投稿日:2015年07月09日

住宅医スクール2015 大阪 第1回のご報告


6月27日(土)、住宅医スクール2015大阪・第1回が開催されました。

初回として、スクールの概要説明の後「木造建築病理学の必要性」「建物調査と報告書の作成」「木造建築病理学の実践」「住宅改修事例を語る-①」という4つの講義が行われ、49名が受講されました。

 

第1講義「木造建築病理学の必要性」

三澤文子氏/MSD+Ms建築設計事務所主宰、岐阜県立森林文化アカデミー客員教授

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第1講義は、(社)住宅医協会理事でもある三澤文子氏により「木造建築病理学の背景と取組」と題して、 住宅医スクールで学ぶことの背景となる木造建築病理学についての説明と共に、 来るストック社会や住宅の長寿命化を見すえ、場当たり的でない住宅改修を行うために必要な知識や診断技術、 具体的な改修事例の報告などから、建築士や工務店が既存住宅改修をどのように捉え何をすべきかなどについて詳細な解説をしていただきました。

 

第2講義「建物調査と報告書の作成」

滝口泰弘氏/滝口建築スタジオ 代表

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第2講義は、(社)住宅医協会理事でもある滝口泰弘氏により、既存住宅改修のために行う詳細調査方法について講義が行われました。 現在の公の既存住宅調査手法である既存住宅インスペクションガイドラインの説明や、ガイドラインに基づいた既存住宅現況検査の概要、これらインスペクションと住宅医などの違い、国主導のリフォーム施策の背景などを説明していただきました。また、住宅医の調査手法として既存ドックシステムで採用している診断項目やレベルの設定、 建物調査のポイント、受講生や住宅医スクールOB生参加による実際の調査診断の流れや費用等について、 解説していただきました。

 

第3講義「木造建築病理学の実践」

豊田保之氏/トヨダヤスシ建築設計事務所 代表

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第3講義は、(社)住宅医協会理事でもある豊田保之氏により、住宅医による木造住宅改修事例として、 調査診断から改修設計、工事監理という実務の一連の流れ、耐震・温熱に関わる各種性能を向上させるための手法、 土壁がある場合の改修手法などについて詳細に解説していただきました。また改修後の光熱費調査などから、改修前後で建物性能がどのように向上したかについてもお話しいただきました。

 

第4講義「住宅改修を語る」-①

前田圭介氏/UID主宰

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第4講義は、UID主宰・前田圭介氏により、地元・福山市にこだわった設計活動を中心に、自らの生い立ちから建築家への道のりを踏まえ、「建築は環境をつくる」との一貫したメッセージを新規建築作品、改修、まちづくりと、建築家として多岐にわたる活動の紹介を通してお話を頂きました。「何もないとは言わせない」との福山市のコピーを引き合いに、店舗の再生から街の再生に至る活動は、粘り強く、最後は地元の人を味方にしてしまうというお話でした。更に、福山市出身である藤井厚二設計の「後山山荘」の3年越しの再生改修プロジェクトは、全国から学生ボランティアまで集めて、その魅力ある庭園を再生さるところなど、建築家としての魅力と共に、自らの現場の経験を通して、多くの人たちの力によって無事完成に至ったお話でした。また、地に足がついた落ち着いた語りは、これから住宅医大阪スクールでスタートする受講生をも魅了するものでした。ありがとうございました。以上で第1回の4つの講義は終了し、その後懇親会も開催されました。

 

次回第2回は、住宅改修の構造に関わる法規の整理、構造的不具合の原因と対策、 住宅改修における不動産仲介の取組みをテーマに講義が行われます。住宅改修設計には構造に関する知識と理解が不可欠です。何よりも実務に役立つ貴重な知識となり得ますので、 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

(関西事務局 代理横田)

投稿日:2015年07月09日

住宅医コラム 意見交換2015-56


妻にとっての定年リフォーム
宝塚Iさんの場合 ~ その7
 改修工事すすむ!

三澤文子(MSD)

 

爽やかな5月に着工。6月の梅雨の時期を経て工事は進みますが、今回屋根を触らない改修工事なので、雨の心配がなく、とりあえず安心です。5月、6月は主に解体工事、梅雨の時期の6月から7月はじめは、基礎の補強工事、そして電気工事ということで、屋根の下で工事が進みます。

 

さらに梅雨の晴間を狙って、サッシの取り付け、外壁廻りのおさめに進んでいきます。

 

さて、7月25日(金)の現場は、小屋の補強も終わり、床下地をつくっている最中です。朝10時に現場到着。一通り現場状況を見た後、打合せを始めます。いつものように、西の座敷に設けられた、合板の簡易打合せテーブルを囲んで打合せ。10時半頃から始めて1時間くらい、監督さん、大工さんの質問事項に答えながら、打ち合わせを進めます。特に大工さんと細かいところまで打合せできるのが、嬉しいです。とても充実した時間です。

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そんなことで、時間があっという間に過ぎてしまい、12時前くらいになると、住まい手の Iさんがお昼(おやつ?)をもって到着。そこで、昼ごはんの時間だと気が付きます。

Iさんは、常に手づくりのおやつをもってきてくれますので、すでにメンバー密かな楽しみになっていて… ある日は「ずんだもち」、ある日は「おはぎ」そしてある日は「ケーキ」、そして、そして、ボリュームたっぷりのサンドイッチも。

また、そこでの、話題も様々。和やかな昼休みです。

丁度、この日、7月25日(金)の翌日は、施工のコアー建築工房さんの、25周年祝賀会の前日。そんなわけで、翌日の祝宴の話題で盛り上がりました。というのは、私も、その会に招かれていて、前から楽しみにしていたからです。

聞けば、監督の渡部さんは家族全員で。大工の渡利貴志さんはお父さんと共に出席とのこと。どんな祝宴になるのか、想像つきません。

(翌日も猛暑。現場でお会いする職人さんたちが、見たことのないスーツ姿でカッコよく、あまりの変貌ぶりにビックリでした)

 

さて、Iさんは、毎週現場に来てくださいますが、なかなかそのように時間を合わせることもできません。そこで、私たちは、毎週現場報告書を作成して、住まい手さんにお送りいします。これは、新築工事でも行っているのですが、特に改修工事は、現況を見て頂く必要があると思い、これらを報告するのは大変重要だと思っています。

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(上記画像をクリックすると拡大表示されます)

 

ちなみに この日、7月25日の報告書では、小屋組みの補強材を写真で示し、金物で緊結していることも示しています。これらは、仕上げていくと、見えにくくなってしまいますので、このタイミングで報告するのがベストだと思うのです。

この報告書については、住まい手のみなさんから、「工事のことが良くわかって勉強になるな~。」と言われることが多く、とても楽しみにしていてくれるようですので、作成する方も、読んで楽しいように心がけます。現場に入っている職人さんの写真と名前も出来る限り入れるようにしていますし、それぞれの材料の説明も丁寧にするようにしています。

 

さて、猛暑の夏を乗りきって9月に入ると秋の気配が… 監督の渡部さん「10月末が引き渡し予定ですよ。大丈夫ですか~。」

 

つづく

投稿日:2015年07月06日

事例紹介2015-49 大阪府吹田市


千里山のいえ 詳細調査

報告:平賀基香 / MSD

 

物件概要

■所在地:大阪府吹田市千里山

■調査日時:2015年6月20日(土)

■構造規模:木造2階建て

■延床面積:138㎡

■築年数:築47年(1968(昭和43)年)

 

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依頼者の Iさんと母、祖母の3代でお住まいの I邸は千里山にあります。使用している部屋は限られている状態で、増築された部分などを見直し、これからの I邸の改修に先立ち詳細調査を行いました。午前中のみ工務店さんにも2名ご参加頂き、住宅医スクール生など総勢13+2名での調査となりました。

 

調査の模様

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参加者全員そろったところで Iさんにご挨拶。およその調査終了時間などお伝えした後は、全体ミーティング。担当調査内容の確認と各班に分かれて打合せを行いました。

打合せが終わった班から、いよいよ調査開始です。今回は①採寸 ②劣化 ③設備 ④仕上げ ⑤小屋裏、2階床 ⑥床下 ⑦ヒアリング・棒矩の7班に分かれての調査となりました。

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依頼者 Iさんにヒアリング。冬の寒さ、夏の暑さ、通風、採光、改修の履歴などヒアリング項目は多岐に渡ります。

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地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)も必ず行います。今回の調査では隣地と接近して建物が建っていたため道路からアプローチできる3ポイントの試験となりました。今回のように敷地全体で調査ができない場合は、解体後に再度調査を実施し、より正確な地盤情報を確認することも大切です。

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今回は大工さんも参加してくれたので、床下や2階床の点検口を手際よく開けて頂きました。大工さんがいない場合は自分たちで開口作業から取り掛かることになり、意外と時間を取られてしまうので調査全体の時間配分が大切です。

 

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5年程前から1年毎に某メーカーさんの補強、点検を定期的に行っているということがヒアリングから分かりましたが、床下に換気扇が5つ程設置されていたものの、床下湿度は70%超え、含水率も30%超えの箇所が多数確認されました。地盤面より床下が低いことも要因の一つと考えられますが、調査内容を踏まえて改修方法の検討が必要になる箇所です。

 

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2階床梁は1階の天袋から除きながらの調査となりました。某メーカーさんが構造補強を行う際に設けた点検口が数多くあり、2階床梁の調査はスムーズに行うことができました。やはり点検口は今後のメンテナンスにも欠かせないものです。

床梁は規則正しく架かっており、要所要所に補強金物が確認されました。

 

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寄棟の小屋組みにも床下や2階床同様に某メーカーさんの金物が至るところに確認されました。小屋裏の含水率は高い箇所でも14%と非常に良好な印象でしたが、ヒアリングでは雨漏りが気になるということで原因を究明し、改修する必要があります。

 

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劣化班は柱や床の傾斜を計測したりクラックの有無、窓枠周りの結露など様々な箇所を調査していきました。

 

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今回の調査では学生さんも数人参加してくれました。調査の方法や、見るポイント、チェックする理由など班のリーダーが教える形で進めていきました。学生さんにとって、パソコンや製図板上だけでなく現物の建物を目の前にしての調査はとてもいい「講義」になったと思います。
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バリアフリーの調査もあります。玄関や階段の段差、廊下幅の計測や手摺の確認など。注意したいのは、実際の廊下幅ではなく、通行する際に有効な廊下幅の計測値となることです。廊下に箪笥が置いてあることなどよく見受けられます。

 

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調査が終わった人から野帳の整理を行います。野帳は調査した人以外、だれが見ても分かるようにするのがベストです。調査しながら野帳をきれいに書くのはなかなか難しいですが、調査毎に少しずつ改善していけたらと思います。

 

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最後に依頼者の Iさん、調査参加者揃って集合写真。

お天気が心配されましたが、終始天候よく予定通り調査を終えることができました。約1ヶ月後に調査報告を行う予定です。ご協力頂いたみなさんありがとうございました。