2020年2月 リレーコラム「柱頭柱脚金物」

河本和義(TE-DOK代表/住宅医協会理事)

最近、L型の25kN用の柱頭柱脚金物が発売されました。今回は、柱頭柱脚金物(1階柱脚)について考えてみたいと思います。

柱頭柱脚金物を設置するにあたって、新築では、1階柱脚であれば、ここは基礎からアンカーボルトを出してホールダウン、ここはL型の金物で対応と、図面に落とし込むことにより、設計段階からしっかりとその金物の仕様に則り、配置することが可能です。しかし、改修の場合は、例えば、「基礎がない」、「ここは土壁残しのために金物が設置できない」など、色々な問題が出てきます。そのようなときに改めて考えないといけないのが、柱頭柱脚金物の力の流れ方です。


力の流れを考えるにあたって、大きく2つに分類されます(図)。ホールダウンのように、アンカーボルトを通じて基礎に直接力を流すもの。L型金物やプレート型金物のように、柱と土台を緊結することにより、柱→土台→土台を留めるアンカーボルト→基礎に力を流すものになります。改修を考えた場合、前者では、新設基礎を打つことにより能力を100%発揮させることができます。後者の場合は、L型金物やプレート型金物を設置すればよいだけでなく、その周辺についても検討する必要があります。金物メーカーさんのカタログを見ると、仕様が明確に書かれています。

一番チェックしたいポイントは、土台を留め付けるアンカーボルトについてです。前述したように力が流れるためには、アンカーボルトの有無や位置は非常に重要なポイントとなります。力の流れを詳細にみると、柱と土台を留め付けた金物が土台を引っ張り、土台材を通じて(土台の曲げやせん断によって)アンカーボルトに力が伝わっています。新築で行われるいわゆる構造計算を行うと、この土台の曲げやせん断も精緻に検討することになりますが、壁量計算や改修においてはそこまで検討しないと思いますので、メーカーさんの仕様に従う必要があると言えます。そのなかには、「1階柱脚部の接合に際し、・・・関係行政に事前確認をしてください」といった文言が入っています。これは、第三者評価機関でメーカーさんが試験を行い、基礎と直接緊結せずともその耐力が発揮できることを確認していますが、10kNを超える高耐力の柱脚金物は、基礎と緊結をすることが原則となっているためです。他にも、アンカーボルトの仕様や位置、土台や横架材の材種の指定なども記述されている場合があります。

最初にあげた25kN用のL型金物のカタログを改めて見ると、「1階柱脚部には使わないでください」、「断面寸法105×150以上オウシュウアカマツ対称異等級構造用集成材E105F300同等以上の横架材をご使用ください」と書いてあります。これを上記に当てはめて考えると、15kNを超えるので基礎から直引きが必要という点と、あくまで推測ですが、通常の土台レベルだと25kNで引っ張られた場合に、何をやっても、土台が持たない、試験で持たなかったため、1階柱脚での利用はNGなのかと思われます。申請機関もさすがにとNGを出しているのかもしれません(問い合わせたわけではないので、あくまで個人的な私見です)。また、1階柱脚に使わないとしても、横架材の材種、梁せいについても、曲げ等が非常に厳しいため、材種の指定がされているのだろうと思われます。これらを裏返して考えると、L型金物を利用する際(特に1階柱脚で)は、土台の材種、アンカーボルトの位置、仕様といったものが密接に関わっているため、基礎からの直引きと違って、注意が必要なことがわかります。特に、改修となると、不明確な部分や、実施工上、どうしてもうまく納まらないといったことが出てきますので、新築以上に注意、対応が必要かと思います。L型金物は、施工性もよく、コストも抑えることができて非常に便利な金物ではありますが、使用にあたっては、十分な検討が必要だと思います。