とともに住まいの中にしっかりと姿を見せています。構造や性能をきちんと確保しながら、手仕事の跡や木の表情が自然に感じられる住まいを目指しました。この原稿が掲載される頃には、完成見学会も終えていることと思います。
そして昨年からは、住宅医の講師でもある小谷和也さんに学びながら、マンションリノベーションにも少しずつ取り組み始めています。木造住宅とはまったく別の分野のように思っていましたが、小谷さんから学んだ木のマンションリノベーションは、Ventが事務所を立ち上げた当初から大切にしてきた、無垢の木と自然素材を生かす家づくりと重なるものが多いことに気づきました。
床には無垢材を使い、壁は木と漆喰をほどよく使い分け、木の建具を合わせる。新築でもリノベーションでも、素材の持つ質感を生かしながら、落ち着いて心地よく過ごせる空間をつくることは変わりません。マンションリノベーションも、これまで続けてきた仕事の延長として、当社らしい形をつくっていけるのではないかと考えています。
中大規模木造、新築の住宅、そしてマンションリノベーション。仕事の形はさまざまですが、使う人、住まう人が少しでも心地よいと感じられる場所を、身近な山の木や自然素材とともにつくっていくこと。その軸を大切に、これからも設計に向き合っていきたいと考えています。
写真・内観パース:㈱Vent計画設計室 ,文章:遠藤 千春
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・㈱Vent計画設計室 https://vent-arch.com/ | project 「 やまなしKAITEKI住宅」「マンションリノベ」
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【Vent計画設計室 遠藤千春さんの改修事例】
・住宅医の改修事例 №138 「義父から譲り受けた住まいを次世代に引き継ぐ」https://sapj.or.jp/kaishuujirei2023-138/




