各地の住宅医の日々No44 ~ 住宅医としての活動一例(東京都 江戸川区より)
佐藤 和敬( 住宅医 / 東商住建㈱ /東京都 )
東京都江戸川区の設計、施工を行う工務店で、地元の皆さまから気軽にご相談いただける住宅医として、学びを続けながら日々励んでおります。早いもので、住宅医検定から数年が経ちました。今回は、リノベーションの 一例をご紹介させていただきます。
上の写真は建物周辺の様子です。施主は 築40年(中古のハウスメーカー)の物件を購入され、ご夫婦とお子様2人でお住まいになってましたが、お子様二人が成長し家をでて夫婦二人の生活になり、主に1階をご主人、2階を奥様(施主)という生活スタイルでした。
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対象地域は、東京都墨田区東向島の下町の 木造密集地域 となっています。
建物の道路と反対側には石材業者の置き場があり、様々な樹木が植えてあります。都内とは思えない窓からの景色となっていました。施主はこの景色を楽しんで生活をしていました。
この部屋の角からの視線が、いちばん緑を楽しめることがわかり、角の耐力壁を「開口のできる耐力壁」に変えることで、1.5間の L字の開口部を作り出すことにしました。
性能向上工事 と施主の希望の暮らし
●構造補強
既存の筋交いは 三ツ割の釘打ちだった為に取り外し、耐震補強の計算により コボット取付(金物補強)としました。また、北側の開口部については大きくとるためJ開口フレーム(開口部を生かした耐力補強)としました。
写真左:コボット取り付け(南面)■■■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ 右:J開口フレーム取付け状況(北面)
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●温熱性能の向上
断熱材は外壁面に10Kの50㎜ 袋入りグラスウール(GW) 程度を吹込み GW + 気密シートとしました。
また、天井・屋根ともに無断熱であったため、ミラフォームラムダ 75㎜ を母屋間に充填しました。
サッシについても、アルミサッシ シングルガラスを窓の断熱改修補助金を使い、複合サッシとしました。
●その他性能向上
・サッシ:非防火 → 防火サッシ
・バリアフリー:廊下と和室の間などの細かい段差の解消
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北側の和室は、お気に入りの開口部を生かし耐震性能を向上させる事が出来た。
1階に関しては、建設関係のご主人が他の工務店等が施工しても良いように 耐震補強・断熱補強でお手伝いする事になっています。
2019年、私が住宅医検定で提出した 施主とのロングスパンで性能向上を目指す事例(住宅医の改修事例No112) と同様に、こちらのお施主様とも長いスパンで家全体の性能向上を定期的にご相談に乗りながら進めていくことになりました。これからも地域の方々との長期にわたるお付き合いの仕組みを考えていきます。
写真:東商住建(株) 文章:佐藤 和敬
©Sato Kazutaka , jutakui
LINK
・東商住建(株) https://tousho.com/
・住宅医の改修事例 №112「将来にわたり施主と住宅にかかわるための第一段階としての改修 (愛犬とともに暮らす家)」佐藤和敬 https://sapj.or.jp/kaishuujirei2021-112/