事例紹介2015-44 兵庫県加古川市
兵庫県加古川市での詳細調査報告 MSD 日野弘一
調査の概要
■所在地:兵庫県加古川市
■調査日時:2015年1月24日(土)
■構造規模:木造2階建て
■延床面積:111.52㎡
■築年数:築47年(1967(昭和42)年)
3世代5人で暮らす家。この家を改修して耐震性を確保できるなら、より住みやすい住環境に
できるのならばこの家で孫を育てたい。そんな希望を叶える為、建物の現状を把握するため
の調査を行いました。
この日は住宅医スクールの生徒の方など、合計13名に調査に参加していただきました。
地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験です。
地盤は良好で沈下の心配が少ない土地であることがわかりました。
普段は見ることができない空間もしっかりと調査します。
建物の正確な仕様・状況を把握することで耐震の計算も正確性が増していきます。
基礎には大きな割れもないことが確認されました。
鉄筋探査機による鉄筋の有無の確認、また部材の含水率を測定などは
専門の機械を使用して徹底的に調べていきます。
今回は下屋空間も侵入が可能でしたので直接触れて腐朽などの劣化状況を調査していけました。
またかつての増築の痕跡など、家歴の裏付けとなるものも確認をしていきます。
小屋裏も侵入して調査。状況は健全ですが、構造金物がないため補強が必要です。
建物の劣化も全て確認します。
普段は目に付きにくい玄関の枠の蟻害や、庇の上側などもしっかり調査します。
そのほか、構造・劣化のみならず、温熱・維持管理・バリアフリー・防対火と、
6つの項目で建物の状況を確認していきました。
今回、特に目立ったのは外壁のクラック(割れ)です。
また床・柱の傾斜が大きいことも気になりました。この原因として、
二階の荷重がたくさんかかる柱の下に柱・壁がないことが考えられました。
これがその二階の荷重がかかる柱です。この下に柱がないことで建物がゆがんで
いるのではないかと予想しました。この建物で三箇所、同じ構成の箇所があります。
屋根の仕上げもずれているのか、構造材への水しみが確認されました。
構造的にも不安定で、水しみまであって大変・・・
と思いがちですが、逆にここを改善すれば構造補強だけでなく、劣化の対策にも
なる可能性が高いということになります。
原因までしっかりと検討することで、効果的な改修案を練ることができます。
報告書のプレビューを経て、報告書はすでに納品させていただきました。
この報告書は建物の性能向上のための改修の手助けになれると思います。
家族の歴史の刻まれたこの家で、お孫さんが元気に成長することを願っております。
MSD 日野弘一