投稿日:2015年10月07日

事例紹介2015-52 埼玉県川口市


埼玉県川口市N邸

報告:サンカクスケールLLP  滝川良子/スピカ建築工房

物件概要
・ 所在地:埼玉県川口市
・ 調査日時:2015年9月18日8:00〜18:30
・ 構造規模:木造(伝統構法)平屋建
・ 述床面積:約61坪
・ 築175年

台風が心配されましたが、曇り時々小雨の中で調査が行われました。

調査建物は江戸末期に建築された商家で、トイレ部分は昭和初期に増築されており、別棟の釜場利用だった台所から母屋内への台所と時代の流れに沿って手を加えられてきています。昭和50年代までは居住されていましたが、その後同敷地内に別棟を建て、そちらにお住まいでした。

過去に母屋の取り壊しを何度か検討されてきたそうですが、別棟が改修時期となり、改めてこの古く歴史ある建物に手を入れ、ご家族三世代で住まわれ、尚かつ地域に開放して活用されたいとのご希望から、改修のご依頼を受け、改修案提出前に住宅医の調査を受けていただきました。
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敷地内には母屋の他に蔵などもありますが、今回は母屋と釜場の調査を行いました。調査前にミーティングを行い、施主のNさんのお嬢様2名が参加くださり、ご挨挨をいただき調査指導員8名、実習生6名、工務店1名の計15名で調査を開始しました。

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調査道具一式。今回、小屋裏用に工務店から脚立を何本かお借りしていますが、住宅医の充実した機器に工務店担当者が驚いていました。

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調査は①採寸②劣化(屋外)③劣化(室内)④床下⑥小屋裏の項目を7班に分かれて行いました。調査開始に伴い事前に進入口を決定します。

今回は伝統木造のため、床下・小屋裏の各懐は深く、近代のものに比べて侵入はしやすいですが、狭い空間での調査作業は困難をきわめます。

床下班調査風景

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年代が古いため製材されていない状態での土台、大引使用が多く、虫食いの材が多く見られました。これは丸太を皮付きで使用するために、皮付近に生息していた昆虫による虫害ではないかと推測されます。また各部材の劣化状況・含水率なども測定し、報告書に反映させます。

小屋裏内部

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現況は茅葺きの上にコロニアル葺きとなっています。茅葺きは、重量があり地震力としては不利に働き改修計画の重要な要素になる為構造材と共に調査を行います。

トイレの使用が出来なかったため、昼休憩は近所のファミリーレストランを利用しました。昼食後に午前中の各班進捗状況の報告を行い、午後の調査を始めました。

内部劣化調査

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内部の劣化、傾き等を調査していきます。また聞き取り調査時に、下記写真の大きなクラックは関東大震災の時に出来たと伺いました。

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外部劣化調査

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今回は茅葺きの上に人工化粧スレート屋根を葺いている事もあり、外部劣化調査班にも関わらず詳細確認のため外部から小屋裏内まで入り調査をして頂きました。

調査後、各班野帳をまとめる様子で、調査が終了した者から、順次野帳をまとめて行きます。

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施主のOさんとお子さんを交えての集合写真です。「この方達は住まいのお医者さんなんだって」と住宅医のメンバーをお子さんに説明くださっていたのが印象的でした。

今回の物件は大きく調査時間も長引いてしまい、十分な申し送りが出来ませんでした。現在、不明点はメールにてやりとりさせてもらいながら報告書をまとめています。今回の調査に多勢の方々にご協力いただき大変感謝しております。お客様も報告書を楽しみにしてくださっていますので、報告書・改修計画案と共に喜んでいただけるよう頑張りたいと思います。

サンカクスケールLLP

木村慶(木村慶一級建築士事務所)

滝川良子(スピカ建築工房)