2022年新年のご挨拶 ~住宅医リレーコラム1月

三澤 文子 一般社団法人住宅医協会代表理事 Ms建築設計事務所 )

みなさま明けましておめでとうございます。
2022年新年早々、オミクロン株の感染者が首都圏、関西地区でも激増しています。今年こそコロナ禍から脱却できるだろう、と明るい期待を持っていた人々は、意気消沈しているのではないでしょうか。
2020年以前の、「普通の生活」に戻ることは容易ではなく、この状況のまま数十年もコロナと共存ししていく時代に突入したのではないかとも、感じています。
つまりは、2020年以前の生活に戻るべきではないのではないか。この機に変わらなければならないところまできていたのではないか。とも思えるのです。

このような大変化の時、2019年から3年間代表理事を務められた山辺豊彦さんに代わり、私が、一般社団法人住宅医協会(以下住宅医協会)の代表理事の役を任されることになりました。

 

そもそも住宅医協会はそのスタートが、岐阜県立森林文化アカデミー(以下アカデミー)
で2006年に開講した木造建築病理学講座から端を発したものであります。
それが大きく成長し現在のような組織となり「住宅医スクール」という専門技術者育成事業を通じて、多くの修了生や住宅医の、活動の輪になっていったことは、当時かかげた「夢が現実になる」といった感覚があります。

私が既存住宅の改修設計方法の構築に取り組もうと考えたのは、2001年、ちょうど20年前です。
地域材を使った家づくりで地域の山村と都市をつなぐ木造設計方法を教えるため、開学したばかりのアカデミー教員になったことが始まりです。
当時アカデミーでは「持続可能な社会の再構築」をかかげ、そのために「地域の問題を解決できる人材を育成する」という人材目標をもっていました。
私は、設計の実務から教育の現場に入り込んだのですが、同僚もほとんどが教育者というより実践者。その「何かを伝えたい」という実践者たちの思いが、議論の中で集約されたかたちの人材目標であったと思います。
その後、この人材目標と共に「持続可能な社会の再構築」というテーマは、私たち住宅医の目指すテーマにもなっていると考えます。

コロナと共存する低成長時代、自然とのかかわりを忘れた経済中心、人間中心の考え方を改めて、「持続可能な社会の再構築」を心に刻み、身近な地域から、専門職である住宅医として声を上げて、地道に活動していくことこそ、大切であると思います。
代表理事として、今後も住宅医協会に力を注いでいきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。