各地の住宅医の日々№53 愛媛大学へ異動のご挨拶
多田 豊(住宅医 / 愛媛大学大学院理工学研究科 准教授)
この春,6年間勤務した阿南工業高等専門学校(徳島県阿南市)から,愛媛大学大学院理工学研究科(愛媛県松山市)へ異動しました。愛媛大学は1949年設立の総合大学で,7学部・6研究科・2学環を有し,学生数は1万人を超える四国最大の大学です。私が所属する理工学研究科は,松山市中心部の城北キャンパスにあり,図書館や保育園,大学ミュージアムも併設され,地域の憩いの場にもなっています。
愛媛大学城北キャンパスの様子(愛媛大学ホームページより引用)Copyright©愛媛⼤学大学院理工学研究科
大学周辺には松山城や道後温泉があり,都市計画としては花園通りの歩行者空間整備が有名です。県内には宇和島城,内子町の伝統的建造物群保存地区,八幡浜市立日土小学校,伊東豊雄ミュージアム,今治の丹下健三建築群など,建築的にも価値ある資源が多数存在します。さらに,南海トラフ巨大地震に備えた防災・復興の取り組みも進んでおり,阿南高専在職中にこうした取組を視察した経験もあります。
建築文化が息づく愛媛県ですが,全国で唯一,一級建築士の受験資格が得られる大学・高専がない県でもあります。2008年の建築士法改正以降,愛媛大学土木工学科が受験資格を得られなくなり,多くの若者が建築を学ぶために県外に進学していくこととなっています。
こうした状況を受け,愛媛大学工学部では2026年度より「建築・社会デザインコース」を新設し,建築士受験資格が取得できる教育体制を整備することとなりました。
![]() 画像クリックで拡大表示 建築・社会デザインコースへの再編について (愛媛大学ホームページより引用) |
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建築・土木分野を融合した新しいカリキュラムとなります。私は建築系教員の一人として着任し,土木系教員と連携して準備を進めています。目玉授業の一つとして「住宅医入門(仮)」と題した授業を設置し住宅ストックの性能向上に関する基礎理論や調査方法を学ぶ機会を提供したいと考えています。土木分野のインフラマネジメントと合わせて,幅広いストックマネジメントの視野を持つ建築家,技術者を育成したいと思います。この夏には,カリキュラムを公表する予定ですので,ぜひご着目頂ければ幸いです。
文章:多田 豊
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愛媛大学大学院理工学研究科 https://www.eng.ehime-u.ac.jp/rikougaku/