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事例報告(改修事例)2017-65

 

千葉県「平久里中の古民家再生」改修事例報告

報告:松井郁夫建築設計事務所/松井郁夫氏

 

 

設計主旨

房総半島の山中に建つ、木造平屋建ての古民家の耐震エコ改修である。オーナーの要求は、自然が満喫できる現代的で快適な空間を実現するとともに、母上の保養を兼ねた住まいとしてのやすらぎのある室内環境も必要とされた。

 

改修前外観

 

建物は、この地域の典型的な形態である寄棟の屋根に式台玄関が付く珍しいつくりであった。実測調査の結果、棟木の墨書から明治40年築(110年前)の古民家であることが分かった。土台は敷設されているが、足固め併用の石場置きである。床に多少の不陸は見られたが、小屋組の構造は健全であった。

 

実測野帳はその場で清書する

 

床下に潜って伏図を採る

 

改修前の床下・足固め土台併用

 

 

そこで、屋根瓦を乗せたままのスケルトン改修とした。床をはがしてみると、土台は意外に健全であったためそのまま使用することとしたが、足固めは、松材8寸の挟み材で太いボルトで締めてあって、裏山の湿気で鉄が結露した痕跡があり、松材のため虫食いが激しかった。そのため120角の桧の足固めを輪内でクサビ打ち、込栓止めとして取り換えた。足元とはいえ、できるだけ金物を使わない木組仕様である。

 

床下で結露していたボルト穴

 

問題は、石場置きのまま耐震改修できるのかということであった。通常、古民家は100年以上もの長寿命にもかかわらず、通常の許容応力計算では正しく評価することができないため、耐震改修時には現代工法と同じようにコンクリート基礎にホールダウン金物を設置されてきた流れがある。

わたしは、これまでに経験してきた古民家調査や2007年から実施されている伝統的木造住宅の実大実験に参加してきた経緯から、日本の木造住宅は、木の特性である「めり込み」と「摩擦」によって力を「減衰」することで、粘り強く地震や風に耐えるのであり、土壁や貫、足固めは、改修時にやめてはならない大事な部材であると考えている。

今回、滋賀の川端氏の協力を得て、「限界耐力設計法」によって構造解析を行い、地盤が良いこともあって、土壁を残し足固め貫をそのままに、石場置きのままに耐震改修が可能となった。

 

改修した足固め

 

復元力特性と応答値の関係

 

 

繰り返しになるが、古民家改修は在来工法の建物と違い、木の「めり込み特性」を理解した上で、足固めを重要視し、「貫をやめてはいけない」。つまり復元力特性のある木組みの家には、金物は使うべきではない。金物は復元力がなく、木という母材を壊すからだ。

今回、住宅医ネットワーク事務局滝口氏の協力を得て、実測調査を進め、大切な架構を残しながら、現代的な室内をデザインすることができた。性能面では岐阜森林アカデミーの辻氏の計算ソフトを使ったエコ改修の数値を明らかにし、燃費計算まで算出できたことも、大きな成果であった。

ちなみに、既存のままでは熱損失係数Q値10.54W/㎡Kであった建物が断熱改修によってQ値2.39W/㎡Kまで達成できることが計算上ではあるが確認できた。また、計算には乗らないが湿気対策として、吸放湿性能に優れたゾノトライト系ケイ酸カルシュウム板を全室の天井裏に使用し、断熱、耐火、脱臭の効果も得られた。

古民家改修が、耐震とエコの両面から、さらに長い時間を生きる「社会的資産」となり、これからの日本の木造住宅を考えるうえで、未来の指針となる事を願っている。

「むかしといまをみらいにつなぐ」知恵と工夫は古民家にあると思う。

松井郁夫

 

 

改修後の外観

 

納戸を改修した浴室

 

抜けない柱を残して改修

 

 

 

 

住宅医が紹介されています。CASA BRUTUS NO. 203

住宅雑誌「CASA BRUTUS NO. 203」にて、住宅医であり理事の小柳さんが掲載されています。

http://magazineworld.jp/casabrutus/casabrutus-203/

耐震基準から大きく乖離した建物をどのように治療していったか、

ストーリー建てで掲載されています。

是非、お手にとって御覧ください。

 

住宅医スクール2016 熊本7回の報告

1月21日に住宅医スクール熊本第7回が開催されました。

 

第1講義 契約実務の留意点 災害時の保証の実務を学ぶ 中尾太郎氏

第2講義 木造住宅関連施策の動向とその対応 木造住宅関連施策最新情報と対応実践事例   池田浩和氏

第3講義 日本の住宅施策 日本の省エネ住宅・既存住宅 南雄三氏

第4講義   ライフラインが停止した時の温熱環境~断熱性能で変わる室内温度の調査結果から  南雄三氏

☆受講者のアンケートから☆

(全体)
・今回も大変興味深い内容で充実した聴講できました。
できれば住宅位の講義内容を体系化してひとつのまとまった書籍等になると大変わかりやすいと思いました。
・福岡方面での住宅医の現地調査など行かれる機会あれば是非お願いします。
・今後も熊本で勉強会を開いて欲しい。
(第1講義)
・明日は我が身と必死でお話を聞きました。家は施工という時間がかかる商品なので、小さなトラブルを育てないよう気をつけたいと思います。
・議事録の大切さを改めて感じました。今後気をつけたいと思いました。
・裁判で判決後のお金の流れが気になります。何千万も払えないときはどうするのかを知りたい。
・とてもわかりやすい講義でした。特にお客様とご契約後の信頼関係を維持するという話を聞いて、ポイントに沿う仕事をしたいと思いました。
(第2講義)
・第一線を走られる工務店さんの話と知識量にただ驚きました、知ることへの努力を。仕事と何かをマッチングさせる応用力とバイタリティと見習えるものなら見習いたいです。
・設計事務所としての生き残り方を考えさせられました。
・住生活基本法の講義をうけ、既存住宅を見極める力、検査能力の向上、リノベーション等総合的にたくさんの知識が必要と改めて感じました。
(第3,4講義)
・南さんの話は初めてでしたが、ダイナミックだけではなく、小さな疑問を裏付ける計算をされていて、しかし私的な意見もありとても楽しく拝聴しました。
・内容もキャラクターも楽しかったです。

 

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